古い映画だが将棋の名人だった実在の人 坂田三吉を描く映画。
坂田三吉に三国蓮太郎
その妻 小春に淡島千景
娘 玉枝に三田佳子
ライバル関根八段に 平幹二郎
弟子の榊原にヒット曲「王将」を歌った村田英世 同じく毛利に千葉真一
ほかにも赤城春江、殿山泰司などの豪華出演陣。
この中で小春が信仰するのが法華の妙見信仰。
大阪の長屋住まい、家業の旅職人も放って将棋バカの三吉だったが、徐々に頭角を将棋の世界に現わし、ついには関根八段と対局する。
苦戦の末、彼はついに奇策とも見える手で関根を破ったのだった。
この勝利に大いに沸く坂田陣営。
だが、三吉の勝利は実は追い詰められてやけくその将棋を関根八段が見誤った結果で三吉のまことの技量によるものではないと玉枝は見抜く。
娘の言葉に激怒するもそれが本当だと自らが一番よく知っている三吉。
「将棋は己れの腕でするもの、妙見さんの御利益でするものやない!」と三吉の勝利をずっと陰で妙見尊に祈ってきた小春にも八つ当たり。
小春は三吉の言葉に「そうだ。自分の信仰がまちがっていた。その通りだ!」と叫ぶ。
そして、三吉はやおら法華の太鼓を持ち出し、海岸に行くと、波打ち際に座って「妙見さん、わてをほんまもんの将棋指しにしてくれ!」と必死に祈る。
こののち彼は関根名人を11戦7敗で破る実力をやしなう。
だが将棋の最高位「名人」職には品格が必要として、長屋の足袋職人の坂田三吉を措いて関根が選ばれる。
三吉は納得できない自分を殺して、病気の妻を娘に任せ、関根名人を祝いに東京にいく。
その間に小春は危篤となり、電話口で必死に題目を唱えて妻を励ます坂田三吉。
だが祈り虚しく小春はついに帰ることのない人となってしまう。
ここに見事な信仰の変遷が見て取れる。
始めは興味などない三吉。
次には妙見さんの御利益に依る勝利など認めない。
だが、同時に妙見尊に真の実力をつけさせてくれと祈るようになる。
最後にはもう自らのためだけでなく小春のために声をからして祈る三吉。
三吉の信仰は少しづつ進んでいく。
なにもわからずとも信仰とはこのように進むべきものだと思う。
最後に小春は死んでしまうがおそらく三吉から信仰はなくなってはいないと思う。
映画の主題は信仰ではないからそこは描かれないが、彼は信仰は結果を与えるものではなく、良き結果を求める自分の生き様そのものなのだと知ったと思う。