これはむかし聞いた話。趣味で聖天像の古仏を沢山集めている人がいたそうだ。
まあ、安くても一体30万円前後するのが普通だから、そこそこお金はあったのだろう。
信仰しているわけではないが、ある人が「これは浴油祈祷というものをしないといけない。そんな風に只集めて措くものではない。」とことあるごとにいうので一体を聖天様の寺へ浴油してもらいに持ち込んだ。
ここまではただ興味本位であったらしい。
浴油するといつのまにか、像のどこかに穴が開いているのか。ぷくぷくと空気泡が出る。
そんな報告を寺から受けて当人はまあ、古いから仕方ないかなと思った。
空気が出ればその分、像の中に油が入るはずだが、どういう訳か毎度浴油すれば同じようにプクプクいう。修理して穴をふさいだらと寺でも言われたがそういう気はなかったようだ。
それで毎度浴油するがいつも同じところから、いつまでも空気泡が出続けるのだった。
だがもう、しまいにはあまり気にもせずほおっておいた。
だが、ある日。にわかに苦しくなって病院に行くとその穴の開いたのと同じ体の箇所に重大な病根があるとわかった。
これが気が付くのが遅かった。
すでに手遅れで亡くなられたそうだ。
聖天様は教えておられたのだろう。
この人に信仰という目があれば早く回避できたかもしれない。