藤子ファン仲間Nさんが主催し、私も準備などで協力させてもらっている「藤子不二雄ファン関西懇親会」参加のため、大阪へ行ってきました。主に関西地方に住む藤子ファン仲間が集まってワイワイやる会合ですが、主催のNさんは神奈川県民、私が愛知県民人でして、それだけでも少し不思議な集まりです。年2回の開催で、今回が7回めとなります。
1日目(10日・土)は、通例どおり、午後2時ごろ「まんだらけ梅田店」に集合、店内をぶらぶらと見て回ったあと、向かいにある喫茶店へ移動してダベり、夕方から居酒屋で宴会、その後、居酒屋と同じビルにある喫茶店で深夜までおしゃべりするというスケジュールでした。昼間のみ・宴会のみの参加者も含め、総勢15人が集まりました。
“藤子ファン”の会合ですから、当然ながら藤子談義で大いに盛り上がるわけですが、藤子関連のネタに限定せず、話題はなんでもありなので、一種のカオスのような状態になり、その混沌とした雰囲気も懇親会の魅力になっています。
藤子関連のネタでは、初参加の女性Pさんが藤子A先生の『プリンスデモキン』の初出冊子をたくさん持ってきてくれたのが、まず特筆すべきことでした。『プリンスデモキン』は、学研の通信添削教材「トップラーン」の別冊ふろくで連載された児童マンガです。連載期間は1991年4月号から1999年3月号(以後、1年間の再録あり)と長期にわたっており、全部で96話が発表されました。単行本は学研から「GSコミックス」というレーベルで2巻まで出ましたが、連載初期の24話分が収録されただけで、単行本未収録の話が全体の4分の3も残されています。全話が単行本化されれば、8巻まで出ていた計算になります。
Pさんが持ってきてくれたのは、最終話を含めた連載後期のもので、単行本未収録の回ばかりだったため、それを読ませてもらえて非常にありがたかったです。読ませてもらった話のなかに、喪黒福造もどき、魔太郎もどき、プロゴルファー猿もどきのゲストキャラが登場していて興味深かったです。最終回は、主人公のデモキンが、作者である藤子A先生の仕事場「藤子スタジオ」を訪問する話で、これも藤子ファン的に興味をそそられる内容でした。
Pさん以外の方が持ってきたものでは、こんなものが藤子ファン的においしかったです。
・『フータくん』番外編
1965年から67年にかけて「別冊少年キング」に掲載された『フータくん』番外編は、全14話中13話が単行本未収録で、初出誌の「別冊少年キング」に結構なプレミアがついているため、読むのが困難になっています。私はこれまで数話だけ読んだことがあったのですが、未読の話にも目を通すことができました。それでもまだ未読の話がいくつも残されていますが…
・『UTOPIA 最後の世界大戦』のラストで藤子先生以外の人が描き加えた一コマ
1953年に鶴書房から刊行された『UTOPIA 最後の世界大戦』の単行本は、マンガ古書史上で最高ランクのプレミア価格がついていることで有名です。ン百万円という世界ですね。その単行本のラストで、藤子先生ではない他人の絵が一コマだけ描き足されているのです。そんなことを無断でやられた当時の藤子F先生は、たいそうお怒りになったそうです。
後年復刻された『UTOPIA 最後の世界大戦』では、この他人による一コマが削除されているのですが、その一コマをOさんが見せてくれたのです。(Oさんは、オリジナルの単行本をお持ちというわけではありませんが、別の印刷物から手に入れられたようです) 私はすでにそのページを見たことがあったのですが、今回皆に回覧されたことによって、いろいろと話題が膨らんで楽しかったです。
・ソノシート『もぐっちょちびっちょ大冒険』
1964年にNHKで放映されていた人形劇『もぐっちょちびっちょ こんにちは』のソノシート。この人形劇自体は藤子作品ではないのですが、ソノシートのジャケット絵を藤子先生が手掛けています。高額プレミアがついていて、今回これを持ってきた方は4万2千円で購入されたそうです。
昨年の大みそか特番『大みそかドラえもん さらばネズミ年! 来年はモ〜 30周年だよ スペシャル』の中で放映された「ゆうれい城へひっこし」の原作の初出版を、Kさんが持ってきてくれて、それを見ながら皆で「ここが単行本収録版と違うんじゃないか」などと話したのも充実した時間でした。
『ドラえもん』は、ほとんどの話が小学館の「学年別学習誌」で発表されているのですが、なかには他の雑誌で発表されたものもあって、「ゆうれい城へ引っこし」は「少年サンデー増刊」が初出になります。「少年サンデー増刊」で発表された『ドラえもん』は全部で4話。「ゆうれい城へ引っこし」のほかに「のび太の恐竜」「ハロー宇宙人」「ラジコン大海戦」があります。私は、「のび太の恐竜」と「ラジコン大海戦」の初出誌を持っているのですが、「ゆうれい城へ引っこし」の初出をしっかり見たのは初めてだったので、胸がときめきました。
ダブって所有していたり不要だったりするコレクション品を皆で持ち寄って、それを欲しい人がジャンケンをしてゲットする、という企画も盛り上がりました。私は、何も出品せず何もゲットできなかったのですが、次回から何か持ってこようと思いました。
と、そんな感じで、極めてマニアックな物や、濃厚な情報や、それに対する多彩な言説が当たり前のように飛び交うのが、藤子ファン関西懇親会なのです。
懇親会のレポのたびに書いていますが、そういう物や情報のディープさ以上にディープなのが、参加された面々の奇々怪々なキャラクターです。よくぞこんな偏った人たちが一箇所に集まったものだ、と感嘆せずにはおれません(笑) 私だって一般社会のものさしで見れば相当ズレていて偏っていて変な人だと思うのですが、懇親会の只中にいると、自分が凡俗な常識人に感じられてくるのですから不思議です。でも、そういう変わり者たちの集まりの中にいると非常に落ち着くんですよね。こここそが自分の居場所だって実感できるのです。
翌11日(日)には、懇親会参加者から5人が集まって、心斎橋の「まんだらけ グランドカオス」や日本橋の古本屋などを巡りました。この日は、前日の反省会を楽しくやりながら、次回懇親会のアイデアを出し合ったりしました。
私はいつもなら2日目の夜に愛知の自宅へ帰るのですが、今回はその翌日が祝日だったので、さらに1泊し、12日に帰宅することにしました。
懇親会1日目に参加したSさんからメールが届いて、仕事と仕事の合間に空き時間がとれた、ということだったので、12日は2人で宝塚の手塚治虫記念館へ出かけました。もともと「3日目にもし余力が残っていれば1人で手塚治虫記念館へ足を運んでみようかな」とおぼろげに考えていたところだったので、付き合ってくれる人がいて俄然行く気がわいてきました。
手塚治虫記念館を訪れるのは、これが3回目かな。やはり手塚先生の原画を見られるのが最も感激的でした。


(当日Sさんが撮影した写真)
夜は、ミナミの居酒屋で飲みました。店のおばちゃんがよく話しかけてくる人で、私たちが延々としゃべっているのを見て「よく話が途切れないわねえ」と呆れたように感心されました^^ そのおばちゃんから「私にはいつモテ期が訪れるかなあ」と尋ねられたときは、「もうすぐですよ」と根拠もなく占っておきました(笑)
この3日間でお会いした皆さん、尋常でないほど濃くて楽しい時間をありがとうございました!
またお会いしましょう。