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最高のアニメ10

長らくの間、何回も見返してるアニメがいくつかある

 

職業柄1日中パソコンの前に座っていることも多いのでアニメやドラマの垂れ流しはいい感じに脳のリソースを食ってくれる

脳のリソースが100残っている状態で絵や漫画を描いているとどうにも使い切れない30くらいの部分が暇を持て余して他のことを考えてしまい集中できない

そういう時にアニメやドラマ・音楽に脳を少し食ってもらっている

 

そんな中で特に何度見ても味わい深いアニメがあり、何度も見て、関連書籍などを買い漁るに至ったものたち

雑に好きなアニメ10選的なノリで雑多に記しておこうと思う

TOP10ではないので順序に特に意味はない

 

京騒戯画

引用: ©東映アニメーション / 京騒戯画プロジェクト

1発目から特殊なアニメで牽制していく。なんだかんだ放送されてから今日まで、一番好きなアニメ

2011年、セーラー服の女の子がカラフルでポップな京都の町を巨大なハンマーを手に走り回り暴れまわる5分のPVが公開された所から始まるこのプロジェクトは、その後連作OVAとしてストーリーの補足がされた後、全10話のTVアニメとして再構成されました。

「GOTCHA!」や「ベイビーアイラブユーだぜ」、また「血界戦線」のOPやEDなどで更に名を広げた松本監督ですが、その才覚というか方向性は2011年の京騒戯画第一弾PVの時点でほぼ完成しています。

第0話にあたるロングPVにて、ショーコの「バカ兄弟!! 死ねーーッ!!」という叫びとともにタイトルロゴが現れる一連のシーケンスを見た時の衝撃は10年以上たった今でも鮮明に思い出せます なんか、本当に見たいものが、ついに私の人生に現れた といったような衝撃

 

このアニメは、なんというか妙に厨二病っぽいというか、中学生の心に突き刺さるような印象的でなにかありそうな不思議な雰囲気・ドンチャン騒ぎ感みたいなものが映像の中にギチギチに詰め込まれており、そしてその広げるだけ広げた風呂敷やイメージカットなんかをTVシリーズにて東映のベテランスタッフの手を借りながら慎重に慎重に畳んでくれる作品です

キラキラの映像快楽とシットリと描かれるキャラクター描写のコントラストが激しい作品で、その猛烈な緩急がクセになる。何度も見てると、各話ごとの演出の方向性や目指す景色なんかがより鮮明に見えてくる、手つきが繊細なアニメ。

なによりその物語の規模感の小ささ、優しさなんかが好き。本当に大好き。

センターレイアウトで180度切り返す会話のカメラ回しや、テンポのいいジャンプカット…みたいな演出の手癖みたいなものもこのアニメの時点で多様に見ることができます。これらは2020年を過ぎたあたりから他のアニメでも頻繁に見るようになった(なんなら2023~4年のアニメのOPって全部Bメロあたりでジャンプカットしてる気がする)気がしますが、そういう意味でも京騒戯画は先見的というか不思議なアニメです

その後の監督作においても、目がぱっちりした女の子や釘宮理恵さんの演技、キャラクターの立ち回りや動かし方の中に本作の主人公・コトを幻視することが多々あり、その度に多幸感に包まれます。私は、松本理恵監督作品の釘宮理恵の声が、好きなんですよね…あの、最終話でアラタマを投げ飛ばしたコトの「どいてろッ」の叫び声が本当に好きで……とか言い出すともうキリがないのでここで

 

一番好きなのは第2話「やってきたのは妹」
あとは第5話「若き三男の悩みと始まりと終わり」も…

桜蘭高校ホスト部

©葉鳥ビスコ白泉社・VAP・NTV・BONES

2006年公開の少女漫画原作ボンズアニメ

そもそも本作は原作が設定から面白く、アニメもそれに準じて制作されているので物語やギャグ、キャラが面白いのは当然なのですが
それ以上に目を見張るのは、高橋久美子先生によってリデザインされた少女漫画のキャラクター達のスタイリッシュな出で立ちと、当時のボンズ特有の青すぎる空、また、「ウテナ」などからの流れを感じる凄まじくクールなレイアウトといった、"画"の部分の良さです

その画の完成され具合といったら今回紹介するアニメの中でもトップクラスに美しいと思うのですが、それが「お金もちの通うセレブ高校」という舞台設定のファンタジー感と噛みあっていて…

