以下の内容はhttps://konjichouin.hatenablog.com/entry/2025/11/07/193207より取得しました。


小説「呪師」其の拾壱

新右衛門は屋敷に帰ってもヤモリの話しはしなかった。

彼の押しはヨネだからである。

 

だがやはり、僧正の言うようになにか目利きがするものが居た方が良いと思うようになった。

 

思いきってヨネを女中に推挙しようと思ったが、「待てよ。逆に菊さまがもう治っていると思っている殿にはそこは言えないか…。」と考えて言い出せずに居た。

 

そして日にちがたつにつれ、まあ、またなにかおこってからでもよい。

起こらなければ起こらないでそれが一番いいではないか。と考えるようになった。

 

そうこうするうちに今度はもっと深刻なことが起きた。

当主の主計か得体のしれない病となったのだ。

夜間にはうなされ、微熱が去らず、しまいには食も1日一回粥のようなものしか受け付けない。

当然お城勤めもかなわなかった。

この時だと新右衛門はシズノに進言した。

ヨネを吉祥庵から女中にと。

 

シズノも賛成だった。

「だが新右衛門殿 菊のことで吉祥庵は敷居が高い。

いっそヨネの実家 浅草小間物屋に話を持っていったら、その方が早いのではないでしょうか」

「妙案でございますな。」

たしかにそうだ。

 

ヨネは浅草の「高井屋」という店の娘だった。

髙井屋を訪ねるのに今度は奥方のシズノ自ら出向くという。

 

どんな娘かまず親御からみてどうか、聞いておきたいのだった。

季節はもう秋になっていた。

 

髙井屋につくとなんと!店先にヨネがたっていた。

 

新右衛門はいささか驚いた。

「どうして吉祥庵にいるはずのヨネがいるのか?」

 

思わず「オイ!おヨネさん」と声をかけたのだった。

ヨネは一瞬ビックリしたようにこちらを見た。

 

だが、この後にヨネの話にさらに驚くことを聞かされたのだった。

何と吉祥庵の妙俊禅尼は七日ほど前、死亡したというのだ。

 

その死に方がまた・・・庭の大きな楠木に登って転落して死んだという。

ふと気が付くと禅尼がいない。

皆で方々探すと、なんと庭の一番大きな楠木に登っていた。

「何をされているのです。危ないですから下りてください!」老尼が大声で叫ぶが

全然、馬耳東風であった。

ドンドン上に登っていき、ついに枝が折れて落下した。

首の骨を折って即死であった。

 

寺は突然のことに大騒ぎになった。だが、早くも本山から僧が来て後のことをきめ出している。

もう今までとはあり方も変わっていくようだ。

ヨネはもうそれでほかの娘たち同様に引き上げてきたのだった。

 

「やはり物の怪のしわざか。」というとヨネは分からないという。

 

新右衛門はあれからの菊の話をした。

だがヨネはもうそんな話は恐ろしいからやめてくださいと哀願するのだった。

 

シズノは小声で「新右衛門殿、これでは無理でしょう。行きましょう。」と促した。

 

 

 

 

 

 

 




以上の内容はhttps://konjichouin.hatenablog.com/entry/2025/11/07/193207より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14