月刊誌・文藝春秋には短期集中連載として、財務省の前財務官で当時ミスター円と呼ばれ、今年2月にアジア開発銀行総裁に就任された神田眞人(かんだまさと)氏の手記が「ミスター円、世界を駆ける」と題して掲載されている。
3月号ではその3回目で「為替介入水面下の国際工作」というテーマで、2022年秋、2024年春と夏、に行われた円安抑制のための為替介入について、世界の潮流が「為替介入は効果がない」と言われるなか、どの様な考え方や行動で国際的な理解を勝ち得たかを許される範囲で書かれている。
その内容はさておき、記事の冒頭には為替や金融マーケットに対する基本的な見方が幾つか書かれていて、私も多少の場を経験した中で同感できる点もあり、ここに要点を抽出しておくことにした。
・マーケットは絶えず不合理であり理不尽。しかし、マーケットはいつも正しく今のプライスが真実である。
・普通の人にとって違和感があるのは、ある統計の発表やイベントが起こったときにマーケットがしばしば本来と正反対の動きをすること。
・これはセル・ザ・ファクト(事実で売る)と言われるもので、バイ・ザ・ルーモア(噂で買う)によって思惑で先買いし価格もその期待を織り込んでいるので、いざその通りになったら利益を確定するため逆に売る現象で、結局何が起こってもどっちにも振れ得る。
・マーケットに携わる者は常に謙虚な姿勢で向き合うほかない。慢心せず、丁寧に勉強、研究、対話を続ければ、予測や行動の成功の確率は高くなっていく。
・マーケットは様々なテーマがトレンドを作り、また次のテーマに移るいい加減さをみてきたが、それでもファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)がトレンドを支配するのも真実。為替レートが長期的に購買力平価に近い動きをするのも経験的に知られている。
・投機などによる為替などの変動が余りに急激であって、とても適応出来ない家計や企業に不当な不利益が及ぶ時には、政府が為替介入などの必要な手段を取って国民経済を守らなくてはならない。
🔘この連載でマーケットと向き合うことの難しさや日本にとって国際協調の大切さ、財務省職員の仕事へ取り組む姿勢などを教えて貰ったような気がしている。
🔘今日の一句
のたり往く船の灯りや春の闇
🔘健康公園のラベンダー



