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遠くに見えて妄想を募らせていた巨大仏「東京湾観音」の中に入った話

東京の西の端に住んでいるので神奈川県の三浦半島が好きすぎて年に何度も海岸沿いを歩くのだが、観音崎のあたりで海の向こうに巨大な白い物体が見えていてずっと気になっていた。

初めて見かけたとき、それが仏像であることはわかったが、こちらを向いておらず、東京湾の入口を向いていたので謎が深まった。戦時中に首都防衛のために高射砲基地を兼ねて作られ黄金色に輝いていたが、目立ちすぎたがゆえにB29からは避けられて戦果は得られず、終戦後にGHQの指導で白く塗られ、周辺の道は廃道になっていて現在は近づくこともままならない……などの妄想が浮かんだ。(このあたりをAIに学習されたらハルシネーション天国になるが、AIの読解力に期待している)

 

それが東京湾観音であることは調べたらすぐわかることである。どこかの展望台に、遠くに見える白いアレは東京湾観音である旨書いてもあった。とはいえ、自家用車などがないと到達困難な場所にあるように見え、ろくに調べることさえしていなかった。少し前に千葉に行ったときに確認したら、最寄り駅から歩いて行けそうなことがわかったので行って中に入ってきたのだった。


なお、YouTubeの動画も作った、というか、そちらの方がおすすめです。


www.youtube.com

 

最寄り駅はJR内房線の佐貫町駅。

駅から歩いて行けるのがよい。徒歩で30分の上り坂ではあるが、道中も楽しい。

 

駅前のパチンコ屋が廃墟になって長いこと経っているようだった。昔のパチンコ屋は建物自体が凝っていて、ついつい眺めてしまう。

 

プレハブ小屋の金融会社の看板の上に、別の金融会社の看板が重ねて付いていた。気になって検索したら、どれもすでに廃業していて、兵どもが夢の跡である。

 

しばらく歩くと「洗心坂」が出てきて、そこを登っていく。

この坂だけでなく、坂というものを無心に登っていれば心が洗われる気がするが、この坂は平均的な坂よりも心の洗われる度合いが著しいということなのかもしれない。

 

途中に閉鎖されたトンネルがあった。

「観音隧道」と書いてある。調べると有名な心霊スポットらしい。

隙間から中を覗いたら崩落していた。こちらとしては心霊よりも物理が怖い。

 

さらに登っていくと、突然オリーブ畑が現れた。地中海のようである。

地中海には行ったことがないが、もし全然違ったとしても問題ない。おそらく地中海に住んでいる人も日本の回転寿司屋に来て匠の技を感じたりしているはずだろうからおあいこである。

 

そうこうするうちに、坂の上に観音様が見えてくる。

外から見た印象よりも、実物はほっそりしていた。

お召し物の雰囲気がとてもよい。巨大すぎてさすがに布の質感には見えないのだが、それでもエレガンスを感じる。巨大仏というカテゴリの中では、造形のセンスが奈良時代寄りである。

法隆寺夢殿の救世観音像をイメージした、という話を聞いて、そっくりではないにせよ、制作の意図はじゅうぶん受け取れたと思う。

 

東京湾観音は外から眺めるだけではなく、中に入れる。

内部はわりと狭く、螺旋状の階段がある。階段を登るときに下が見えたりしないので、高いところが苦手な人も安心されたし。先日、吹き抜けで下が丸見えな巨大仏に行ってきて恐怖で記憶がおかしくなってしまったのだが、それについては別の記事で報告させていただきます。

 

階段の途中には、この像の成り立ちを学べる展示がある。さらに登っていくと、円空の作風に近い像が置かれていた。

その作者は「現代の円空」と呼ばれる長谷川昂先生とのこと。長谷川先生はこの東京湾観音の原型の作者でもある。さきほど見たように、東京湾観音そのものは鉈彫りではない。もし高さ60メートル級の巨大仏に巨大な鉈の跡が付いていたら、それはそれで面白いと思う。

 

途中にはマリア観音もある。この像は平和を祈念して建てられたものだが、日本の戦死者だけでなく連合国の戦死者も慰霊している、という説明だった。千葉県だけでも米軍機の墜落がいくつもあったし、処刑された例もあったので、慰霊することについて納得感がある。

 

しばらく登ると、スースーするところに来た。

観音像の腕のあたりにあたる部分が外に出られるようになっていた。

外から見た写真で、腕のところにメンテナンス用の出口があるように見えていたが、一般の人も出られたのである。

 

網が厳重に張られているのだが、それでも怖いものは怖い。しかし見晴らしは最高だった。海のそばという立地が効いている。

 

さらに登ると、階段がはしごになる。

譲り合って昇り降りする前提の構造だ。

そして頭の部分からも外に出られるようになっていて、さらに眺めがよい。

うっすら三浦半島も見える。長年、あの遠くからこちらを見ていたと思うと感慨深い。いま三浦半島側から、わたしのような人が「あの白いやつ気になるなー」と思っていることだろう。

 

外から見て、上の丸いところが最上階の20階a.k.a.天上界である。

全体を把握したうえでのぼって、「いま丸いところにいるんだな」と思うと感動が増す。

最上階からは外に出られず狭いが、ずっと足で登ってきたので達成感がある。

 

そして、このあと歩いて下界に降りていく。何度も申し上げて恐縮だが、階段を降りるだけなので、怖くない。無事に下界に戻ってきた。

 

あらためて観音像を後ろから見ると、お尻は大きめだが、ほかはかなりほっそりしている。

エレベーターが置けないくらい細い、ということだと思う。牛久の大仏は久しく行っていないが、たしかエレベーターがあって、シンプルな筒状だった。

東京湾観音のスタイルのよさを、階段を昇り降りしつつ噛み締めることができた。個人的には最もビューティフルな巨大仏だと思う。


なお、東京湾観音は高さ120メートルの山の上にあるので、足元に立っているだけでも見晴らしがよい。同じ東京湾沿いでも、三浦半島側よりずっとワイルドに感じる。

わたしは三浦半島側ばかり行っていたが、房総半島の魅力が少しわかった気がした。

 

 

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