■ 朝日新聞 2000.6.4 評者・斉藤美奈子
金井美恵子『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』(朝日新聞社)
斎藤美奈子といえばフェミ系ながら気風のいいタンカと年増の愛嬌でクロい贔屓も多い書き手。かくいうあたしも結構好きなのだが、その彼女でさえこんなベタな書評を書いちまうから書評の世界はおっかない。
かねがね謎なのだが、なんでこの金井美恵子ってオバサンはブンガクまわりでこんなにちやほやされるのか。編集者はもちろん、こわもてでならすオヤジ評論家たちまでほんとに腫れ物扱い。言いたい放題言い散らかしてなおテヘヘと恐縮しているさまは、勘違いしたイヤミな寿司屋とそこに通うアホな客じゃないの。普通ならそのへんスルドくツッコミまくるはずの斉藤までがなぜかヨイショ丸出し。
「金井美恵子は『目白四部作』と呼ばれるチャーミングな連作があって」とか「われらが桃子(が主人公の名前)はどんな風に成長しているか」とか、手前勝手にはしゃがれたって困っちまうんだよねえ。
■ 日本経済新聞 2000.6.4 評者・中谷巌
佐藤雅彦・竹中平蔵『経済ってそういうことだったのか会議』(日本経済新聞出版)
世渡りの利害を共にする内輪ぼめの見本みたいな書評。「この本が発売以来大評判になり、ベストセラーを続けているのはもちろんタイトルのせいではなく、中身のせいだ。中身が本物でないものは本であれ、何であれ、長続きはしないからである」なんですと。経済の素人が経済のプロに素朴な質問を投げかけるんだそうですが、おいおい、「だんご三兄弟」を仕掛けた元電通の広告屋佐藤がなんで「素人」なんだよ。総研理事長なんてジイさまの見る「経済」なんざそょせんそんなものなんすね。あ、それと、今やITバブルを血眼であおりまくる竹中が元官僚で慶應のセンセイってのは知ってたが、一方の佐藤まで知らない間に「慶應大教授」になってんのにはびっくり。そう言えば日比野克彦だの香山リカだの宮崎緑だのといった広告バブリー系ブンカ人もいつしか大学のセンセイになってやがったし。うーん、ニッポンの大学、やっぱりもうダメかも。