現在、映画ドラえもんシリーズの最新作『新・のび太の海底鬼岩城』が公開中です。この作品は、1983年に公開された映画ドラえもんシリーズ第4作『のび太の海底鬼岩城』のリメイクになります。43年前の作品がリメイクされ、今年公開されたわけです。
ここで、『ドラえもん』の声優一斉交替後(2005年以降)に公開された映画ドラえもんのうちリメイク作品がどれだけあったか見てみましょう。
『のび太の恐竜2006』(2006年公開)
『のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』(2007年)
『新・のび太の宇宙開拓史』(2009年)
『新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』(2011年)
『新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』(2014年)
『新・のび太の日本誕生』(2016年)
『のび太の宇宙小戦争2021』(2022年)
『新・のび太の海底鬼岩城』(2026年)
以上の8本が、現時点でのリメイク作品です。
今回の『新・のび太の海底鬼岩城』(以下、『新・海底鬼岩城』)は、先述のとおり、映画ドラえもんシリーズ第4作『のび太の海底鬼岩城』(以下、『海底鬼岩城』)のリメイクなわけですが、シリーズ第4作という最初期の作品のリメイクがこんなにも遅くなったのはどうしてでしょうか?
その本当の理由は不明ですが、私が思うところを書こうと思います。
結論から言うと、こちらの記事( https://koikesan.hatenablog.com/entry/2026/03/05/060654 )で書いたように、やはり『海底鬼岩城』の興行成績が不振だったことがネックだったのではないでしょうか。
関係者の方々が映画ドラえもんシリーズ存続の危機を感じるほど興行不振だった作品をリメイクするのは、当然の心理としてためらわれるでしょう。そういう心理が明に暗に影響し、いつかリメイクすべきと意識の片隅で思いつつも、なかなか実行できぬまま時間が過ぎ、声優一斉交替後20作目にしてようやく実現した……。そんな背景があったのではないでしょうか。
もう一つ、リメイクが遅くなった理由として参考になりそうなのが、『のび太の宇宙小戦争2021』公開時の山口晋監督の発言です。
スケジュール的にオリジナルは難しいだろうということになって「じゃあ原作は何がいいですか?」と言われて、自分はすぐに『のび太の宇宙小戦争』を希望しました。
実は『のび太の海底鬼岩城』も勧められたんですが……これ、ネタバレになりますけれど、最後にバギーちゃんが死んじゃうじゃないですか。人間ではないとはいえメインキャラが死ぬことを感動につなげるのは、自分としてはちょっと抵抗がありました。
あとは、水の中での表現がものすごく大変なんですよ。止まっていても髪や服はなびかないといけないし、立ち方にも影響するでしょうから。いくら「テキオー灯」を浴びているとはいえ、空気中と同じように描くのはさすがにダメだろうな、と思いました。その点、宇宙はまだ楽なんですよ(笑)。■アニメージュプラス 『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』監督が明かす「夢の5カ年計画」
https://animageplus.jp/articles/detail/42553/2/1/1
この発言を読むと、山口監督は旧作のリメイクを担当することになった際すぐに『のび太の宇宙小戦争』を希望したものの、『海底鬼岩城』も勧められていたことがわかります。
しかし監督は『海底鬼岩城』を選びませんでした。
なぜ選ばなかったのか。その理由として、バギーちゃんの最後を描くのに抵抗があったこと、水の中での表現がとても大変なことを挙げています。
山口監督がここで語ったようなことも、『海底鬼岩城』のリメイクがここまで遅くなった事情として考えられそうです。バギーちゃんのあのラストは、1983年の旧作公開当時もファンの間で物議をかもしましたから。
さらにもう一つ。『海底鬼岩城』がリメイクされる前に、海底を舞台としたオリジナル作品『のび太の人魚大海戦』(2010年)が公開されたことも、『海底鬼岩城』のリメイクを遅らせた一つの因子かもしれません。海底を舞台とする作品を近い時期にまたやるのはネタかぶりになってしまいますからね。
そんなこんなで実現に時間がかかった『海底鬼岩城』のリメイク作品『新・海底鬼岩城』が現在劇場公開まっ只中です。リメイク実現までの道のりの長さを思うと、じつに感慨深いです。