十一面尊のお顔には暴悪大笑面に次いで不思議なお顔に右三面の口牙面がある。
瞋怒面の様なまなじりを釣り上げ眉間にしわ寄せるような露な怒りの表情ではない。お顔は普通だが牙だけ出ている。
だが普通の顔に牙をむく姿は余計に異様でコワイ。
どういう顔かは知らないが、私が思うのはこれは「表には隠して見せぬ心のうちの瞋り」と思う。
表向きは普通の顔をしていてもこころのうちでは牙をむいているということだ。
そういうこと世の中にいくらでもある。
柔和そうに見えて実は忿怒の心を表現した顔。
十一面観音の心憎いばかりの人の心を表す形相だ。
これ全ての顔を乗せている本面こそがこの菩薩の顔なのだ。
菩薩の顔は柔和とばかり思うべきではない。