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感想『アイカツプラネット!』-「実写×アニメ」で描き出すアイカツ!の王道と “自分らしさ” が向かう場所

アイカツプラネット!』を視聴する上で、不安が全くないわけではなかった。作品のクオリティに不安があったわけでも「実写パートがあるなんてアイカツ!じゃない!」などという老害めいた考えがあったわけでもない。現実のアイドルにろくに触れたことがない自分と、この作品との「相性」が不安だったのだ。  

しかし、  

 

全くの杞憂だった。 

アイカツ!』~『アイカツオンパレード!』の四作品を経て辿り着いた、2025年現在の最新TVシリーズアイカツプラネット!』。実写×アニメという新しい形態で作られた本作は、いざ蓋を開けてみれば「新しい枠組みだからこそ、より際立つ “アイカツ!イズム” 」「 “実写とアニメを行き来する” 設定をフル活用したストーリー・演出」を併せ持つ唯一無二の傑作。そのクオリティの前では、自分が視聴前に抱いていた「実写のアイドルに縁のない自分でも楽しめるかな」「顔と名前とアバターを一致させられるかな」といった不安もいつの間にか消し飛んでしまっていた。 

ところが、本作はそのクオリティに反し決して「知名度が高い」とは言い難い状況。であれば、尚のこと声高に本作への感謝を叫ぶのが筋というもの……! 

というわけで、今回はそんな『アイカツプラネット!』の完走記録として、本作に流れるアイカツ!イズムや数々の魅力、そして何より「実写×アニメ」という作品形態が生んだ唯一無二の輝きについて振り返ってみたい。多々書かなければ生き残れない!!男児向けミラーイン)


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《目次》

 

 

アイカツプラネット!とは -「実写×アニメ」という新機軸について

 

アイカツプラネット!』は、データカードダス (使うのはスイングだが、区分としてはあくまで「データカードダス」らしい)TVシリーズ全25話+劇場版、そしてYouTube配信番組から成る『アイカツ!』シリーズの五作目。2020年3月に終了した『アイカツオンパレード!』から様々な要素が一新されているが、中でも目を惹くのはTVシリーズ「実写×アニメ」という作品形態だろう。 

 

「実写パートとアニメパートが別コーナーとして存在する」のではなく、本作はあくまで「ミラーインを介して現実世界 (実写) と仮想空間 (アニメ) を行き来する」という実写・アニメの融合作品。そう聞くとついイロモノか……? と身構えてしまうけれど、そもそもアイカツ!シリーズを手がける大元はなりきり玩具の王様ことバンダイ。なりきり玩具を売りたい同社にとって、この設定は「実写の方がなりきり度が高い/けれど、女児には実写よりもアニメの方が響く」というジレンマを綺麗に解消する文字通りの妙案だったのだろうし、いざ観てみると、自分も「むしろ、なぜ今まで “これ” がなかったのだろう」と驚かされてしまった。 

もしかすると「だったらそういうコンセプトで別の作品を立ち上げればいい」という声も上がっていたのかもしれない。確かにアイカツ!の歴代TVシリーズはあくまでアニメであり、この大きな方針転換に戸惑ってしまう気持ちは分からなくもない。 

けれど、アイカツ!の根底にあるものはあくまで「テレビの前の子どもに “アイドル活動” を通して夢や希望を届ける」という理念。そして、実写パートの導入でなりきりの没入感を高めることは「自分もキラキラ輝けるかもしれない」という希望をよりダイレクトに伝えられるということ。つまりはシリーズの理念に沿った正統進化であり、そのことは、メイクやファッションが自分の在り方を変えてくれる様を「実写故の説得力」で力強く描いた第18話『オシャレ!』を見れば一目瞭然だ。

 

第18話 オシャレ!

