墓参りで帰省し立ち寄った記事の最終回は、漢陽寺の見学を終えて同級生に案内して貰った、周南市鹿野地区の「清流通り」と呼ばれる観光スポットで、「平成の名水100選」にも選ばれている。

漢陽寺の裏手から潮音堂を介した水は整備された水路をたどり、さらに所々に設置された水門から高低差を利用して田畑や生活用水として流れていくようになっていて、通りのあちこちからせせらぎの音や水落ちの音が聴こえて来る。
①龍雲寺(りょううんじ)

漢陽寺と同じ臨済宗南禅寺派の寺院、何と言っても私が興味を覚えるのが、この寺域が中世に陶(すえ)氏の最有力家臣であり、この地域を領した江良(えら)氏の屋敷跡であったことである。
江良氏は戦国時代、西中国地方の覇権を巡る大内氏、陶氏、毛利氏の抗争のなかで歴史の表舞台に度々登場してくる。
実際に現場に立つと山を背にした豪族の屋敷らしい、いざという時の戦闘をも想定した雰囲気がよく伝わって来た。
また石垣を見ると、中世の様式である石を加工せず様々に組み合わせて積み上げる、いわゆる野面積み(のづらつみ)が一部残されていることもわかった。
②弾正糸桜

桜の季節には美しく近隣に聞こえた枝垂れ桜で、江良氏の屋敷土塁跡に有るため江良氏の代々の官職・弾正忠(だんじょうのじょう)に因んでつけられている。
③種田山頭火句碑

この地域は山頭火の妻に縁があったらしく
へうへうとして水を味ふ
の句碑が立てられている。
どうしようもないところのある山頭火だが、彼なりの水へのこだわりが見えてくるような気がし、飄々ではなくへうへうが山頭火の句らしい。
④水車

清流通りに相応しく水車小屋に水車が実際に回っているが、最近製作または修理されたのだろうかまだ新しい。
余談ながら昔ながらの水車で最も重要な箇所は回転する車軸の軸受の部分であり、この部分の材料や構造、油供給などの良し悪しが寿命耐久性に決定的に影響する。
その為興味を持って見てみたが、この部分は現代版水車そのもので、ベアリングを使用した金属軸受が使われていて、耐久性にはベストながら少しだけ残念な気持ちもある。
⑤通りで見た水路を覗く萩の花


鶏頭


鯉

番外編・藤掛山
江良氏の居館は現在の龍雲寺の場所がその一つだが、戦時を想定した持ち城はその北方約1kmのところにある藤掛山城といわれ、徳山へ帰る道すがらにありその姿を確認させて貰った。

🔘今日の一句
野面積み遺す古刹や萩の花