科研費の申請書作りも山場で、今日は予算立てとその正当化のための作文。適当に必要そうなものを積み上げていって、これくらいかなあと総額を計算してみたら、上限500万のところ、499万3千円になっていた。目分量で100グラムの肉を正確につかみだせる熟練の肉屋のようである。
今日の少人数科目では、某本の輪読のようなことをしている。内容をまとめて報告しなさいね、と指示しているのだけれど、学生はほっておくと、教科書の文章を適当につまみ出してきては語尾だけ変えて読み上げるので、「そういうのは今どき機械でもできるわけで、人間なら自分の理解した内容を自分なりの言葉・表現で話しなさいね」と言うわけだ。だけど今の学生の中にはこれがとてつもなく高いハードルである人がいて、なかなか言う事を聞いてくれない。今日など、教科書を机の下に隠して読み上げる人がいた。いやそんな事したって、こっちも本持ってるんだからバレますがな。
「経済は「競争」では繁栄しない――信頼ホルモン「オキシトシン」が解き明かす愛と共感の神経経済学」を読んだ。動物行動学者としては、実際に観察される行動そのものに面白みを感じるのであって、その背後にある物質的メカニズムを同定しても、何も新しい事が明らかになった気がしない。なので、オキシトシンやセロトニンがどうこうと言われても、知識吸収の点では「それで?」としか思わないのである(著者の研究上の苦労や工夫話は面白く読めたんだけど)。ましてや神経経済学って言っても、これはほとんど経済学の話じゃないよね。行動経済学は経済学の根幹を攻撃したのでインパクトがあり、これを経済学と称するのもギリギリ許容できるんだけど、この本に書かれてるのは生理学だよねえ。あと何でもかんでもオキシトシンで説明しようとするので、最後の章なんかほとんど自己啓発本みたいになっていて苦笑してしまったり。いや、読み物としては面白い本なんだけどなあ。
- 作者: ポール・J・ザック,柴田裕之
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/06/28
- メディア: 単行本
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