と思いきや原作はギャグ漫画であるため、五十嵐卓哉監督特有のおふざけな演出が噛み合い、キュートなギャップになっていて、おしゃれなアニメ全体がかわいさでコーティングされている感じがあります

それらが生み出すスタイリッシュなカット割りがなんというか…見ててたいへん気持ちいい

監督や制作スタッフの個性と、漫画自体が持っている個性がすごく綺麗に噛み合っているアニメ化であり、原作漫画ありきの"アニメ化"の最適解の一つなのではないでしょうか

原作が未完の状態のアニメ化でありながら、アニメの終わらせ方も非常によく、その辺りは脚本の榎戸洋司さんの作家性を見て取ることもできます。

また、これ以降頻繁に現れる、「五十嵐卓哉監督のアニメに登場する、イケメンお調子者の宮野真守キャラ」が、私はほんっと~に好き。松本理恵釘宮理恵五十嵐卓哉宮野真守

 

一番好きなのは第13話「不思議の国のハルヒ」1話と重ね合わせられる表現が不気味で美しい

 

そういえば、「京騒戯画」もこのアニメも、エンディングにアニメ用の特殊イントロが用意されていて効果的に使用されているという点で類似しています。これメチャクチャ好きなんですよね

 

ゴジラS.P

©2020 TOHO CO., LTD.

こちらもボンズ制作によるゴジラのアニメシリーズ

今回紹介しているアニメの中では比較的新しいアニメですね

自分はマジで全くゴジラシリーズのことは知らず、「シン・ゴジラ」をぼんやり見たことがある程度の知識でこの作品を見た、つまりいわゆる「怪獣オタク」ではないのですが、それでもこのアニメは圧倒的な面白さでそのハードルを乗り越えてきます

面白いというか、とにかくキャラクター同士で行われる会話のテンポ・端折りが凄まじいため、情報量の濁流に酩酊してしまい、もう永遠に聞いていられる良さがあり、しかも1話25分のうち20分くらいは会話シーンという怒涛のテキスト量のアニメなので永遠に幸福を感じられます

現代に現れた怪獣に対処するため、たくさんの登場人物が試行錯誤してゴジラの謎を解くために奔走する…みたいな感じの、「怪獣アクション」よりは「人間ドラマ」に比重を置いた作品ではあるのですが
そうとは思えないほどにキャラクター側にドラマがなく、感情や情緒の描写に割く尺が1カットもなく、足を引っ張るキャラや悪人といったドラマを作るためのヒールもいないまま、登場人物全員頭いいから衝突も少ないままにひたすらガチで怪獣を倒すためにムチャクチャ頭を使いつづけるという、あんま類を見ないアニメ体験

故にストレスフリーでありながら、しかし、怪獣の謎を追う中で見えてくるタイムトラベルSF的な壮大なスケールの物語には息を飲むものがあります。

「えっ…これ…今これ、どういう…どういうことになってるんだ…?」みたいな、不思議な感覚がかなり味わえます

もちろんその分ストーリーは非常に難解なのですが、難解なストーリーを完全に理解せずとも楽しめるような楽しい工夫があちこちにされているアニメであり、その奇怪な雰囲気からは想像もできないほど入り込みやすいアニメだと思います。

わけのわからない難解でテンポのいい天才の会話をがんばってがんばって聞いてたらいつのまにかとてつもない地平に立っていてメチャクチャ変な景色を見せられた…なんだったんだ今のは…みたいな体験を味わえる作品です

一番好きなのは第三話「のばえのきょうふ」のアバン

 

デジモンアドベンチャー

©本郷あきよし東映アニメーション

突然あまりにも世代すぎるアニメが登場

本作は99年に放映された子供向け1年アニメで、非常に有名な作品です

なんというか、多分だいたいの人はOPは聞いたことあるし最終回でミミの帽子が空に飛んでいくシーンとかスカルグレイモンとか細田守の映画とかはメチャクチャ有名だと思うんですが、全54話あるこのアニメには、それ以外にも多種多様な魅力が詰まっています

本作は7人の子供が異世界の島に取り残されるサバイバルものであり、小学3年~5年くらいの子どもたちがそれぞれのパートナーデジモンと共に元の世界への帰還を目指す中で、様々な人間関係が展開されていくのが面白いです

