
正月に義父からいただく長芋がべらぼうに旨いんだが、とろろ蕎麦にする際は、ひとつ悩みがあった。
山芋と違って水分が多いので、擦るとサラサラの粘液状になって、麺つゆに流れ出てしまうのだ。つゆは濁るし、せっかくの熱々のかけ汁は冷たい芋汁で相殺されてしまう。しかも蕎麦との絡みもいまいちどころか、イマサンくらいだ。
そこで先日のとろろ蕎麦は、長芋を細く細く切って蕎麦にのせた。長芋素麺という料理を蕎麦にのっけただけの話なんだが、これが存外いい。蕎麦つゆに芋が流れ出ることもなく、箸でつまめるし、長芋らしいさっくり軽い食感も楽しめるうえ、蕎麦とも絡む。
本来は長芋を桂むきして細く切りそろえ、あたかも素麺のよう仕立てるのが長芋素麺という、料理人の技術がものを言う料理である。だが今回はスーパーベンリナーのいちばん細かい櫛刃を使ったので、調理もあっという間だ。コツといえば、押すときはやや力を入れ、引くときはちょっと芋を浮かせるくらいの力加減で、ゆっくりと削ることだ。


遡れば、実家では長芋が食卓にのぼることは少なかった。関西出身の母は、山の芋はねっとりした山芋、特につくね芋を最上としていた。ねばりの強い山芋を好むのは土地柄かもしれないが、「西のつくね芋、東の自然薯」と話していた記憶がある。とろろ飯をつくるときなどは、わざわざ郷里から送ってもらっていたほどに芋の粘りというものを重視している。なのでどうも長芋を下に見ている節があった。
だがこの長芋は、長年の長芋不信を払拭するほど、旨かった。
北海道は十勝平野、中札内村で獲れたものだというが、その白く、みずみずしい長芋の切り口は、雪の積もった北海道の大地を思わせる。取り寄せリストに追加しておこう。

長芋素麺とろろ蕎麦

材料(2人分)
| 長芋 | 5cmほどの長さを2本 | |
| 蕎麦 | 2束 | |
| かけつゆ | 720cc | 60cc計量カップで出汁:薄口+濃口:みりんを10:1:1で合わせ、きび砂糖を小さじ1 |
| トッピング | 海苔、ワサビなど |
つくりかた
- 出汁と調味料を合わせ、さっと煮立たせてかけつゆとする。
- 長芋を素麺ほど細く切る。
- 蕎麦を茹でる。蕎麦を冷水でしめ、また同じ鍋で再度湯を沸かす。
- 蕎麦を温め、熱々のつゆをはり、長芋素麺と海苔をのせる。