2025年の上半期に読んだ本のなかから、良かったものを10冊選びました。フィクションとノンフィクションをそれぞれ5冊です。この半年では、長めの作品をじっくり読むことができたかなと思います。

フィクション
松家仁之『火山のふもとで』(新潮文庫)
上半期はこれを読めたのがとてもよかった。薦めていた人たちに感謝したい。別の著作も気になるところ。感想はこちらに。
R・F・クァン『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史』(訳・古沢嘉通、東京創元社)
19世紀、大英帝国のオックスフォードにバベルと呼ばれる塔がある。ここでは翻訳家が魔法を研究し、社会インフラとして運用されている。それは利便性をもたらす一方で格差の根源にもなっている、という設定。主人公ロビンは中国からバベルの世界へと移され、仲間と共に厳しい修行を日々を送る。やがてこの世界のしくみに違和感をもちはじめ、革命へと動き出す。魔法の設定とスリリングな展開が魅力的だった。
アンソニー・ドーア『メモリー・ウォール』(訳・岩本正恵、新潮クレストブックス)
密度の高い短編集。すごいものを読んだという感覚があるのだけど、どうすごいのかをうまく言えない。動作を丁寧に描くことで、心情が勝手に伝わってくるような感じがする。しかし描写に過剰さはなく、文から文へのジャンプを絶妙に決めつづけている印象がある。不妊治療をする夫婦を描いた「生殖せよ、発生せよ」がベスト。また読むはず。
増田俊也『七帝柔道記』(角川文庫)
レイラ・ララミ『ムーア人による報告』(訳・木原善彦、白水社エクスリブリス)
ノンフィクション
村上春樹『アンダーグラウンド』(講談社文庫)
いつか読みたいと思って早数年。事件から30年になってようやく読めた。1995年3月20日、地下鉄サリン事件。あの朝に何が起きていたのか、被害者と関係者60名以上にインタビューをし、700ページにもなる語りとして文章にしている。エッセンスを抽象化してとりだすのではなく、あくまで一人一人の言葉として粘り強く読ませるのが素晴らしい。メディアには加害者の物語があふれるなかで、そうではない物語をつくること。
ウェイド・デイヴィス『沈黙の山嶺 第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト』(訳・秋元由紀、白水社)
およそ100年前、初のエヴェレスト遠征隊が初登頂に挑戦した。彼らの足跡と戦争体験を見事に織り合わせた作品。白水社の現代史アーカイヴスの1作目ということで、このシリーズは読んでいきたい。感想はこちらに。
窪田新之助『対馬の海に沈む』(集英社)
近藤滋『波紋と螺旋とフィボナッチ』(角川ソフィア文庫)
立花隆『青春漂流』(講談社文庫)
以上の10冊です。
読みたい本は日々増えていますが、タイミングがきたときには逃さずに読んでいきたいです。
前回分はこちら。











