「危機の外交 岡本行夫自伝」新潮社刊 を読み終えた。470ページの大部である。
岡本行夫さんは昭和20年(1945)生まれ外務省勤務を経て橋本、小泉内閣で首相補佐官を務め、日米関係を主軸に安全保障、経済関係、湾岸戦争やイラク復興案件に携わった。
その後大学で教鞭を取る一方、政府関係機関や企業への助言活動を行い講演やメディアでも活躍し、令和2年(2020)死去された。
私が岡本行夫さんを知ったのは、民放TVの日曜報道番組・サンデーモーニングでのコメンテーターとしての主に外交に関する種々の意見を聞いてからで、日頃自分自身が思っていることとずいぶん波長が合うなと感じてしまった。
この本の始めに政治外交史が専門でJICA理事長の北岡伸一氏が「刊行に寄せて 岡本さんの思い出」と云う文を載せておられるが、そのなかに岡本さんが自分を評してよく云っておられたという、
「自分は安全保障では右、歴史問題では左だ」という言葉が書かれている。
全く同感する考え方であり、リアリズムに徹し日本の近現代史を知れば知るほど、自ずとこのような考え方に立ち至るのではないかと私も思っている。
自伝と表題にあるので、その生い立ちから公職を離れたところまで書かれているが、中心を成すのは沖縄問題、湾岸危機、イラク戦争を含む日本の安全保障はどうあるべきかという内容で、これは必然的に日米関係そのものである。
著者が当事者として向き合った日米関係だけに、すれ違いや互いの問題点も赤裸々に語られるが、日米同盟が安全保障の基軸であるとの姿勢は一貫して揺るがず、リアリズムの観点から互いにこれからも汗をかく必要性が書かれている。
また外交問題として避けて通れない隣人の中国、韓国についてでは、日本が過去行った歴史問題について日本人自身が近現代史をもう少し学ぶべきだとする提言はその通りであり、そのうえで云うべきことを云うという考え方に大いに賛同する。
実を云うと現役時タイに駐在していた際、大使館や領事館の仕事を横目でみて、外交官とは何と優雅で恵まれた仕事だなと感じたことがあったが、この本に書かれている内容を読んで自分の認識が一面的であったことを遅まきながら反省した。
🔘今日の一句
散髪を終えし街角初燕





🔘「危機の外交 岡本行夫自伝」