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とはいえ、これまでアニメ一本だったアイカツ!をそのまま実写で作ろうものなら、そこにはどうしても齟齬が生まれてしまうもの。そのためか、本作は随所に「実写」という性質を踏まえた様々な調整・チューニングが行われていた。 

例えば、実写ではやや画映えしづらいカードに対し、本作はキーアイテムが「スイング」という面子状のアクセサリーに変更されており、「ゲーム内と同じドレスを現実に作れない」問題には「仮想空間内で、ドレスの妖精 “ドレシア” の力を借りることで初めて完成する」という設定で見事に対応。シリーズお馴染みの「素人の主人公がいきなり注目を集める存在になる」という話運びも、実写作品故のリアリティラインを踏まえてか「トップアイドルのガワを貰い受けるため、事実上 “トップアイドル” からスタートする」というかつてない形でフォローされていた。このような数々の細かい工夫が、本作のアイカツ!感を支えていたと言っても過言ではないだろう。


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引用:【アイカツプラネット!】OPテーマ「Bloomy*スマイル」ノンクレジット映像 - YouTube

 

るり、栞、響子の物語に流れるアイカツ!イズム

 

本作のアイカツ!感といえば、シリーズのイズムを受け継ぐ=友情、ライバル、憧れ、そして「自分らしさ」を描いていくスポ根ストーリーは欠かせないところ。 

メインの八人に的を絞り、ゲストをほとんど登場させないという割り切った作劇もあって、彼女たちのキャラクターは少ない話数ながらもしっかり掘り下げられており、毎話のようにハッとさせられる/こちらの視野を大きく広げてくれるような物語が展開されていった。


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引用:【アイカツプラネット!】OPテーマ「Bloomy*スマイル」ノンクレジット映像 - YouTube

 

第2話『なんてったってアイドル☆』から登場する舞桜らの同級生=珠樹るりは、モデルとして高い人気を博する傍らで、ファッションブランド「メルティーハウス」のプロデュースも手がける実力者。理屈よりもフィーリングで突っ走る元気のアイドルだ。 

 

そんなるりは、メルティーハウスのマスコット=メルリのドラマが作られることになった第7話『踊るメルリルリ!』において「ドラマの脚本家にイメージを伝えようとするも、自身の中にある想いを言葉にすることができない」というピンチに陥ってしまう。 

この窮地を打開すべく、るりの語彙力を鍛えようと奮闘する舞桜たちだったが、最終的に事態を解決したのは「メルリの物語を劇で伝える」というるりの意外な閃きだった。るりは、そのイマジネーションで自分の弱点を「強み」に転化させ、言葉にするよりもずっと明確な形でイメージを伝えてみせた。誰にも弱点はあるけれど、それは「その人にしかできないもの」という強みと表裏一体なのだ。 

苦手なものがあっても、それを矯正するのではなく尊重し、活かしていくことで、弱点は「個性」として花開く。本話における彼女の活躍は、シリーズに通底する「自分らしさが道を拓いてくれる」というアイカツ!イズムが、令和という時代に合わせて進化した形と言えるかもしれない。

 

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引用:【アイカツプラネット!】OPテーマ「Bloomy*スマイル」ノンクレジット映像 - YouTube

 

本作の主人公=ハナこと音羽舞桜は、誰かに憧れてアイドルになったわけではなく、そのデビューも「トップアイドルのアバターを引き継ぐ」という極めて異例のものだった。そんな舞桜に対し「仲間たちへの憧れを原動力に、自らの手でアイドルへの切符を掴み取る」という主人公顔負けの王道アイドルデビューを見せてくれたのが、彼女の幼なじみである本谷栞。 

やや内気な読書家で、自信を持てずに一歩踏み出すことができずにいた栞。そんな彼女が、仲間たちのアイカツを見るうちに「自分もアイドルになりたい」と思うようになり、アイカツの中で「童話作家」という新たな夢に辿り着いていく過程は、本作の中でも特に力強く背中を押される成長譚。中でも、これまで自分に「譲って」きた舞桜に栞が真剣勝負を挑み、本当の親友/ライバルへと至る第19話『キミがいるだけで』には、思わず『アイカツスターズ!』を思い出して目頭が熱くなってしまった。栞と縁を結んだドレシア=ワンダーランドテイルとアイビースリーピングを富田美憂氏・山口愛氏というスターズ!コンビが演じられているのは、つまりそういうことだったり……? 