なんか、例えば「AとBは同じクラス」「AとCは学年が違うけど交流が少しある」「DとEはそれまで特に交流がなかったけどデジモン世界に来てから仲良くなった」みたいな、なんか、そもそものキャラ同士の関係値みたいなものが緻密に設計されていて、デジモン世界というファンタジーの舞台設定の中に強いコントラストとしてリアリティが鎮座しています。
円満な家庭の子もいれば、両親が離婚した家庭の子など、それぞれの子どもの家族も多様であり、それがより関係を複雑にしています

デジモンたちと共に冒険し、敵を倒し、元の世界へ戻るため奮闘する…みたいなストーリーラインの中に、そういった子どもたちの子どもたちならではな人間関係が進行していき、ときに協力しあい、ときに喧嘩しあい、決別したり、再会したり…ドラマが面白いアニメです

また、「デジモンの世界」というファンタジーを表現する絵の部分も不思議な魅力があるアニメで、"電柱が大量に突き刺さった砂漠"や"砂浜に並んだ電話ボックス""森の中に道路標識"みたいな、現実と非現実がごっちゃになったような不条理な景色が冒険を不思議な色で彩っています。
その不思議な舞台設計を見せるレイアウトや画作りにも、他のアニメにない独特の味わいがある作品です。

一番好きなのは第21話「コロモン東京大激突」いわゆる"細田回"

「フランシスの向こう側」「ずっとずっとフレンズ」「魔女をやめた魔女」「ワニワニ」を始め、カツヨ名義の回を含めるともっとたくさんある"細田回"ですが、やはり自分は東京大激突によってアニメに対する"ヘキ"が形成された感覚があります。

また、細田ばかりが強調されがちなデジモンアドベンチャーですが、今村隆寛さんによる演出回も尖った演出が多く見応えがあることは、あまり言及されていない印象。最終話も今村さんですし、第四話「灼熱!バードラモン」の砂漠のカットとかメチャクチャかっこいいですよ

それと、細田守デジモンアドベンチャーの誕生に関わった(最初に公開された短編映画の制作時にはまだアドベンチャーに関する詳細な設定はできてなかった)ように、「桜蘭高校ホスト部」の五十嵐卓哉もその前は東映で「おジャ魔女どれみ」の制作に深く関わっており、また、「京騒戯画」の松本理恵は「ぼくらのウォーゲーム」を発端としてアニメ監督を目指し、東映に入社して「プリキュア」の映画を監督しています。やはり東映は偉大…

 

ID:INVADED イド:インヴェイデッド

©2020 IDDU/ID:INVADED Society

まず最初に、主人公の体が徐々にバラバラになるシーンから始まるこのアニメ
そこで自分はこころ掴まれて最後まで見通したのですが、本作は、舞城王太郎小玉有起あおきえい、という「何…何、どういう、どういう集まり?」みたいな座組で制作されたオリジナルアニメです

特殊な設定や難解な単語なんかが印象的な作品ですが、その実ストーリー自体はシンプルで見やすく、殺人犯の無意識の殺人衝動が生み出した内面世界に介入して事件の謎を解くというファンタジックな設定が、アニメという想像の世界を描くことのできる媒体と相性がよく毎話異なる見応えがあるシチュエーション攻略が見られます

様々な「無意識」が作る不条理な世界では、いつも「カエルちゃん」という女の子が殺されている。その謎を、「名探偵」が解決する。その劇中劇のような世界の外には現実世界があり、そこでその「謎解き」をヒントに実際の事件を解決する。といった、入れ子構造のような複雑な仕組みを持つストーリーですが、決して分かりづらい瞬間はなく、懇切丁寧な解説と画作りによってすんなりとストーリーが理解できていきます。外連味の強い設定でありながら、そこには理が通っており、理がわかりやすく提示されるので混乱しない

この「無意識の世界」と「現実世界」を行ったり来たりしながら2つの事件が解決され1つのドラマが解き明かされていく様は見ていてメチャクチャに面白く、もし2クールで制作されていたのならば、もっとたくさんの事件を見て楽しむことができたんだろうなと、すこし惜しまれる作品です。

こういった複雑でSF的な設定に対して、漫画家・小玉有起によるコミカルでデフォルメの効いたキャラ原案が良いギャップになっていて、アニメ自体に独自の雰囲気をもたらしています。碇谷敦によるキャラデも情報量が少なめでシルエットがかっこよく、アニメ自体の影付けや撮影処理もあまりうるさくないため、事件や会話に集中しやすく、見ていてストレスがありません

