NHK 「わたしの藤沢周平」製作班 編「わたしの藤沢周平」宝島社 刊 を読み終えた。

この本はNHK BSで作家・藤沢周平没後10年にあたって放送した番組の内容を編集し直したもので、さまざまな分野で活躍する人々が自分の好きなひとつの藤沢作品を選び、それを語る内容である。
私はこの番組を見た記憶がないが、内容的にはほとんどの作品が網羅されていて「蝉しぐれ」「漆の実のみのる国」「春秋山伏記」などお馴染みの35作品を39人の著名人が縦横に語っている。
私のブログ名は当初「厚狭吉亭日乗」でスタートしたが神戸ヘの引っ越しを機に「厚狭吉亭日乗・神戸残日録」と変えたがこれは藤沢作品の「三屋清左衛門残日録」の一部を借用したもので、このように私もここで語る39人にも負けず今まで殆どの作品を読んで来た。
この本を読んでいくなかで気づいたのだが、39人の内4人の方が藤沢周平と司馬遼太郎を比較して語っている部分がある。
私も両者の殆どの作品を読んでいるが、この4人の言葉を並べてみると、昭和の文壇に屹立する両者への世間の見方がほぼ同一で比較的はっきりしていることが分かり、以下少し長くなるが私自身の両者比較を再確認するつもりで、この部分に絞って紹介しておきたい。
・「風の果て」佐高信(さたかまこと)評論家
「江戸城は誰が造ったかという話があって、太田道灌という回答が受験勉強的には正解で、大工と左官が造ったというと笑い話になる。
私は司馬遼太郎さんと藤沢周平という人を対比して、司馬さんは太田道灌という答えに疑問を持たない人、藤沢さんは大工と左官という答えに笑わない人、というふうに書いたことがある。」
・「たそがれ清兵衛」田原総一郎(たはらそういちろう)ジャーナリスト
「藤沢さんとよく比較される人に司馬遼太郎さんがいるが、司馬遼太郎さんが下級武士を描いてもいつも天下国家のことを書いているのに対して、藤沢さんが描く下級武士は、天下国家を動かさない。
それどころか藩の政治にすら興味を持たない人を描いている。だから、司馬作品を読む人と藤沢作品を読む人は分かれていると思う。」
・「秘太刀馬の骨」鳥越俊太郎(とりごえしゅんたろう)ジャーナリスト
「司馬遼太郎さんは、傑出したヒーローを描くことで歴史を語っている。~~それに対して藤沢さんは~~基本的には名もない人物が主人公で、サラリーマンでいえばせいぜい係長ぐらいの人たちです。「ひょっとしたら、俺かもしれない」と思わせるところがある。」
「一般に「経営者は司馬遼太郎を好み、サラリーマンは藤沢周平を好む」といわれるようですがそれもわかるような気がします。
藤沢作品では、出てくる人物がどの人も大物ではないですからね。」
🔘今日の一句
東天に月と木星冴ゆる夜
🔘施設の庭、時期的にみるとサザンカ(山茶花)の仲間と思うのだが。




