★★★★★ 2026年2月27日(金) 大阪ステーションシティシネマ9

最初に街の点景が映る。映画の導入として全く常套であるが、それでもその1ショット1ショットに思いを込めてるのが感じられる。或いは、序盤で主人公が帰宅してベランダから向かいのマンションを眺めるシーン。色んな部屋の色んな人々の日常風景。「裏窓」から「ダーティハリー」を経て数えきれないくらいに繰り返される映画的モチーフだが、夜間撮影に抗する彩度で捉えられたそれらはショットを揺るがせにしない思いが伝わる。これはイケるとの確信。
結婚式なんかで列席者のバランスを取る為にサクラを雇うみたいな話は聞いたことがある。そういうのを斡旋する会社の話と聞いて、タイトルを合わせて考えるに、擬似家族の話かなー、ちょっと食傷やーと思ってたけど、いい意味で裏切られた。これは、来日7年目で売れない外タレ稼業の日々を窶す男がアイデンティティと居場所を見つける話であった。
演じるブレンダン・フレイザーのガタイがでかくお人好しなキャラを見てて、俺は「男はつらいよ 寅次郎春の夢」のハーブ・エデルマンが被って仕方なかった。あれも巨軀のガイジンが日本で薬の飛込セールスをする話であった。ただ、HIKARIは山田洋次ほどウブでもないので、きっちり性処理場面もある。でも、それがまた良いんですなー。安藤玉恵のデリヘル嬢が絶品の出来です。暖かいし肯定的。
映画は、ブレンダンが仕事で演じる、母子家庭の父親役と嘗ての銀幕スターへの取材者役という2本柱で進む。それぞれ、娘との、老俳優との関わりが納得の、そして胸を打つ帰結につながる。俺は最早、晩年の笠智衆と化したような柄本明に何にも期待するものはなかったが、久々の気合い仕事で見直した。
ラストは、これ以上これ以外にないという粋な体言止め。このショットも素晴らしい。撮影は「るろうに剣心」シリーズの石坂拓郎。アクション畑で培った経験がドラマで結実したみたい。