今年の骨太方針の目玉は、実質賃金の上昇なんだけど、実質であれば、交易条件の改善が必要で、それには、円安を是正するよう、日銀に着実な利上げしてもらわなければならない。他方、賃上げには売上増が必要なのだから、内需を確保するため、財政は締め過ぎないようにしなければならない。骨太の特徴は、肝心なマクロの戦略が抜けていて、イノベーション系の産業政策を焼き直すばかりだ。
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1-3月期GDPの2次速報では、実質の家計消費(除く帰属家賃)が少し上方修正されて前期比+0.14になった。物価高で下押しされていると言われつつも、アベノミクス期の平均+0.07よりは、ずっとマシである。アベノミクス期には、円安と負担増が強烈で、消費が抑えられ、売上が伸びず、賃金が上がりにくかった。賃金を上げようと思うなら、その逆をやらなければダメなのである。
むろん、金融政策は、極端な緩和で円安を狙うようなことは既にやめている。しかし、金融政策の真のターゲットはドル円にあって、今の局面では、長期金利が上がろうとも、着実に利上げして円高に誘導する戦略が徹底されているわけでもない。景気が減速するようなら低金利を維持したいような、効果がないと分かった政策に、いまだに引きずられているように思われる。
財政については、昔から緊緩を調整しようという思想は皆無だ。2024年度の税収増は、国だけで3.6兆円にもなりそうで、たまたま2兆円の定額減税をしていなかったら、どうなっていたんだろうというレベルである。参院選向けに、税収上ブレ分を給付しようという政策が出てくるのは、むしろ自然だ。問題は、インフレでもいまだに思想が変わらず、還元するための制度インフラがなく、行き当たりばったりになっていることだ。
2次速報では、設備投資が実質で前期比+1.02と好調だった。その主力は知的財産生成物で、一般にイメージされる機械設備ではない。遅れていたデジタル化がようやく進んできており、2022年以降のインフレ下での特徴となっている。売上が伸びる中で人手不足がネックなら、デジタル化に投資するのは当然の成り行きで、産業政策で旗を振るより、売上こそが設備投資の薬なのだ。
(図)
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売上がすべての起点だ。会社を経営していれば、言うまでもないことだが、政策となると、金利とか補助金になってしまう。産業政策は、国が半導体に直接投資するところへ進化したけれど、ちゃんと売上は立つんだろうね。インフレ下で、売上が積年の課題を癒すのを目撃したのに、経済戦略はマンネリだ。本当の問題は、経済戦略自体より、従来路線にしがみつき、現実に学ばないことなんだろうね。
(今日までの日経)
日鉄、USスチール買収成立。日銀、国債購入の減額圧縮へ。骨太方針決定、賃上げに力点 「実質1%目標」具体策乏しく。ホテル・旅館業界で、省人化サービス。50年後の日本、AI社会変革でGDP4位。自社株買い12兆円で最高。