本日は4月1日、藤子・F・不二雄マンガで何度も題材になっている四月バカ、エイプリルフールです。

エイプリルフールは、簡単に騙されやすいのび太にとっては、やたらと猜疑心にかられたり繰り返し悔しい思いを味わったりと厄日のような日なのですが、未来の世界へ戻ってしまったドラえもんが帰ってきてくれた日なので、それを思えば何よりも嬉しい吉日でもあるのです。のび太から見れば、そういう極端な両面性のある日なわけです。
『ドラえもん』の「うそつ機」(てんとう虫コミックス3巻などに収録)はエイプリルフールを題材としたエピソードのひとつです。冒頭ののび太とジャイアンのやりとりがじつに面白い。
「きょうは四月一日だから、うそをついてもいいんだぞ」との理由でジャイアンにウソをついたのび太。ところがジャイアンは「四月一日? おまえ、なにをかんちがいしてんだ」と反応。のび太は「えっ、きょうは四月二日? しまった…………」とあわてます。
ジャイアンはすかさず「ということは、なぐられてももんくいえないな!」とのび太に迫り、「い、いえない」と青ざめるのび太をボコボコに。
そうしたあとジャイアンは「べえ、ほんとは四月一日だよ」と舌を出しながら去っていきます。のび太はズタボロの姿で「ああっ、だまされた」となすすべもありません。
2人によるウソの駆け引きは、(殴られたのび太があまりにも気の毒ではありますが)ジャイアンのほうが一枚上手だったというわけです。
そんなのび太とジャイアンのやりとりの源流的な話が藤子・F・不二雄先生の初期作品『コンちゃんのリンゴ』(初出:「二年ブック」1955年4月号)で見られます。本作は、全1ページ(12コマ)のかわいらしい小品です。
ここでは内容を具体的に記しませんが、
「4月1日だから嘘をついてもいいんだという理由でウソをついた者に対し、今日は4月2日だよとウソをつきかえして信じさせておいて、本当は4月1日だよとバラしてその場を去っていく」
という展開が『コンちゃんのリンゴ』で描かれていて、それは「うそつ機」冒頭ののび太とジャイアンのやりとりとかなり共通しています。
比較のため「うそつ機」と『コンちゃんのリンゴ』におけるそれぞれの「本当は4月1日だよとバラしてその場を去っていく」シーンを引用しましょう。

・『ドラえもん』「うそつ機」(初出:「小学四年生」1973年4月号/単行本:てんとう虫コミックス『ドラえもん』3巻など)より引用

・『コンちゃんのリンゴ』(初出:「二年ブック」1955年4月号/単行本:藤子・F・不二雄大全集『初期少女・幼年作品』)より引用
こうして一部のコマを比べてみるだけでも、両作の共通性を感じてもらえるのではないでしょうか。
両作で違って感じられる点をあえて言えば、「うそつ機」の場合、今日は4月2日だよとウソをつきかえされたのび太がジャイアンに殴られて結局被害者になってしまうのに対し、『コンちゃんのリンゴ』のほうは、今日は4月2日だよとウソをつきかえされた側が悪役であり、悪役が結局損をすることになって終わるところです。「うそつ機」はなんだか理不尽な結果となり、『コンちゃんのリンゴ』は(ささやかながら)溜飲の下がる結果となるのです。とはいえ、私のこれだけの説明だとわかりづらいと思いますので、機会がありましたら『コンちゃんのリンゴ』を読んでみてくださいませ。藤子・F・不二雄大全集『初期少女・幼年作品』に収録されています。
(ちなみに、『コンちゃんのリンゴ』と同年同月に発表された藤子F先生の少女向けマンガ『ゆりかちゃん』にも「エイプリルフール」という話(初出:「少女」1955年4月号)があります。しかも、今日は4月1日だと思ったら4月2日だった…的なアイデアまで似ています。このときの若き藤子F先生にとって、エイプリルフールの日付ネタはマイブームだったようです(笑) ただ、「うそつ機」や『コンちゃんのリンゴ』と決定的に違うのは、今日は4月2日だよというのがウソではなく、本当だったことです。今日が4月1日だと思い込んでウソをついてみたら実際は4月2日だった…という展開なのです)

・『コンちゃんのリンゴ』も『ゆりかちゃん』も藤子・F・不二雄大全集『初期少女・幼年作品』(小学館、2011年)に収録されています。

さて、本日は『ジャングル黒べえ』の主人公・黒べえの誕生日でもあります。
黒べえは「黒べえうそつかないっ」とか「うそ悪いっ!これジャングルの常識」と強い口調で訴えたことがあります。彼は4月1日に生まれながらも、心の底からウソを嫌い、かたくなにウソをつかない、アンチ四月バカなタイプのキャラクターなのです。
黒べえ、お誕生日おめでとう🎉🎉🎉
ウソをついてもいい日、ウソを楽しむ日、ウソをつかれることを警戒する日、言われたことがウソかホントかわからなくなる日……。
そんなエイプリルフールの今日は、ウソというものについて何かしら考えたり思いをめぐらせたくなる日です。
・「ソノウソホント」はエイプリルフールのエピソードではありませんが、ウソを題材としたエピソード、ウソに関わるひみつ道具の代表例としてご登場願いました😄