また、彼女の主役回といえぱ第18話『オシャレ!』も印象深い一編。歴代シリーズでもお馴染みの「メイクやファッションを学ぶ」シナリオが実写の力を得て大化けする……という発明ぶりについては前述の通りだけれど、このエピソードにおいては「その先」が描かれていたことも大きなポイントだ。 

作中で栞自身も言及している通り、現実でオシャレをしてもパーティー会場はプラネットの中であり、メイクやファッションが反映されるわけではない。しかし、シオリがパーティーを成功に導くことができたのは、そのオシャレが「元気と自信」をくれたからだった。 

オシャレの本質とは、見た目を飾るだけでなく「自信をつけて、心の持ち方をも変えられる」ことにある。そのことを主人公=舞桜ではなく敢えて栞を通して描いたことに、本作の真摯さか顕著に表れているように思うのだ。


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引用:【アイカツプラネット!】OPテーマ「Bloomy*スマイル」ノンクレジット映像 - YouTube

 

自分らしさ、そして「アバター」という本作のキーワードに向き合う役割を担っていたのが、名家のお嬢様兼生徒会副会長のエリート・梅小路響子。彼女のアイドルとしての姿=ビートは普段のイメージとはかけ離れたロックスターで、お嬢様故に周囲に距離を置かれていた響子は、当初アバターで自分を隠せば、誰にも壁を作られない」とビートの正体を隠し通していた。 

しかし、第8話『ロックンビート!』において彼女に転機が訪れる。 

番組の収録で思わず出てしまった「梅小路響子の仕草」が好意的に受け入れられたことをきっかけに、響子はビートの正体を明かすことを決意。彼女の得た「ビートこそが本当の私」ではなく「響子もビートも、分けることのできない “私” 」という答えには、アバター/仮想世界を女児向け作品で扱う上で欠いてはいけない視点――仮想世界は「逃避先」ではなく、現実世界とイコールの「自己表現の一つ」であるべき――が表れているだけでなく、この視点によって、アバターの持つ「オシャレ」というもう一つの側面が浮かび上がってくる。 

というのも、服もメイクも、自分を偽るためでなく「もっと自分らしく在る」ためのもの。それは仮想世界で纏うアバターも同じであり、決して現実の自分を否定するものではない。自分を彩り、気持ちを変えて、自分らしさを表現するための「オシャレ」の形なのだ。 

響子/ビートはあおい、ローラ、舞花に続く「じゃない!」族でもあるけれど、彼女の背負ったアイカツ!性はむしろこのエピソードの方にこそ顕著。彼女の物語は、プラネット!という作品においてはもちろん、現実におけるアバター/仮想世界の問題を考える上でも非常に大切なものと言えるかもしれない。

 

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(響子/ビートの「じゃない!」以外にも、プラネット!は崖登りをはじめとする「アイカツ!的要素」を意識的に散りばめている節がある。しかし、それ以上にストーリーやテーマの面で色濃くアイカツ!イズムを感じさせてくれるのが本作の大きな魅力だ)

 

音羽舞桜と『世界に一つだけのハナ』

 

お互いに背中を押しながら、時に助け合い、時に競い合うことで、それぞれの「自分らしさ」に近付いていくるり、栞、響子。そんな彼女たちの物語は、実写×アニメという奇抜さに反して王道ド真ん中のアイカツ!であり、自分はそんな本作を序盤から大いに楽しんでいたのだけれど、そんな「楽しむ」が「ハマる」に昇華される決定打となったのが、第10話『世界に一つだけのハナ』だった。


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引用:【アイカツプラネット!】OPテーマ「Bloomy*スマイル」ノンクレジット映像 - YouTube

 

