『自転しながら公転する』読了。
すごくタイトルがいいと思った。
母親の看病のため、実家に戻ってきた32歳の都。アウトレットモールのアパレルで契約社員として働きながら、寿司職人の貫一と付き合い始めるが彼との結婚は見えない・・・。
ぐるぐると思い悩む都はどこへ辿り着くのだろうか・・・
『家事をやりつつ、家族の体調を見つつ、仕事も全開で頑張るなんて、そんな器用なこと私にはできそうもない。』と都。
『でも世の中の例えば子供がいる人なんかはみんなそうしてる。ジャグリングみたいに4本も5本も一斉に回しているみたいな生活を毎日しているんでしょ。』
それに答えた貫一の言葉が『そうか、自転しながら公転してるんだな』
上手い!まさに、わたしたちは自転しながら公転している!!
貫一は中卒で、勤めていた回転寿司屋が閉店してしまい無職になってしまう。経済的な不安もあって貫一との将来について悩みつづける都。
この小説のプロローグとエピローグがベトナムでの結婚式のシーンなので読者は最後まで都がどんな選択をするのか一緒に悩むと思う。
なにか突発的なことがあるとすぐに涙を浮かべる都。
30歳を過ぎてもまだ幼い、幼稚とも思える。そんな都が自分自身と重なってしまう人も多いと思う。
筆者の山本文緒さんは1962年生まれでわたしよりかは年上で、今のようにマッチングアプリで相手を探したりする世代じゃないはずだけど、都はとても今どきだ。
読んでる間中、都の身勝手な思いを内心非難しつつもこれは自分かもしれないとキューっと苦しくなる。
これは共感というものだろうか?
全く共感できないのだけど。
山本文緒さんの著書は過去にたくさん読んでいる。(の割にこびとく日誌には一度も登場していないのは2005年以前だからか?)
『恋愛中毒』などドラマ化されたものも多い。
本書もドラマ化されていた。
いつも共感できないのにハマってしまう。そんな感じの作品ばかり。
一気に読んだ。
60代の彼女の作品を読んでみたかったがもうそれは叶わない。