また、小玉先生によるコミカライズ版として、アニメのその後、ようは第14話・第15話あたりに該当する新たな事件を解決するまでの漫画が刊行されています。これももう爆発的に面白い

という、まあ、なんかアニメの内容はいくらでも褒め称えられるのですが、そもそもこのアニメはほぼ主人公: 酒井戸/鳴瓢秋人 による一人称のナレーションで進行する都合上、CVの津田健次郎さんのかっこい~~落ち着いた喋りを30分聞き続けられるという点でも最高のアニメです。

 

 

ファイアボール

©2008 The Walt Disney Company (Japan) Ltd.

本作だけ例外的に、4シリーズ全部まとめてノミネートしています なぜなら1話1分30秒という驚異的な短さのアニメであり、全シリーズ一気見してもアニメ1クールの視聴時間にさえ満たないから…

日本人制作チームで作られたディズニーの短編3Dアニメーション

本シリーズはロボットのお嬢様と、同じくロボットの執事がやけに人間らしいユーモアに溢れたシュールな会話劇を繰り返す作風であり、ようはミニマルなギャグアニメなのですが、彼女らの会話の節々に世界の謎やストーリーの深部が垣間見える瞬間があり、たった1分30秒12話のアニメに壮大なドラマが秘匿されている不思議なアニメです

原則的にコンテンツは短ければ短いほどよいと考える派閥なので、このアニメは理想的です。全編視聴しても通常のTVアニメの1話ほどの尺しかないのに、なにかものすごいものを見てしまったような気持ちになります。私は、作品に"轢き逃げされた"と感じるのが好きです。バッと走ってきて、衝撃を与え、そのまま高速でどこかへ去っていく。そういう美しさがこのアニメにはあります

第一期「ファイアボール」から、第二期「ファイアボール チャーミング」次いで、第三期(事情により数話のみの制作となる)「ファイアボール ユーモラス」そしてドラマCD「ファイアボール オーディオ・オモシロニクス」最後に最終章「ゲボイデ=ボイデ」と、長期に渡るシリーズですが、そのどれもに込められた強い作風と、圧倒的なまでに統制された全てのカット・キャラの動き・会話のテンポ・物語は、圧巻です。3時間足らずで全編視聴可能というタイパの鬼

特筆すべきは第二期「チャーミング」です。1期からHD化し縦横比も変わり、コンテの密度感もグッとアップした2期の見応えは異様な出来栄えで、続くユーモラスが3話しかないこと、また、最終章ゲボイデ=ボイデでは、ファイアボールファイアボールたらしめる特殊な会話劇の完成度が上がりすぎて、もはや何を喋っているのかよくわからない領域に到達してしまうため、そういう意味でも2期のちょうど良さがとても良いです。とはいいつつ、私が一番好きなのは「ゲボイデ=ボイデ」なのですが

本作がどのようなユーモアを備えた作品なのかは、まさにこの第二期に関する制作陣の発言に現れています

disneyplus.disney.co.jp

2009年11月18日(ミッキーマウスの誕生日!)に書かれた本作企画書の項目の1つには、「何がチャーミングなのか。より正確に言えば、何がチャーミングでないのか」と書かれていますので、本作ではそうしたことが描かれているはずです!

(中略)
また、1作目で無責任にもバラ撒かれてそのまま放置された謎の数々を回収しながらも、何ひとつ解決せずさらに謎が深まってゆく点も本作の魅力と言えるかもしれません(言えないかもしれません)。

ギャグアニメで、尚且つ登場するのは無機質なロボットで、1分30秒ほぼ会話のみの短編アニメであるにも関わらず、この作品には残酷で悲しい現実に対して向き合うための全てが濃縮されています。私は今も、今の現実を生きるためにこのアニメを見つづけています。

一番好きなのは第二期チャーミングの第4話「うつろな宇宙」

自分が視聴した時にはすでにシリーズが完全に終了して数年経っていたので、関連グッズや書籍・インタビューを泣く泣く全て集めるに至ってしまった思い出がありますね…

 

 