始まりこそ「棚からぼた餅」だったものの、仲間たちとのアイカツや、先代ハナを目標に走り続けてきたキューピット=月城愛弓との交流を経て「新たなハナ」として少しずつ成長していた舞桜。しかし、彼女がそうして成長すればするほど、ハナの交代が発表されないことへの不安も膨れ上がっていった。 

(作中で描かれないため確実なことは言えないけれど) 先代ハナと舞桜のハナは、おそらく見た目以外の何もかもが別人。長々と隠し通せるとは到底思えないし、何よりアイドルの在り方として不誠実。スターレットプロモーションのマネージャー・綿貫いずみも「反響を恐れて発表しない」という選択をするような人ではない以上、考えられるのはやはり作劇の都合=ここまで引っ張るだけの「何か」が待ち受けているとしか考えられなかったし、問題の第10話では、開始早々最も恐れていた事態が起こってしまった。 

ふとしたことからハナの正体が明咲ではなく舞桜だと知ってしまい、狼狽するクラスメイト=桐畑敬斗。舞桜はその姿にショックを受け、自分の正体を打ち明けることに怯えるようになってしまう。 

一番身近なファンが傷つく様を目の前で見せつける、という容赦のない展開にはこちらまで思わず狼狽えてしまったけれど、そうして「自分を曝け出すことへの恐怖」を知った舞桜が同じ悩みを抱えたファンのために立ち上がる姿には、彼女の「独り立ち」をひしひしと感じられたし、トレーニングに励む舞桜に心を動かされる敬斗は本作の視聴者そのもの。この時既に、舞桜は「ハナの紛い物」ではない、正真正銘の「新生ハナ」として踏み出していたのだ。 

かくして迎えたファンイベント当日、ハナは「ファンには自分自身から本当のことを打ち明けたい」と、勇気を振り絞って自らの正体を告白。自分を自分らしく居させてくれるパートナー=シオリと共に、ユニットステージで披露するのは『またまたまたまたまた明日』!

 

またまたまたまたまた明日

またまたまたまたまた明日

  • 舞桜・栞 from STARRY PLANET☆
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アイカツアカデミー!』の歌枠配信で初めてこの歌を聴いた時は「和やかで暖かい歌だなぁ」などと軽い気持ちで聴いていて、コメント欄の凄まじい盛り上がりは一体どういうわけなのだろう……と正直不思議に思っていた。けれど、いざ出会ってみればそれは一目瞭然、もとい一聴瞭然だった。 

素朴に、和やかに未来向きの今を歌う『またまたまたまたまた明日』は、それ故に「陽明咲」ではなく「音羽舞桜」の歌。自らの正体を明かしたからこそ歌うことができる、新生ハナとしての決意の歌だったのだ。それをソロでなくシオリとのユニットステージで歌うのは、「自分は明咲にはなれない」=ありのままの、未熟で弱い自分を受け入れた証でもあるのかもしれない。 

プラネット!ならではの展開から送り出される、アイドル・ハナのひたむきな輝きと「歌とステージに全てが帰結する」美しいストーリー。これらを受けて自分は顔面ぐしゃぐしゃの大号泣だったのだけれど、本話には心を射抜かれてしまったシーンがもう一つあった。

 

「舞桜がハナになって “前とは何か違う” って離れていったファンもいる」
「えっ」
「でもね、新しくファンになってくれた子もいる」

-「アイカツプラネット!」 第10話『世界に一つだけのハナ』より

 

響子=ビートという事実にネガティブな反応があったように、自分らしく在ることは、それだけ「合わない他人」を生んでしまうということでもある。舞桜が明咲のコピーではなく「音羽舞桜のハナ」としてアイカツ!に励んだことで離れていったファンは、きっと作中で描かれているよりもずっと多いのだろう。 

けれど、るりたちが友になったハナは明咲ではなく舞桜。ハナのファンイベントに集まったのも、その多くは「今のハナ」をこそ愛する人々。もし舞桜が単に明咲のハナを模倣し、お悩み相談のような彼女らしいアイカツに励んでいなかったら、そんな景色を迎えることはできなかったはずだ。  

