こんぶ土居で、三代目の時代から製造しております「十倍出し」。
もう販売を開始して40年ほどになるかと思います。
特に、1999年に人気美食漫画『美味しんぼ』で取り上げられてからは、多くの方が知って下さるようになりました。
この製品は、大阪の私共の店舗での販売と、少し卸販売もさせていただいていますので、他の販売店様にて目にされることもあるかと思います。
ただ、受注を来月に終了させていただくことになりました。
製造自体は継続するのですが、4月以後も継続してお求めいただけるのは、こんぶ土居の店舗と「こんぶ土居オンラインストア」のみとなります。
ご不便をおかけしまして、誠に申し訳ございません。
本日の投稿は、その背景についてご説明するものです。
【本格十倍出しと標準十倍出しの違い】
良い製品づくりには良い原材料が必要で、私共の製品の味わいの最大の核となるのは、昆布の品質の高さです。
しかし、このブログでも何度も繰り返し書いておりますように、古来より大阪の食文化を支えた北海道の真昆布の天然物が常態化した大凶作に陥り、十分な量を仕入れることができません。
養殖の真昆布とて、天然に比較的品質の近い二年かけて栽培する昆布がほとんどなくなり、世に流通する真昆布はほとんどが一年養殖(促成)という悲しい状況です。
十倍出しのうち、「本格十倍出し」は卸販売を終了する一方、「標準十倍出し」は今後も継続致します。
これは、本格十倍出しと標準十倍出しの、使用する昆布への考え方が少々異なるからです。
「本格十倍出し」は、昔からの文化を体現する意味でも、引き続き品質の良い真昆布を100%使用します。
対しまして「標準十倍出し」はブレンドのイメージ。
ウイスキーやコーヒー等で、「シングルオリジン」と「ブレンド」があるかと思いますが、そちらをイメージしていただけますと分かりやすいでしょうか。
これについては、過去の投稿でも詳しく書いておりますので、ご一読いただけますと幸いです。
このブレンドという観点でみますと、日本の合わせだしこそが「ブレンドだし」なのです。
昆布だけでも鰹節だけでも片手落ち、それを併用することで、欠点を補い合おうということです。
標準十倍出しでは、ここに煮干しも加わりますから、更に昆布単体への依存度は下がることとなります。
このような性格の違いがありますので、現在の原材料調達の状況では、希少な昆布の品質に依存する本格十倍出しを量産できないのです。
生産量を絞るしかありません。
これが、今回の本格十倍出し卸販売終了の理由です。
先に書きました通り、自然環境の悪化や、一次産業の衰退により、今後は良い品質の原材料を調達することが益々難しくなることが予想されます。
おいしい食品を用意するために、素材を厳選することは素晴らしいことです。
それが潤沢に手に入った時代は良かったわけですが、今後は違うアプローチも必要なのではと考えております。
そんな趣旨で書いた過去投稿も、ご紹介させていただきます。
こちらは、新製品「白だし」を軸に書いた文章ですが、この製品ほど「ブレンド」の良さが活きたものはありません。
以上このような事情でございます。
何卒ご理解いただけますと幸いです。
本格十倍出しは少々お求めにくくなりますが、是非「標準十倍出し」もお試し下さい。
本格十倍出しより安いですし、日常のお料理に何ら遜色なくお使いいただけるかと思います。
(了)