Steins;Gate

(C)2011 5pb./Nitroplus 未来ガジェット研究所

今回私が紹介する作品の中では特に相当有名なアニメだと思います、敢えて説明する必要もないかもしれない…

ひょんなことから過去にメールを送れる装置を開発してしまった大学生たちが壮大なタイムトラベル陰謀論に巻き込まれてしまう本作のシナリオはあまりにも有名で、原作ゲーム、TVアニメ、スピンオフ、軒並み評価の高いシリーズです

もちろん評価通りストーリーは凄まじい面白さで、見る手がとまらなくなる魅力があります。後半に突入すると物語は一気に4段階くらい面白くなり、終盤に待つ驚きの大どんでん返しは笑ってしまうほど衝撃的です

ただ今回私が紹介した理由は、その「笑ってしまうほど衝撃的」な後半部分ではなく、前半部分にあります。Steins;Gateは前半パートこそ最高のアニメなのです

 

主人公・岡部倫太郎が遭遇したちょっとした不可解な事件から始まり、徐々にタイムマシンのようななにかを作り上げ、メンバーを増やしていくラボ。最初はそんな大事になるとは夢にも思っていない彼らは、半ば遊び半分のような気持ちでタイムマシンを作り上げていきます。

Steins;Gateが当時目新しかったのは、会話パートでキャラクターが当然のようにネットスラングを使うことです。今となってはキャラがネットスラングを使う作品は珍しくもなんともありませんが、当時はかなりありえない現象でした。ヒロインが「だめだこいつ。はやくなんとかしないと」「バカなの?死ぬの!?」「ぬるぽ」とか言い出すクソ恥ずかしいアニメがこの世に生まれてしまった衝撃は凄まじかったです

そして何よりすごいのは、その会話のテンポ感の制御です。そろそろお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、私がアニメで最も重視するのは会話のテンポ感です。このアニメの会話は、私が見てきたあらゆるアニメの中でも特にずば抜けて会話パートのリアリティとアニメ感の塩梅が心地いいです。異常なまでに

牧瀬紅莉栖(ヒロイン)がラボに加入しラボメンが4人になったあたりからそのテンポは加速していきます。特に序盤であればあるほど死ぬほどしょうもない会話が繰り広げられますが、半ば食い気味に相手の発言に被せたり、突然全員が一瞬押し黙ったり、と、あの手この手で小気味よい会話が繰り広げられます。とにかくギャグが面白い

ギャグの会話をしているのに、カメラが引き気味な瞬間が多いのも印象的です。俯瞰の引いたカメラで状況説明をしているだけのカットかと思いきやキャラが奇妙にボケたり、はたまたブラウン管TVの反射でキャラを見せたり。

ギャグ用の間の抜けたBGMが流れていない状態でキャラがギャグ会話をしだす瞬間も多く、「アニメ的な、ある種嘘っぽい、やたらテンポの良い会話」と、「妙にリアリティのある会話」が作中でコロコロと切り替わります。

カットの処理も細かく色々なことが行われていて画面を見てもいつまでも飽きません。夏休みを描いた本作の東京の景色は、夕焼けや朝焼けの色でビル群の色がいつも統制されていて、カラフルさがありません。夏の日差しと蜃気楼が東京の彩度を奪っていて、その美術も、嘘っぽいといえば嘘っぽいし、リアルっぽいといえばリアルっぽい

とにかく神がかり的な演出で日常会話を見せてくれるアニメということで、本作は特筆してオススメしたい作品です。もうすでに見たよという人も是非、もう一度、会話に注目して…

ソウルイーター

(C)大久保篤/スクウェアエニックステレビ東京・KADOKAWA・ボンズ電通 2008

ハガレンに次ぐガンガン原作のボンズの1年アニメです。

放送時リアルタイムで見て、アート全体の独特さとキャラの愛らしさでのめり込んだシリーズになります。「桜蘭高校ホスト部」と同じく五十嵐卓哉監督による作品です。

ボンズボンズらしさだと自分が感じるものが全て入っている作品で、そもそも原作が少年漫画として独特の味付けがされた作品ではあるのですが、それをボンズの技術力が全て拾い上げています。そもそもsakugaアニメとしても有名で、1話のバトルシーンなんかは信じられないクオリティです。

背景美術も原作のティム・バートン的な町並みの表現がかなり独特で、しかもクオリティがありえないくらい高く、この特殊な世界観の作品にしっかり没入させてくれます。3Dで表現された死武専と太陽と月、墨で描かれたようなアウトラインの濃い建物、そして、ボンズといえばの青すぎる空。

