
2025年下半期にちょくちょくつくっていたのは、チャーシューだ。
ここでチャーシューの思い出話をひとつ。
熱海へ移住した初日のことだ。家財を積んだトラックが出発し、我々も部屋を出ようとしたところに、引越屋のリーダー格から電話がかかってきた。
「携帯をなくしてしまったんですが、お宅にありませんでしょうか」
どうやら社用携帯だったらしく、困り果てた様子だったので、納得いくまで探してもらったが、結局見つからずじまいだった。出発が大幅に遅れ、熱海に到着したのは日をまたぐ頃だった。カーテンのない窓から見えるのは一面の闇。がらんどうの部屋に座り込んだ。人も猫も、疲れ果てていた。
引越作業の合間を縫って慌ただしく町中華で麺を啜ってから、なにも口にしていない。腹が減った。店などあいてるはずもない。
町中華で惣菜を包んでもらって正解だった。チャーシュー、蒸し鶏、クラゲ、キュウリ、トマト。おなじみの中華前菜セットが銀箔の箱にみっちりおさまっている。小さなイスに弁当箱をのせ、缶ビールと酎ハイで労いの晩酌となった。染みた。酒も染みるが、色粉で染めてある中華然としたチャーシューがやけに染みた。もったいなくてゆっくり噛みしめた。これがはじまりの晩餐だった。

この1月15日で、熱海生活が三年目を終了する。そもそも土地勘はないし、古い一軒家だし、思いがけないハプニングばかりだったけど、良くも悪くも、熱海で暮らす癖のようなものが身についてきた気がする。そこそこよい感じで生きてるんではないか、と、チャーシューをつつきながら話していたところだ。
チャーシュー

材料
| 豚肩ロース | 500g | |
| 調味液 | 濃口醤油50cc、砂糖75g、塩7g、紹興酒小さじ1 | |
| スパイス | 八角1個、花椒小さじ1/2、フェンネル小さじ1/2、クローブ2個、シナモン1cm | 軽く煎って粉にすると香りが強まる |
つくりかた


- フォークや串で、豚肉に20カ所ほど穴をあける。
- ビニール袋に調味液とスパイスを混ぜ、肉を揉み込んだのち、空気を抜くようにして一晩、冷蔵庫で寝かせる。
- オーブンにいれる30分くらい前に冷蔵庫から出し、網にのせて余分な調味液を落としておく。
- 230度に余熱したオーブンで20分焼く。
- ビニールに残った調味液はスパイスを取り除き(粉末なら不要)、さっと沸かしてソースとする。

できたては格別だが、蒸し直しても旨い。脂が適度に落ちて、むちっとした食感になる。
ラーメンや中華粥のトッピングとしても優秀だ。端っこは刻んで炒飯にぶちこんでおけば間違いない。


2026年にはおせちににも登板させた。
