1.まさかの独占禁止法違反
先月、世間を賑わせたニュースをご存じの方も多いだろう。カップ麺最大手の日清食品が、独占禁止法違反(再販売価格拘束)の疑いで公正取引委員会から警告処分を受けた。。
本件はいわゆる「再販売価格拘束の禁止」に該当。一般的に、メーカーは卸売事業者や小売事業者に商品を販売した場合、もはや所有者ではないので、これらの事業者の価格決定には関与できない。にもかかわらず、メーカーが相手方に商売上の不利益(リベートの支払減額・中止や販売終了)を課すことで従わせるのは違法となる。あまりにベタなケースなので、企業法務担当者である私も「大手企業がこんな典型的な行為を行うとは・・・」と非常に驚いた。
以前に何かの記事で目にしたことがあるが、日清食品は充実した法務部門を有しており、グループ全体に十分な法務体制を敷いているはず。例えば、法務研修等で従業員に対して独占禁止法についても教育していただろうに。にもかかわらず、このような出来事が発生したのは、一体なぜだろう?
実は私自身、前職時代に類似の事例で全国の拠点を法務研修で行脚した苦い経験がある。当時は一人で全国を回り、現場の営業担当者と対峙し続けた。結果として私のプレゼンスキルが飛躍的に向上するという副産物はあったが、組織にコンプライアンスを浸透させることの難しさを、身をもって知った時期でもある。
今年に入り、日産自動車の下請法違反など、日本を代表する大企業の摘発が相次いでいる。どれほど法務部門を充実させても、現場の隅々まで統制を効かせることは、現実には至難の業であることを改めて思い知らされる
このような日清食品や日産自動車の違反事例をふまえると、充実した法務部門を有する大手企業といえどもコンプライアンス的なコントロールは現実的に難しいことを思い知らされる。かといって全く何も手当しないわけにはいかないので、こうした不祥事が発生するたびに法務研修やルール作りを進めていくしかないのだろう。
2.「攻めの広報」と「守りの法務」のコントラスト
一方で、今回の不祥事がありながらも、日清食品という企業に対してどこか憎めない印象を抱いてしまうのは、私だけではないだろう。同社のCM戦略は、関西弁で言うところの「おもろい会社」を地で行く、突き抜けたユーモアに溢れているからだ。
過去に名探偵コナンの犯沢さんと謎肉を絡めたCMをWEBで見たことがあるが、あれは爆笑もの。「こんなぶっとんだCMを出してくるなんて、日清は懐の広い(?)会社だなあ」と好感を抱いた記憶がある。法務部門もコンテンツのライセンス契約書などで活躍したことだろう。企業法務担当者としては少しうらやましい。
3.あの伝説的ミームとのまさかのコラボ
そして極めつけが、最近になって公開された特上カップヌードルのこちらのCM動画。ネットミーム界で絶大な知名度を有するエルシャダイの「そんな装備で大丈夫か?」とまさかのコラボが実現。
ちなみに、作中の「大丈夫だ、問題ない。」というフレーズは、汎用性の極めて高いマジックワードである。私もLINEスタンプを愛用しているが、妻に送りつけては「ウザい」と一蹴されるのが日常茶飯事。……だが大丈夫、問題ない(たぶん)。

恐ろしく目のつけどころが良いので、どうやら日清の広報部門には相当な切れ者(?)がいるようだ。まさか今の時期になってギャグ的要素たっぷりのコラボCMを繰り出してくるとは・・・・!この「変化球」にはさすがの私も予想外。ま、ま、まさか、今回の独禁法違反による世間のイメージ悪化を少しでも減少させるために意図的にこのタイミングで投入してきたとか!?(なわけないか)
せっかくなので、これらの特上カップヌードルを複数の店舗で購入して(ついでに再販売価格も要チェック)食べ比べしてみるか。不祥事という「影」と、独創的な広報という「光」。正反対のニュースを同時に振りまく日清食品の動向から、今後も目が離せそうにない。

※特上なだけあって、4つでそれなりに良いお値段がするけれど、大丈夫、問題ない。