原作のストーリーをアニメの1話1話に落とし込むための脚本の調整も丁寧です。また、先述した「桜蘭高校ホスト部」も同じくボンズで、双方ともに原作未完状態でのアニメ化であったのですが、こちらもアニメオリジナルの終盤の展開が非常に面白いです。ソウルイーターは原作よりも明るいというか前向きすぎる終わり方になりましたが、その少しヤケクソな感じも含めて見ていて本当に楽しかった

五十嵐卓哉監督のコミカルな演出も原作の少年漫画性に噛み合っていて、とにかくギャグが楽しいアニメでした。ギャグ全振りの回で、登場するキャラクターが、Aパート終了時に歌いだしてBパートに入るまでのCM中もずっと歌い続ける…という、現代では想像もできないようなありえない演出が入っていた記憶があります。今思い返しても意味がわかりません。よくそんなことができたな

いや…そう考えると、桜蘭といいソウルといい、当時のボンズって制作側が楽しそうすぎてビックリしますね…

また、このアニメといえば、主演の小見川千明さんの演技についても語らざるを得ません。散々棒読みと言われたソウルイーター時代の小見川千明さんですが、このアニメの一本大きな柱として作品の雰囲気を支え続けていたと言っても過言ではない独特の声で表現される主人公・マカ。アニメ用のハイライトのないキャラデと相まってかなり特殊な魅力があります。これは、他のアニメには決して無い魅力です

ストリートキッズを描いた原作の物語に対して用意された、ヒップホップ色の強いサントラも魅力的です。アニメのサントラを聞く習慣はあまりないのですが、ソウルのサントラは当時CDで購入しました。キャラソンも結構好きでしたね…

血界戦線

© 2015 内藤泰弘集英社血界戦線製作委員会

最初に紹介した「京騒戯画」の松本理恵監督の手掛ける原作つきアニメであり、監督がボンズと組んで制作したアニメです。とにかくOPとEDが印象的な作品

後に制作される「GOTCHA!」や「ベイビーアイラブユーだぜ」の座組が完成したアニメでもあります。原作は「TRIGUN」の内藤泰弘による漫画

ボンズの得意とするスタイリッシュでカクカクとした作画は松本監督の作家性と相性がよかったのか、京騒戯画よりも更にアクションが派手になっており、より監督の作品に通ずる「厨二病感」「ごちゃごちゃ感」みたいなものが洗練されてお出しされます

先述した「桜蘭高校ホスト部」と「ソウルイーター」と同様、原作未完状態でのボンズアニメですが、本作はなんと序盤からアニオリキャラを投入してストーリー自体を大きく改変しています。

もう現代ではめっきり見なくなった「アニオリキャラ」の存在もこのアニメの魅力で、オムニバス形式で1つ1つの街のエピソードを紹介していく原作漫画に対して13話のストーリーを提示するに伴い、原作に登場しない2人のキャラが物語の謎を牽引します。兄と妹、双子、釘宮理恵釘宮理恵で…

確実に内藤泰弘先生の描く漫画には登場しなさそうな、明らかに松本理恵監督の作家性から発生しているキャラクターであるにも関わらず、彼女らはあまりにも血界戦線の世界に馴染んでいて、そして、TVアニメとしての血界戦線を鮮やかに彩ります。そういう意味でこのアニメはある種の"アナザー血界戦線"であり、"京騒戯画2"でもあるのです。原作漫画に対するアニメ監督なりのアンサーが込められた本作には、桜蘭高校ホスト部と同様、アニメ化に対する一つの最適解を感じます。

まあもちろん非常に賛否が別れていたのも記憶にあります…。個人的には、半年遅れで放送された最終回を含め、なんやかんやで賛!という感じです。なんというか、交わらない2つの作家性(原作者と監督)が奇妙な噛み合い方をしている感じが好きです。

監督特有の不思議なテンポの良い演出も京騒戯画から輪をかけて増えており、 長回しに挟まるジャンプカットや流背を用いた演出、またサブリミナル的に挟まれる意味深なカットや、各話のサブタイトルが劇中世界に刻まれる演出、キャラクター紹介がカメラワークに取り込まれる演出など、これぞまさに…な松本理恵一色の体験ができるアニメです。ギャグに振り切ったOVAもメチャクチャ面白かった記憶。