自分らしく在れば在るほど、合わない他人を生み出してしまう。かといって自分らしさを捨てて周囲に合わせてばかりでは、その人自身の輝きが失われてしまう。どちらにせよ、日々の中で「人との繋がり」が失われるのは避けられないことなのかもしれない。 

しかし、そこでもし勇気を出して「自分らしく在る」道を選べたなら、失われる以上に大切な繋がりと出会うことができる。ハナの正体が舞桜であることに落胆した敬斗が「今のハナも悪くない」と言ってくれたように。悩みを相談したファンが、正体を明かしたハナの告白に背中を押されたように。それは、SNSが社会基盤となった結果、人と人とが毎日のようにすれ違い、傷つけ合うようになった=自分らしく在ることに恐怖が伴うようになった令和の子どもたちに対する、アイカツ!からの「それでも、胸を張って自分らしく在ってほしい」というメッセージだったように思うのだ。

 

HAPPY∞アイカツ!

HAPPY∞アイカツ!

  • 舞桜 from STARRY PLANET☆
  • アニメ
  • ¥255

 

「実写×アニメ」だからこそ辿り着けた景色

 

舞桜がハナとして/アイドルとして本当のスタートラインに立った2クール目においても、彼女の前には様々な苦難が立ちはだかった。 

キューピット=愛弓との再戦や、親友・栞との直接対決、そして先代ハナこと陽明咲との決戦。これらを通して、舞桜の中には「自分にとって “仲間とファン” が何より大切」という想いが育っていき、その感謝の念がハナを更なる高みへ導いていった。 

ナンバーワンになるためでも、陽明咲に追いつくためでもなく、あくまで支えてくれた仲間・ファンへの「恩返し」のために輝く。舞桜のそんな等身大の輝きは、きっと2021年という時代において何より求められていた「すぐ側にある暖かな光」そのもの。舞桜を中心に廻る感謝の輪こそが本作の描こうとした「アイドル」であるなら、舞桜とステージに立ち続けてきたドレシア=オーロラペガサスが、他ならぬ「舞桜への感謝」でドレシアップを果たし、ローズを破る決定打となる第22話のクライマックスは、まさしく「みんなへの感謝」でアイカツしてきた舞桜の――あるいは『プラネット!』の集大成だったように思う。 

しかし、アイカツ!シリーズは得てして「実質最終回」の後に「真の最終回」が控えているもの。それは本作も同様で、ともすれば件の第10話や第22話以上に本作らしい、文字通り最後の花道を見せてくれたのが、第23話『夢の中へ』だった。 

グランプリ終結後のエピローグとなる第23話『夢の中へ』は、歴代シリーズでもお馴染みの「全員ステージでのフィナーレ」回。ハナ・シオリ・ルリ・ビートの四人ではなく、そこにキューピット・アン・ローズ・サラを加えた八人でのステージとあって、『Bloomy*スマイル』が流れ出した時点で既に涙腺は限界寸前。 

心のどこかには「予告でチラ見せせず、サプライズにしてほしかった」という不満もほんの少しだけあったかもしれないけれど、正直ハッキリとは覚えていない。Aパートの歌唱が終わり、ハナの掛け声で「画面が移り変わった」瞬間、その衝撃で思考も理性も何もかも木っ端微塵に消し飛ばされてしまったからだ。 

そう、第23話における真のサプライズ=舞桜がカタチにした「妄想」とは、素顔の八人 (STARRY PLANET☆) による『Bloomy*スマイル』の実写ステージだった。 

作中初となるこの実写ステージは、おそらく激動の半年間を走り抜いたSTARRY PLANET☆への祝福・感謝と舞桜の夢、そしてファンサービスを兼ねたもの。しかし、このステージは『アイカツプラネット!』という物語のフィナーレとしても非常に大きな意味を持っていたように思える。 

