『新・のび太の海底鬼岩城』の公開初日(2/27)から3日間の興行成績がじつに好調だったようです。
公開から3日間の興行収入は、観客動員が62万1103人、興行収入は7億7968万1350人。最終興収46億1000万円を記録した昨年の『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』と比較すると、109%の動員&111%の興収となっており、もし前作と同じペースで推移すれば「興行収入50億円」も十分狙える好発進となった。
■東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/936531?display=b
このネット記事でも書かれているとおり、1983年に公開された旧作の映画『のび太の海底鬼岩城』(以下、旧『海底鬼岩城』)は全映画ドラえもんの中でも特に興行成績がふるわなかった側の作品です。私の中でもその印象は拭えません。作品の内容としては優れていると思うし、個人的に大好きなのですが、残念ながら興行成績はかんばしくなかったのです。
ですから、そのリメイク映画である『新・のび太の海底鬼岩城』(以下、『新海底鬼岩城』)は興行成績の面でどうなるのだろう……と公開前から多少なりとも気になっていました。昨年公開された『のび太の絵世界物語』が大好評・大成功だっただけに、なおさら気がかりでした。
で、蓋をあけてみれば、『新海底鬼岩城』は良好な発進をしたのです。これは驚くべき大健闘とみてよいのではないでしょうか。そう評したくなるくらい、「旧『海底鬼岩城』は興行的に苦戦した」という印象が私の記憶に刻まれています。
配給収入(今は興行収入が発表されますが、当時は配給収入が発表されていました)が10億円、動員数210万人……。数字だけだとあまりピンと来ないかもしれませんが、私の中に「旧『海底鬼岩城』は興行的に苦戦した」との印象が強く刻まれているのは、映画制作の当事者から次のような発言があったからです。
まずは、旧『海底鬼岩城』から映画ドラえもんシリーズの監督を長年つとめることになった芝山努監督の発言を紹介しましょう。
『海底鬼岩城』は、以前の3作にくらべて観客動員が落ちたんです。それで次がダメだったら打ち切りになるぞ、と周りから脅されて(笑)
※「クイック・ジャパン」vol.64(2006年2月26日発行)より
もう一つ、旧『海底鬼岩城』プロデューサーの別紙壮一さんの発言です。
劇場映画の部門は、配収がダウンした映画「のび太の海底鬼岩城(83)」の後、翌年の公開するべきか、そうとうな危機感を感じていました。翌年の「魔界大冒険」は失敗するわけにはいきませんから、広告代理店も必死に「グリーンドラえもんキャンペーン」などの企画でバックアップをしていただきました。
※藤子不二雄ファンサークルマガジン「Neo Utopia」第40号(2005年8月12日発行)より
これらの発言を読むと、旧『海底鬼岩城』の興行的な不振は、映画ドラえもんシリーズが今後も続けられるかどうかに関わるほどの一大事だったことがうかがえます。ある意味、映画ドラえもん存続の危機だった、とさえ言えそうな事態だったのです。
幸いにして、翌年公開の『のび太の魔界大冒険』が興行的にうまくいき、映画ドラえもんシリーズは現在まで続く記録的な人気シリーズとなったのですが、旧『海底鬼岩城』の公開が終わった直後の時点では、内部的には相当なピンチだったようです。
そういう印象が私の頭にあるがゆえに、旧『海底鬼岩城』のリメイク作品である『新海底鬼岩城』が興行収入面でどうなるか、ここ何年かの映画ドラえもんの中で特に気がかりだったのです。そして、そういう心理状態で公開を迎えたがために、『新海底鬼岩城』が好発進したという情報は、意外だなという率直な感想も込みで私には大いなる朗報だったわけです。
好発進できたのは、『海底鬼岩城』がどうこうというより、昨年の『絵世界物語』がよかったのでその影響が大きいのかもしれませんし、近年の映画ドラえもんシリーズが積み上げた信頼感やブランド力の強さかもしれません。
本当の勝負はここからでしょう。
はたして、『新海底鬼岩城』の興行収入は最終的にどこまでのびるでしょうか。行けるところまで行ってほしいです。