ストーリー
ねこ:「 は末尾に同じ数字
が
個並んでるね。」
きり:「平方数で、末尾にもっとたくさん同じ数字が並ぶものあるかな?」
ねこ:「末尾が のものは
のようにいくらでも長くできるね。」
きり:「 以外だとどうだろう?無限に長くできる?それとも最大値がある?」
ねこ:「気になるね。」
きり:「 進法以外で考えてみても面白そうだね。」
ねこ:「だね。やってみよう。」
なおこの記事はえびまさんの動画を参考に、議論を一般化したものです。
平方数の末尾に4は何個まで続くか?という1分の動画を作りました。 pic.twitter.com/MIkM9Tb8yw
— えびま (@evima0) 2025年9月4日
10 進法の場合
準備
を
で割った余りを
と書くよ。
また平方数 を
や
で割った余りの制約は以下のとおりです *1 。
これを使って、 進法で末尾に同じ数字がいくつまで連続して現れるか調べよう。
平方数の末尾に現れない数字
で割った余りに注目すると、平方数の下
桁が
になることはないことが分かる。
平方数の末尾に1つまで連続して現れる数字
および
より、
は平方数の末尾に高々
つしか連続して現れないことが分かる。なお、百の位以上は、
で割った余りに影響しないことに注意してね。
つ現れる例は
があるよ。
平方数の末尾に3つまで連続して現れる数字
つまり
より
は平方数の末尾に高々
つしか連続して現れないことが分かる。なお、一万の位以上は、
で割った余りに影響しないことに注意してね。
つ現れる例は
があるよ。
結論
進法では末尾に
個同じ数字が続くのが最大で、例えば
がそのひとつ。
定式化
ここから 進法以外に拡張する。まずは記号を定義する。
および
に対し *2、
を、
進法で下
桁がすべて
になるような平方数が存在するような
の最大値とする。ただし、そのような
が存在しないときは
、無限に大きくできるときは
とする。また、
とする。
前節の議論から、 進法の結果は以下のように書ける。
無限に長く続く条件
を固定したとき、いくらでも長くできる条件は次のように表せる。
あるいは中国剰余定理より順番を入れ替えて以下のようにも書ける。
以下この条件を満たす
奇素数
の条件
のとき、
が任意の
ここで
特に
素因数 2 の条件( n が偶数のとき)
について★が成立するのは、
が偶数で、かつ十分大きい
に対して
であることと同値。
実は は
のとき次のように書ける。
よって、★の条件は以下のように言える。なお で奇数はそれ自身の乗法逆元となることに注意。
無限になる例
前節の考察から、 が奇数のときや
の倍数のときは
とすれば無限に大きくできることが分かります。つまり、このとき
です。
例
例として 進法で考えてみましょう。たとえば
ですね。これを
となり、右辺の下
n が十分大きいとき
奇数と の倍数のときは無限であることが証明できたので、あとは
の形のもののみ。
実は が十分大きいときは、必ず
となる
が存在することが分かる。ここでは証明のイメージを理解するため、
が素数の場合を考える。このとき、
のそれぞれの区間に奇数の平方数が存在することが言えれば十分。
から、これは
つまり
程度以上なら成り立つ。
*4
結果が有限になる n
実際にプログラムなどで調べて見ると、有限の長さまでしか伸ばせないのはちょうど次の 個に限られる。
例えば の場合、
での議論から考えられる
は
の
種類、
の候補があるが、
は
の指数が奇数なのでダメ、その他も
で平方非剰余なので条件を満たさない。他の
に対しても同様に条件を満たさないことが確認できる。
なお、各 について、
進法での平方数の末尾に続く数字の最大数およびそれを満たす最小の例は以下のとおり。
| 最大長 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
これにより、各 について末尾に続く非零の数字の最大長
は以下のとおりであることが分かった。
おわりに
ねこ:「難しかったね。」
きり:「有限の長さまでしか伸ばせないのが 個しかないというのは非自明な結果で面白かった。」
ねこ:「ありそうな問題設定だけど先行研究あるのかな。」
きり:「簡単に調べてみたけど、ここまで体系的にやっているのは見つからなかったよ。」
ねこ:「OEIS にもこの 個の整数が連続する数列は登録されてなさそうだね。」
きり:「証明も思ったより大変だった。」
ねこ:「証明できたぜみたいな顔してるけど、範囲評価のところで が素数じゃない場合の議論を誤魔化してなかった?」
きり:「ううう」
End