前述のように、友情やライバル、憧れといったシリーズのイズムを描き続けてきた『プラネット!』。その中でも、特に色濃く描かれてきたのが「自分らしさ」だった。それは、アバターと仮想世界を扱うにあたって導き出される必然でもあるし、時代の求めに応じた回答でもある。2クールかけてそれを体現していった=自分らしさを花開かせていった舞桜たちが、最後の最後にアバターを脱ぎ捨てて素顔でステージに立ち、同様に素顔で駆け付けたファンたちから「直接」エールが贈られる……。自分らしさの物語として/2021年に送り出された作品として、それは想像を絶する最上のグランドフィナーレだった。 

これまでもずっと「ステージに帰結する物語」を描いてきたアイカツ!シリーズ。このラストステージは間違いなくその系譜を継ぐものであり、同時に実写+アニメという形態だからこそ辿り着けた「シリーズを越えた瞬間」だった。この景色、そして劇場版のフィナーレを飾った感謝の花畑こそが、本作が掲げた実写+アニメという挑戦の「答え」だったのではないだろうか。

 

 

『プラネット!』の現在と未来

 

熱烈なファンを獲得し、自分のような後追い勢を次々と沼に叩き落としながらも、番組と連動した配信番組が非公開になっていたり、Blu-rayが受注限定生産であったりと、そのクオリティに反して不遇な気配が漂う本作。 

当時の世相と「タッチ式筐体」の相性の悪さをはじめ、そうなってしまった理由は諸々聞き及んでいるけれど、過ぎ去ったことを悔やみ続けてもしょうがない。注目すべきは、そんな本作にスポットライトが当たっている「今」だろう。 

2024年には「オールアイカツ」ブランドだけでなく『プラネット!』単独名義でのポップアップストアが開催された (厳密にはメンカツ!と同時開催) ほか、最新作『アイカツアカデミー!』においては、歴代シリーズのアイドルがゲストとして登場する「スペシャルアイドルコラボレーション」第三弾としてハナが登場。ドレシアという形で数多くの先輩に見守られてきた末っ子・ハナが、大人びたドレスと進化した歌唱で後輩を導く「先輩」になっている姿は、新参者の自分でさえ思わず感極まってしまうものだった。 

(尚、このハナは歌唱・モーション共に舞桜役・伊達花彩氏によるもの。氏のインスタグラムには今回のコラボへのコメントも投稿されており、今も伊達氏の中にはハナが生きているのだと実感することができる素晴らしいイベントだった)

 

様々な難しい事情があることは自分も耳にしているけれど、これらのようにアイカツ!シリーズが作品を大切にしてくれる限り、きっとこれからもプラネット!は生き続けてくれるのだろうし、筐体稼働とアニメ放送が続けて五周年を迎える2025年~2026年にはきっと何らかの動きが起こってくれるはず。現に、その第一陣はもうすぐそこまで迫っているのだ。 

2025年3月20日に行われるオーケストラコンサート『オケカツ!』には、歴代シリーズの歌唱担当である遠藤瑠香氏、星咲花那氏、天音みほ氏に加え、開催地の縁もあってなんと舞桜役・伊達花彩氏の出演が決定。アイドルグループ「いぎなり東北産」のメンバーとして活動される傍ら、こうして「音羽舞桜役」としても積極的に活動してくださることには氏の作品愛を感じずにはいられないし、そういったキャスト・スタッフからの愛もまた、本作が今もファンから根強い支持を受ける理由の一つなのだろうと思う。

 

アイカツ!ミュージックフェスタ FINAL Day2 Live Blu-ray【初回生産限定版】

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……などと言ってはいるけれど、自分もまだまだ『プラネット!』というコンテンツに触れきったわけではない。ライブはもちろん、YouTubeに公開されている実質的な続編『Bloomy*カフェ』など、自分はありがたいことにまだまだ本作を楽しむことができるらしい。そういったコンテンツに触れつつ、この先もずっと――受注生産限定販売だったBlu-ray BOXが再販されることを祈りながら、本作や作り手の皆様に感謝とエールを届けていきたい。 

ありがとう、アイカツプラネット!。よろしく頼みます、バンダイナムコフィルムワークス……!!

 




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