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「十字軍の思想」

山内進著「十字軍の思想」ちくま新書 を読み終えた。

私たちの若い時分「ザ・フオーク・クルセダーズ」というフォークソンググループがあり「悲しくてやりきれない」などはカラオケで唄ったことがある。

クルセダーズ(Crusaders・クルセイダーズ)とは一般に十字軍や社会活動家の意味で、そこにはキリスト教の善意に満ちたものがあるように思われた。

その私の十字軍に対する認識を覆したのがイタリア在住の作家・塩野七生さんの大作「十字軍物語」で西洋世界の視点だけでなくイスラム世界の見方も交えた壮大な物語を読み、決して理想や聖戦とは云えない現実を理解した。

この「十字軍の思想」は11世紀後半に聖地・エルサレム奪還を目指し14世紀末の敗退で終わるパレスチナヘ向けた十字軍のことは勿論のこと、東方や北方の異民族ヘ向けられた西洋世界の征服活動の歴史も包含していて、いわば西洋世界の中世史のような性格も持っている。

この十字軍を生んだ旧キリスト教への批判から、マルティン・ルター宗教改革が生まれたと云う解説は深く腑に落ちた。

著者は十字軍を、「正しく権威付けられた神の代理人であるローマ教皇によって神のために戦われる戦争・聖戦」と定義しているように見受けられるが、このキリスト教的聖戦思想を「十字軍の思想」と呼び、現代のアメリカにも繋がる西洋世界の確信的な暴力性、闘争性、侵略性をこのなかに見出だしている。

またこの事の裏付けとして9・11直後のアメリカ・ブッシュ大統領の演説の中にある「十字軍」という言葉を引用している。

この本によって

・宗教の持つ大なる負の側面。

政教分離(聖俗分離)の大切さ。

・現在まさにそこにあるキリスト教世界とイスラム世界の対立の根源。

・現代に至る西洋世界を形成する要素としての、十字軍を含むキリスト教思想的な「地下水脈」の流れ。

などを学ばせて貰った。

🔘今日の一句

 

セーターでひと回りほど若くなり

 

🔘施設介護棟の庭、パンジー




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