関眞興(せきしんこう)編著「ヨーロッパ近現代の200年くらべて楽しむ地図帳」山川出版社刊を読み終えた。
日本に住んでいると国境というのはよほどのことがない限り変わらないという感覚が生じてしまう。
色々な定義はあるにせよ日本の国境が変わった例として思い浮かぶのは、北の樺太や千島列島、南の琉球王国・沖縄、旧植民地や委任統治領の国や島などだが北海道、本州、四国、九州などでは歴史的に見ても国境は海でほとんど変化がないように思われる。
私は歴史が好きな部類に入るので、ヨーロッパの近現代200年といわれるとおよそのことはわかっていたつもりだったが、この本のなかで示される以下の6種類(6時代)の解説を含む地図を比較して見ると国や国境が驚くほど変化していることに愕然としてしまった。
著者はこの本の立場として「歴史とは領土の変更によって具体化されるもの」と書いているが、この変遷を見せられると確かに説得力があると思われる。
①ウィーン体制が成立した1815年
フランス革命、ナポレオン戦争、神聖ローマ帝国崩壊などを経てヨーロッパ秩序を再建するためウィーンで会議がひらかれ、イギリス、フランス、プロイセン、オーストリア、ロシアの5ヶ国主導の秩序が確認された。
②第一次世界大戦が始まる1914年
諸民族のナショナリズムの影響を受け、小国家に分裂していたイタリアとドイツが統一され、バルカン半島からオスマン帝国(トルコ)が消え多くの国家が独立した。
国民国家の成立、産業革命から帝国主義の段階に入り、イギリス、フランス、ロシアの三国協商とドイツ、オーストリア、イタリアの三国同盟の対立から第一次大戦の素地が出来上がる。
③戦間期1919年~39年
第一次大戦の敗戦国ドイツの国境が大きく変わり第二次大戦の原因のひとつとなる。
ロシア帝国からソヴィエト連邦が成立する。社会主義革命により周辺諸国は独立を果たしたもののその多くはロシアの影響を受けソ連邦を形成する。
オーストリア=ハンガリー帝国崩壊で中欧東欧のチェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなどの国家や領土が大きく変わった。
④東西冷戦開始期1950年
第二次世界大戦の結果ドイツは東西に分断されポーランドとの国境線も変わった。
ソ連は周辺域を併合するとともに東欧諸国を力で押さえ込む。またユーゴスラビア、ポーランド、ルーマニア、ブルガリアなどの領土にも変化がある。
東西ドイツが統一、ユーゴスラビアからクロアチア、スロベニア、ボスニア=ヘルツェゴビナが独立した。
実質的にロシアの支配下にあった14の共和国、ラトビア、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナ、やカフカス地方、中央アジアの諸国に新国家が成立した。
⑥終わらない紛争・戦争2023年
バルカン半島旧ユーゴスラビア地域の民族紛争や、東欧ウクライナへのロシアの進攻などは未だ解決の見通しが立っていない。
🔘現在も継続中のウクライナの受難も含め、紛争や戦争、大国の横暴などによる国境線や領土の変更がヨーロッパの200年ほどの間にこれ程多岐に渡ることに正直驚いている。
この陰にはこれに翻弄される多数の人々が当然存在するはずで、何とも云えない気分でこの地図帳を見返している。
表題には「くらべて楽しむ地図帳」とあるが個人的には真逆の印象を受けてしまった。
🔘今日の一句
故郷の墓前に鳴けよ春の鳥
🔘施設の介護棟のアンズ(杏)
「夕焼け雲」歌:千昌夫
♪︎♪︎誓いのあとの せつなさが
杏の幹に 残る町♪︎♪︎






「ヨーロッパ近現代の200年くらべて楽しむ地図帳」
