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GDPは実質での分析が多いが、名目で消費を眺めて見ると、下図のとおり、1997年の橋本デフレから2013年のアベノミクスまでの15年程は、年率0.14%のトレンドにあったことが分かる。それがアベノミクスで、年率0.65%のトレンドに加速した。実質だと、反対に年率0.80%から0.25%に減速しているのがミソで、名目消費のトレンド以上に物価のトレンドが上昇していた。
そして、2023年1-3月期と4-6月期は、このトレンドを飛び出している。つまり、トレンドが屈折して加速したかもしれないのだ。消費が増えていくためには、可処分所得が増えているという裏付けが必要である。アベノミクスでの屈折も、可処分所得の向上があったことが図から読み取れよう。足下の雇用者報酬は、4-6月期が前期比+1.1%と高かった。コロナ後の消費増の勢いが雇用者報酬へ映った形である。
あとは、雇用者報酬と消費がともに高い伸びで並進してもらえれば良いということになる。4-6月期の消費は前期比-0.4%だったが、高過ぎた1-3月期の反動の範囲内にも見える。次の7-9月期が大事なところだが、7月の統計局CTIは4-6月期より+0.5と心強い。8月の景気ウォッチャーの現状の「方向性」は前月比-0.8と前月のプラスを戻したが、「水準」では小売りが高まっているところだ。
アベノミクスの失敗は、雇用者報酬が伸びているのに、税と社会保険料の負担増をやって、可処分所得を抑制し、消費を伸ばせなかったところにある。財政を不用意に締めないことが肝要だ。その点、4-6月期GDPでは、政府消費と公共投資がともに実質で前期比0.0となっており、成長にまったく貢献していない。公的需要の寄与度は限られるとはいえ、波及もするのだから、基本をゆるがせにしてはいけない。
(図)

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物価高は、必需品を中心に、名目の消費を強制的に増やす側面がある。それで売上げが伸びれば、賃金を上げられるようになり、上がった賃金が今度は消費を増やすことになる。7月の毎月勤労統計では、常用雇用×現金給与総額が前月比-1.1と下がったものの、水準としては5月の高い伸びが効いている。夏の雇用者報酬と消費の伸びがクリアできれば、景気回復は本物だ。のちに転換点はここだったと分かるだろう。かつてない内需からの成長加速が実現するのか興味は尽きない。
(今日までの日経)
半導体支える黒子に死角 買収リスク。コロナ特例終了、8月の企業倒産、最大の54%増。旅行収支最大、3368億円。GDP年4.8%増に下げ 4~6月改定値。冷めぬ景気、遠のく利下げ。海外と金利差拡大22年ぶり 147円後半。サウジ、原油減産継続。