やっぱり自動車の対米輸出は取り戻せない。取り戻せたとしても、3年後にはゼロにするというような時限のものだろう。とりあえずは、輸出関税を政府が肩代わりし、徐々に輸出を減らす調整をして着地させ、あとは、輸出で成長を起動させてきた従来の戦略を、内需で引き上げるものに転換しないといけない。そうした戦略的な思考は、円安と金融緩和にしがみつくこの国にはないだろうけど。
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3月の商業動態・小売業は前月比-1.4と落ちたが、1,2月の貯金が効いて1-3月期の前期比は+1.7だった。もっとも、CPIの財で除すと-0.3になってしまう。それでも、消費は、物価上昇に着いて行っている、あるいは、着いて行っているから値上げできているとも言える。今、なすべきは、名目でも良いから売上が拡大している状況を保ち、円安の是正で輸入物価高を抑制し、成長を実質化していくことである。
日銀は利上げを見送り、円安になってしまった。常識的な対応だけど、7月には必ず上げると滲ませても良かったと思う。輸出が望めなければ、金融緩和に意味はない。利上げで円高にすると、資材高での建設投資の滞りが緩和され、むしろ景気は良くなるくらいの戦略観が必要である。景気は日銀、輸出企業の支援は財政という役割分担になる。結婚したら、マツダ車の割引券プレゼントなんてね。
売上の拡大を保つことが重要なのは、成長の源になる設備投資を引き出すからである。売れるなら投資するというのは平凡な反応で、金利とは無関係だ。3月の鉱工業生産は前月比-1.1で、1-3月期の前期比が-0.7だったが、4,5月の予測の平均は+3.3と妙に高い。消費財、建設財は底打ちにも見える。3月の住宅着工は、規制前の駆け込みで飛び跳ねた。何が理由であれ、予測を実現していかなければならない。
日本経済が内需主導で成長した前例は、バブル前になる。実需では、住宅投資が先行し、シーマ現象と言われる高額消費が続いた。これからは、円高傾向の下、コスト安で有利になるという方向を示しつつ、内需を拡大する政策を打ち出す必要がある。ガソリンに補助金を出して買い替えを遅らせている場合ではなかろう。初任給が上がっている若い世代が結婚できて、クルマも家も持てる絵を見せるのである。
(図)
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4月の消費者態度は、前月比-2.9と急落した。生鮮の低下で物価上昇は鈍っているのにこうなったのは、雇用の悪化を先取りして、トランプ関税の影響を心配しているのだろう。かつて、円高不況で輸出ができなくなった後、実際に来たのは消費ブームだった。政策の舵取り次第なのである。心配が自己実現してしまわないうちに、ビジョンを示すのも重要な政策の役割である。
(今日までの日経)
米、車・鉄は交渉外。今期143円想定、減益影響2兆円に。「労働者」基準、40年ぶり見直し。日銀、今年度0.5%成長に下げ。上場企業の7割増益。中国企業、初の連続減益。「地産地消」でリスク備え・河野龍太郎。外国人留学生、最多33万人。