最近NHK のニュースを見て思うのは必ずと云っていい程どこかで、アメリカやトランプ大統領の話題が織り込まれていることである。
大統領自身が露出することを望んでいたり課題が山積しているとも見てとれる。
エマニュエル・トッド氏と云えばフランスの歴史人口学者で現代の「知の巨人」のひとりとしてよく名前があがり、ソ連崩壊、08年金融危機、英国のEU 離脱などを予測した。
日経新聞には「直言・Think with NIKKEI」というコラムがあり専門家や知識人のインタビュー記事が載るが、今回はエマニュエル・トッド氏の『米国に「暴力的衰退」の恐れ』と題して主として米国の現在から今後を見越した内容が掲載されていて、同内容の一部は日経新聞からYouTube にもあげられている。
刺激的な題で広範囲なことを語っていて、米国の衰退傾向を論じているのだが、ここでは最近の米国について私自身が感じていた内容に極近く驚いた部分に絞り、氏がそう考える背景を含め以下に紹介する。
・今や米国が輩出する技術者は人口が半分以下のロシアより少なく、この技術者の減少が製造業衰退の背景にある。
・米国の状況を悪化させたのはドルの覇権だ、成功をめざす優秀な若者は自動車や航空機産業でなくドルが湧き出す魔法の泉に近い金融や法律分野で働く。当然技術者は不足し製造業の衰退は続く。問題は米産業が外国産業でなく自国のドルと競っている点だ。
・米貧困層の中核はもはや労働者ですらない。生産活動も行わずアジア製の安い製品を消費して生きつなぐ別の何かになった。
・インタビュー記事の中に「米製造業の労働者は急減した」という題の非農業部門の雇用者のうち製造業で働く人の比率を表すグラフが載っているが、それをみると1960年当時30%程度であったものが2025年ではたった8%程度となっている。
◉現在の米国の問題点として「社会の分断」が取りあげられることも多いが、これも製造業の衰退という視点でみるとかなり見えてくる気がする。
◉偶然かどうか分からないが、インタビュー記事と同日の日経紙面の「文化時評」というコラムに、『「ブルーカラービリオネア」の時代』という記事があり、米国でお金持ちになるのは知識階級という常識が崩れつつあり、AI の代替が効かない日本の職人に相当する技能工(配管工、自動車整備工etc)の需要が米国で高まり、労働者が金持ちになるチャンスが増えていると書かれていて、前記の一面を逆の面から裏付けしているように感じられる。
◉私自身はずっと一貫して製造業でもの造りに携わっていたこともあり、ここに書かれた内容が肌感覚で分かるような気がする。日本でも類似のことが起きているとも感じるが、輸出主体の製造業に限って云えばドルの覇権と異なり、現下の円安でかなり救われている面もある。
◉製造業の中で現在世界の造船量の順位は中国、韓国、日本の順で、米国では軍艦の建造が主で商業的な造船業がほとんど残っておらず、世界順位は何と19位である。戦略的に重要なこの業種を、日米の経済協力の柱のひとつにしようとする動きがあると報道されているが、日本の製造業が生き残り成長するひとつの解になり得るような気がする。
◉今日の一句
凍星へ中島みゆき応援歌
◉健康公園の桜の紅葉、恥ずかしながらこちらに来て、桜も一年サイクルでこのような時を迎えることを知った。







これは八重桜、やはり染井吉野とは少し違う。
