1.司法書士試験の記憶と日本司法学院の閉校に寄せて
たまたまネットで調べ物をしていると、司法書士試験の受験予備校である日本司法学院がすでに営業を終了していることを知った。受験生の減少や経営層の高齢化が理由のようだが、かつて門を叩いた一人として、時代の移ろいを感じずにはいられない。
現在、企業法務担当者として働いている私だが、実は20代の頃はキャリア迷走期があった。大学卒業後から20代の中頃まで司法書士事務所に勤務しながら、司法書士試験の受験にチャレンジしていたので、LECと並んで日本司法学院にはお世話になった記憶がある。当時の日本司法学院は、大阪市の南森町に大阪事務所があったので、分厚い基本書(受験生泣かせと言えるぐらいに高額)を購入しに行ったり、梅田の第2ビルで開催された模擬試験(答案練習会)にも何度も足を運んだことがある。
2.資格ブームの終焉と、業界のリアル
もっとも、4年半ほど司法書士事務所に勤務しているうちに、司法書士の業界の実態(零細規模や将来性など)が少しずつ見えてきたので、見切りをつけて受験勉強から撤退し、業界からも離れた。私が受験していた当時は、司法書士試験の受験生は3万人を超えていたが、現在はすでに2万人を切っている。その原因は、少子高齢化による仕事の減少や「資格だけでは食べれない」というネガティブ報道の影響があるのかもしれない。
この受験者数減少という問題は、司法書士試験に限らず、他の国家資格でも同様に生じている。すると、今後は日本司法学院のように、国家資格受験予備校のリストラや統廃合が進むのではないだろうか。当時の資格ブームを知る一人としては、なかなか複雑な思いだ。

3.「働きながら学ぶ」という過酷な道
この記事を書いているうちに、久しぶりに社会人兼受験生時代の自分を思い出したが、働きながら受験勉強を行うのは本当にしんどい。平日は仕事で疲れているのに机に向かうのは大変だし、土日はみんな遊んでいるのに、自分だけ勉強というのも気が滅入る。せめて簿記や宅建などボリュームが軽い資格ならば、かろうじて両立は可能かもしれないが、司法書士試験や司法試験など勉強範囲が広い難関国家試験の場合、仕事と勉強の両立は相当難しい。
かといって、専業受験生になる勇気もなかった。「(無職になって)専業になったからといって、受かる保証はない」という現実が怖かったから。しかし、今にして思えば、結果としてその「働き続ける」という選択が、今の企業法務としてのキャリアに繋がったわけで、人生何が功を奏するか本当に分からない。
4.資格という「形」の先にあるもの
試験からは撤退したが、今の激動の時代、ビジネスパーソンには「常に学び続けること」が不可欠。変化の波に飲み込まれないためには、自らのキャリアのアップデートを止めるわけにはいかない。

今でも私は、法律・会計・ITなどの書籍を手に取り、「働きながら学ぶ」スタイルを継続している。目に見える「資格」という箔はつかなくても、日々の学びは確実に実力(=キャリア・専門性・人間力・年収)という血肉になっている。あの苦しかった20代の経験は、今の私を支える底力になっているのだと、しみじみと思う。
これからも、このスタイルを淡々と、しかし確実に続けていくつもり。
- 作者: 佐藤留美
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