
ひねもすざんざん降りの熱海だった。台風10号はいったいどこをもたもたうろついているのか、明け方には警報が4度も鳴り響いたのでよく眠れず、結局は午前ギリギリアウトの起床となった。
雨粒で景色も見えず、暇な1日だ。暇なんだが、雨音が気になりすぎてふわふわ不安、気はそぞろ。
湿気がひどいので和室にもエアコンを入れる。洗濯機をまわしヨレヨレの寝巻きを脱ぎ捨て、思いつきで赤い服を着てみる。少し気分が良くなる。義母にもらったタオル地のワンピースは、真夏は暑いが今日みたいな日にはピッタリだった。民放を見ているとより不安になるので、映画を観ることにした。
天気の悪い日は「めがね」を流す。与論島の青い空と海で現実逃避、気を晴らす作戦だ。ついでに身体をほぐすべくストレッチに励み、温泉で汗を流す。
一息つこうと腰掛けて、雨粒で視界の悪い窓の外を覗くと、南の方から青空が進行している。窓の右側は青空、左は暗雲。奇妙な天気だ。そのうち、網代のあたりから低い雲が細長く出張りだし、みるみるうちに初島へ繋がった。思わず庭に出る。雨がやみつつあり、青空の面積が増している。幻惑されそうだ。
途端に、セミが鳴き始めた。ほっとした。いつもは五月蝿くてかなわないのに。もう雨の音は飽きたんだ。
映画のエンドロールが流れる頃に日は暮れた。今日も一人メシ。珍しく日本酒が飲みたい気分だ。
ソースが食べたい。お好みソースをべったりと。昨日狂ったように千切りしたキャベツがあるから、精進お好み焼きとしよう。
キャベツに卵、豆腐、薄力粉少々をよくよく混ぜて弱火でじっくり焼く。以上だ。豆腐は入れなくても良かったが、ヘルス的にも良さげだし、在庫がダブついていたので渡りに船だ。
あっさりしたお好み焼きを突いていると、外で激しい奇声が聞こえる。忍足で庭をうかがってみると、2匹のハクビシンが1つの柿を巡って喧嘩しているではないか。勝者は器用に両手で柿にかぶりつき、ゴリゴリと咀嚼している。「まだ熟してないだろ」と声かけると、びっくりしたのか食べかけをほっぽり出して逃げていった。
熱海の一部地域では山崩れが起こっているそう。このまま台風が滅してくれたらいいんだが。