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瀬名秀明さんの『八月の博物館』が河出文庫に

 10月8日、瀬名秀明さんの初期長編小説『八月の博物館』の河出文庫版が発売されました。

 解説が辻村深月さんとは、なんたる適任者!
(『八月の博物館』は2000年に角川書店から刊行、その後2003年に角川文庫、2006年に新潮文庫になりました)

 

 辻村さんの解説を読みました。「瀬名さんは、私にとって、初めて出会った“ドラえもん好き”を公言する大人だったのだ。今では想像がつきにくいかもしれないけれど、当時はまだそうした大人は数少なかった」のくだりにあまりにも共感して感涙しました。瀬名さんほどガチの藤子ファンっぷりを感じさせてくれた著名人は、私にとっても初めてだった気がします。小学校を卒業して中高生になっても『ドラえもん』が好きであり続けることでずいぶん馬鹿にされた自分の過去の傷みがあるだけに、瀬名さんのような著名人の登場は奇跡のように心強かったしありがたかったし、(大げさに聞こえるかもしれませんが)時代が一歩前に進んだ!という思いをいだいたものです。

 1980年代、中高生や大人になっても『ドラえもん』が大好きなファンたちのことを藤子先生が「隠れキリシタンのよう」と喩えてねぎらっていたことも思い出しました。当時活動していた藤子不二雄研究会的なサークルで「世間の藤子作品幼稚論に対して」みたいな特集が組まれたりもして、全国の中高生や大人の藤子ファンが似たような経験をしていたのです。

 

 さて、光栄なことに、瀬名秀明さんにインタビューさせていただいたことがあります。
「『八月の博物館』は映画ドラえもんの冒険物語を思い起こさせて、藤子ファンである私は非常に愛着をおぼえています。瀬名先生が映画ドラえもんの原作を書いたらどんなものができるだろうと夢想したりもします」云々…という私の質問に対し、瀬名さんが「『八月の博物館』のクライマックス以降は、つまり『ドラえもん のび太の魔界大冒険』なんです」と答えてくださったのがとても印象深いです。
 続けて瀬名さんは『のび太の魔界大冒険』についてこう語られました。
「いったんエンドマークが出て、でもこれじゃあパラレルワールドの事件は解決しないからやっぱり話を続けよう、となるところ、リアルタイムで「コロコロコミック」を読んでいてびっくりしました。映画館でもあのシーンでは子どもも大人もみんな呆気にとられていましたよね。物語の魔術を見せつけられた瞬間でした。あのときのびっくり感がいまでも体に残っているのだと思います」

 瀬名さんとこうした言葉を交わせたのは今思い出しても至福の体験です。

 

『八月の博物館』の主人公は藤子先生のファンの小学生・亨です。それゆえ、「前に藤子不二雄先生の『まんが大学』を読んだとき、胸に突き刺さるような言葉に出くわした」「藤子不二雄の真似をしたSFギャグを連載していたのだ」「藤子不二雄も『ドラえもん』と『魔太郎がくる!!』では絵柄が違うことくらい亨にもわかっていた」といった文に遭遇できます。
 また、直接的な藤子ネタではなくとも、「恐竜」「タイムマシン」「古代エジプト」「ピラミッド」「カンビュセス」「ミノタウロス」「ミノア」「シュリーマン」といった藤子Fテイストのワードにも出会えます。
  
『八月の博物館』の末尾には「本書を、故 藤子・F・不二雄先生に捧げる」という献辞が添えられています。そんなところからも、この小説が藤子F先生リスペクトの作品であることがうかがえます。
(藤子F先生への献辞を載せている小説としては、ほかに、よしもとばななさんの『デッドエンドの思い出』が思い浮かびます)

 

 このたびの河出文庫版発売によって、『八月の博物館』が(辻村深月さんの解説とともに)多くの新たな読者を得られることを願っています。




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