概要
先日はてな東京オフィスにて「国産サービスで実践するオブザーバビリティ入門」というイベントが開催され、そのイベントに登壇しました。
登壇資料
「国産サービスで実践するオブザーバビリティ入門」を執筆して感じた国産ツールの魅力
イベントに登壇したきっかけ
5月に開催された「Mackerel APM リリースパーティ」にて、 id:missasan さんから企画のご提案をいただいたのが今回のきっかけです。
ちょうど技術書典18で出す予定だった『国産サービスで実践するオブザーバビリティ入門』について X で投稿した直後で、投稿をご覧くださった missasan さんから「書籍の内容を軸にした3社共催イベントをやりましょう」という、ありがたいお話をいただきました。
発表の中でもお伝えしましたが国産サービスを盛り上げていきたいという思いが私の中にはあり、イベントを開催することはより沢山の人にこの思いを届けられる絶好の機会だと感じました。
そこから関係各社との調整は missasan さんが主導して頂き、イベントの開催に至ったという流れです。
このイベントは missasan さんの提案と推進力が無ければ開催されませんでした。 missasan さん本当にありがとうございました!!!
登壇した感想
今思い出したのですがオンライン・オフラインのハイブリッド形式での登壇は今回が初めてだったかもしれないです。人前で話すのは苦手ですが、上手に話せるようになるには登壇の数を増やしていく必要があると考えているので、今回のようなイベントは自分にとっても良い経験になりました。
発表内容としては以下の3点についてお話ししました。詳しくは資料をご覧ください。
- オブザーバビリティとは
- なぜ「国産ツール」にこだわったテーマで執筆を行なったのか?
- 執筆を通じて感じた国産ツールの「リアルな」魅力
自分が実際に「さくらのクラウド」と「Mackerel」を触ってみて感じたこと、そして国産サービスを盛り上げたいというシンプルな思いをぶつけました。
N = 1 の内容にならないか発表前少し不安にはなりましたが、終わってから X のタイムラインを見ると温かいコメントが多く、共感してくださったようで嬉しかったです。
また、次の技術書典では「国産サービスで実践するオブザーバビリティ入門」の続編を書く予定でいるのですが、登壇を通して執筆のモチベーションが爆上がりしました。皆さんご清聴していただきありがとうございました。
セッションの感想
Mackerel in さくらのクラウド
さくらインターネット株式会社の久保さんの発表です。
さくらのクラウド内部における Mackerel 利用のお話でした。Mackerel の利用者の増加に伴い、SAML連携を導入しアカウントを自動作成されるようにした話は印象的でした。
また、Mackerel のモニターは Terraform で管理しており、GitHub に PR を作成しマージをすると plan と apply が実施されるような仕組みになっているとのことです。ダッシュボードは Terraform による記述が大変なので手動で管理しているという話もあり、ここは とても共感しました。
Mackerel の外形監視を利用する際に、以前まで Mackerel の利用 IP アドレス範囲をヘルプページから手動でコピーする必要がありましたが、現在では JSON 形式で取得できるようになり、自動化が捗っているという話もありました。このあとのパネルディスカッションで話されていたのですが、JSON 形式で取得できるようにしたいという要望を Mackerel に出したところ実装されたというエピソードもあって、国産ならではのリアルな良さを聞けました。
オブザーバビリティ文化を組織に浸透させるには
株式会社はてなの大仲さんの発表です。
私が執筆した「国産サービスで実践するオブザーバビリティ入門」の第5章のタイトルでもある「オブザーバビリティ文化を組織に浸透させるには」というテーマでお話しされてました。
はてなでは PWG(Performance Working Group)という取り組みをしており、サービスの運用状況を見直す定例会を定期的に行い、そこでは障害の振り返りやちょっとした気づきやモヤモヤしていることの共有が実施されているとのことでした。定点観測会よりもっと幅広いテーマで行われているような印象で、気づきを気軽に共有できる場が定期的に用意されているのはサービスを提供する上で良いことだなと思いました。
また、PWG の中でダッシュボードを確認する際は議事録を取りつつその場で調査を行い、もし調べきれなかったらオブザーバビリティが足りていないことになるので、計装する Issue を入れたりするというお話は、さすがオブザーバビリティツールを提供している会社だなと思いました。
全体を通して id:onk さんの発表は「国産サービスで実践するオブザーバビリティ入門」の第5章のタイトルのアンサーのようなもので、聞いていてとても勉強になりました。取り上げて頂きありがとうございました。
パネルディスカッション
パネルディスカッションはそーだいさんがファシリテーションを行ってくれました。
また、登壇者に加え株式会社X-Tech5の馬場さんとさくらインターネット株式会社の長野さんもパネラーとして参加してくれました。
テーマ1: オブザーバビリティは本当に高いのか?その裏にある課題とは?
そもそもオブザーバビリティはサービスを運営するために必要不可欠なものであり、足りなければ悪影響が出るという話がありました。また、オブザーバビリティツールがやっていることを人が全て行った場合、人件費と比較すると安いという見方もできると言った話や、インフラ費の 15 〜 20%がオブザーバビリティに使われても問題ないと言われているという話もありました。
これらのお話はオブザーバビリティの導入にコスト面で懸念を抱いている人に対して後押しをできそうな内容でしたので、パネル登壇者ではありましたがとても参考になりました。
テーマ2: 当事者が語る国産ならではの良さ
利用者と開発者側の距離が近いといったテーマが多かった気がします。これは僕の発表でも主張したものですが、やはり言語の壁がなく直接会って話すことができるという体験はお互い相乗効果を生み出せて良いものだと思いました。
テーマ3: 国産サービスのデメリット・課題
現状ではデファクトスタンダードの選択肢に入っていないという話がありました。これは私も痛感しており、だからこそ状況を変えるために書籍の執筆を決意しました。一方で Mackerel としては、OpenTelemetry などの標準化が進んだことで、プラグイン開発の負担が減り海外サービスとも戦いやすくなったという話は印象的でした。
テーマ4: AIの発展でオブザーバビリティへの向き合い方どう変わっていくのか
AI によって異常検知など「気づかなかったこと」に気づけるチャンスが増える一方、 AI が指摘したことが本当に問題なのか、今解決すべき課題なのかは人間が判断する必要があるといったことが最初の方で述べられていました。異常でも問題ないケースは多いため、そうした判断を人がやる必要があるという話はまさにその通りだなと思いました。そのためにも、個人の基礎能力はこれからもっと必要になるというふうにも感じました。
また、メトリクスのデータ量は膨大なので全てを AI に渡すとトークン量を超えリミットに達してしまうという話もありました。これは僕も同じような現象を検証した時に遭遇したことがあるので共感しました。AI に渡す際には良い感じにデータを絞って渡すテクニックが必要であり、ここでも個人の基礎能力が必要になってきそうだなと思いました。
勉強会の全体的な感想
今回登壇メンバーが豪華過ぎたこともありイベントに参加する前はとても緊張していたのですが、温かい雰囲気で迎え入れてくれてとてもありがたかったです。
今回のイベントを通じて国産サービスを盛り上げていくというのが日本国内で少しでも流行すると嬉しいです。
登壇者の皆さん、会場の提供および運営をしてくださった株式会社はてなの皆さん、本当にありがとうございました!