京騒戯画だけでなく、「Zの一番長い日 前編」の大オチに使われたサーモグラフィーの演出なんかは、松本監督の初期演出回である「フレッシュプリキュア!」の第12話で用いられた演出のセルフオマージュ…というのは考えすぎかもしれませんが、カメラを用いた演出なんかにハトプリを感じることもでき、そういった意味で監督の文脈の集大成のような味わいもあるアニメです。
また、その後に作られることになる各種MVにもこれらの松本理恵性は引き継がれ、進化し、続いていきます。

 

一番好きなのは最終話「Hello, World!」ですが、特筆して好きなのは本作のOP映像です。

 

ひだまりスケッチ

©蒼樹うめ芳文社ひだまり荘管理組合

最後は迷いましたが、シャフトによるひだまりスケッチのアニメ1期です。

日常系漫画のアニメ化に関してかなり独特な試みがなされていた2000年代中盤、本作は時系列シャッフルというかなり思い切った手法で描かれており、それも個人的にはかなりフィットしているなと感じました

ひだまりスケッチは全部で4期まで制作されており、1期が最も「いかにもシャフト」って感じで、4期になるにつれてより原作に近づいていきます。個人的には1期が最も挑戦的で楽しい演出が多く、テンポ感も独特で好きです。先述までの「テンポの良いアニメ」ではなく、キャラ達のの~~んびりとした日常が、すごいのんびり進行していく、かなり不思議な空気感を味わえるアニメです。

いかにもシャフトとは言ったものの、「化物語」や「さよなら絶望先生」に見られるようなスタイリッシュでアート的な演出というよりは、なんか半ばヤケクソみたいな理由不明の謎の演出がこのアニメには大量にあります。ゆのっちの「✘」の形の髪飾りが長回しでゆっくり「◯」になる本当に意味のわからない演出や、同ポで切り替わるたびに徐々に成長するサナギのような生き物(キャラが一切言及しない)など、ほとんど悪ふざけみたいな演出が、盛りだくさんになります

そういった不思議な演出はさておいても、原作の4コマ漫画の落とし込みも綺麗なアニメです。毎話ごとに起きた出来事をゆのっちがお風呂で回想する流れは、このアニメの穏やかなテンポ感の中で最適すぎる落としで、挙げ句流れるED「芽生えドライブ」 美しすぎる

日常系アニメのチョイスはこの1本だけですが、「らき☆すた」や「苺ましまろ」「キルミーベイベー」などと悩んだ末のひだまりスケッチです。「スケッチブック」とも悩みましたが…やはり、ひだまり1期 至高

 

他にも

いい加減10本くらいに絞れるかなと思って10選をチョイスしてみましたが、こうしてみると、ボンズ東映などのアニメが多く世代を強く感じます。ハガレン1期とかも好きなので、初期ボンズ作品に対して憧憬があるのかもしれません。

同じくボンズの「コンクリート・レボルティオ」とか、あとは「ローリング☆ガールズ」「フリップフラッパーズ」なんかの、ああいった独特の味わいのあるオリジナルアニメが大好きなのですが、今回はその中で「京騒戯画」を選びました。もう10年以上、一番好きなアニメです。

それぞれの思惑と試行錯誤があってできたアニメを、◯◯枠などという感じに括るのは大変失礼であるとは思うのですが、これらのアニメを「そういう枠」として楽しむ節があります。「スペース☆ダンディ」なんかもそうですが、この手のアニメは最後まで見た視聴者をいまだ見たことのない領域へ連れて行く必要があると感じており、そういった意味で「Sonny Boy」なんかは最高打点を叩き出したアニメだと思いますが、趣味性によって選出を諦めました。

また、「SSSS.GRIDMAN」なんかも好きなんですが、見返してるのが9話ばっかりなことに気が付き、選出しませんでした。シリーズで見た時にTRIGGERであれば「ルル子」もしくは「シヨン」の方が好みの位置にあります。単話に着目した10選があればグリッド9話は間違いなく入ることでしょう。空が青すぎるアニメが好きです

これだけ生半可にアニメを語れるくせに、アニメ評論や作オタの世界を全く知らないため、自分のこの好みが属する系統などがあるのかイマイチよくわかっていません。この10選をチョイスするなら、こんなアニメも好きだろう、というオススメがありましたら、是非教えて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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