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文殊の利剣

修験道の宝剣作法にいう。

「これ文殊の利剣にして、自己を斬らず、他人を斬らず、本来無一物なり。」

これは修験道のみならず、密教修行にもおおいにいえる。

 

だがこの利剣、一つ間違えば自己を斬り、他人を斬り、元も子もない無一物・・・・になる。

そういう人は何人も見てきた。

一見、愚鈍な人でも自らを知ればあやまちは避けられる。

利発なものでもそれがないとかえって酷いことになる。

利剣に譬えられる「文殊の知恵」とはまず「自らを知る知恵」だろう。

 

故に今まで「この人に修行をさせないで後悔した・・・」という人はただの一人もない。

むしろ、恥ずかしながらさせて後悔した人の方が多い。

世間の能力は必ずしも当てにならない。

自分が手を出してよいか否かの可否を知ることこそ、「自己を斬らず他人を斬らないための文殊の知恵」というものだ。




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