別宮暖朗(べつみやだんろう)著「第一次世界大戦はなぜ始まったのか」文春新書 を読み終えた。
著者は民間企業を経て歴史評論家になり、特に軍事史、第一次世界大戦などに思い入れがあるらしい。
よく云われるようにヨーロッパでは先の戦争とは第二次大戦ではなく第一次大戦のことを指すことが多い。
それは第二次大戦に比べ、ヨーロッパの地図が大きく変わり、とりわけ東ヨーロッパでロシア革命や多くの独立国が生まれた。
また戦闘も新兵器、機関銃・戦車・飛行機・毒ガス・手榴弾などが初めて使用されることで凄惨を極め、動員された者6500万人、そのうち戦死者は860万人で、何れも第二次大戦より多い。
(日本にとって第一次大戦は遠い戦争であったが日英同盟を理由に参戦、敗戦国ドイツが持っていた中国や南太平洋の権益を得ることになる)
歴史教科書にも載っているように第一次大戦の直接のきっかけはいわゆる「サラエボ事件」と呼ばれるもので、1914年オーストリア=ハンガリー二重帝国の皇太子が、併合していたボスニアのサラエボでセルビア人民族主義者に暗殺され、これを受けてオーストリアがセルビアに宣戦布告したことに始まる。
このことが拡大していく背景にあるのが、当時のゲルマン民族対スラブ民族という民族的対立と、ヨーロッパの火薬庫といわれたバルカン半島での帝国主義列強の勢力争いである。
この本は「セルビア事件」をきっかけに各国の利害関係、同盟関係、思惑が複雑に交錯するなか、一部の作為的な動きが増幅されることにより戦争回避の動きを圧倒し、遂に1000万人近い人が戦死するという悲劇の幕開けに至る過程を各国の宮廷、外交、軍事などで細かく追跡していく。
ここに書かれていることは、あるきっかけがあると大多数の人が望んでいないにもかかわらず最悪の結果を招いてしまうことがあるという教訓かも知れず、今日の各地の紛争についても適用出来ることで、指導者や世論を形成する人々は心しておく必要がある。
🔘今日の二句
蕗の薹茗荷の畑(はた)をそっと借り
蕗の薹老人ホームに季節告げ
🔘施設の庭に蕗の薹が出ていると職員の方に教えて貰い、以前茗荷を植えた辺りに3本有るのを見つけた。



「第一次世界大戦はなぜ始まったのか」
