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合計特殊出生率は、2015年に1.45人まで回復してから、ズルズルと後退して、コロナ禍を経た2021年には1.30まで下がり、今年は、過去最低の瀬戸際だ。少子化対策をしっかりやり、出生率を下げていなければ、財政を追加で年金に投入する必要がなかったものを、戦略なしに進めて、完全に後手に回り、結局は、後始末という形で財政を使わざるを得ないところに追い込まれてしまった。
加入期間の延長も悪くないが、期間が12.5%伸びるから、代替率も同じくらい上がるだけのことで、年金財政の収入と支出の規模に大した変わりはない。代替率を上げるなら、2019年の財政検証でオプションAとして示された1050万人の適用拡大を推したい。もっとも、負担の重い低所得層に広く適用拡大するのが困難だからこそ、加入期間延長のオプションBを滲ませているのだろうけどね。
それなら、低所得層の負担を軽減しつつ、オプションAを採ったらどうか。標準報酬表の第4等級までは半額を補助し、第5~第10で漸減させてゼロにする。これに必要な財源は、健康保険も含め、およそ1.1兆円だ。これで適用拡大が実現すれば、安いものだろう。だって、国の税収は、この2年で9.3兆円も増えているし、少子化対策にわずかしか割かない補正予算は28兆円もあるのだから、やろうと思えばできるんだよ。
だけどやらない。低所得層への再分配なんて、及びもつかない未来だからだ。成長戦略に巨額の予算を割き、設備投資を促進したところで、再分配で消費を安定的に増やしていないと、売上げが見込めずに、設備投資なんて出て来ないという現実を分かっていない。再分配を通じて少子化を緩和することが、支出以上に大きな経済効果をもたらすことを知らないからでもある。
(図)

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人口崩壊という呪われた未来を残すことになろうとは、とても残念だ。私達には、もう無理である。あとは、次の政治経済を司る君達がその手で変えていってほしい。ここまで現実が顧みられず、単純な思想に囚われて、政策が空回りを続けるとは、思わなかった。この国に生まれたこと、この時代で生き続けること、そのすべてを愛せる様に、せめて、目一杯の祝福を送ろう。
(今日までの日経)
食品「廉価版」、節約志向に的。外食売上高、コロナ前超え。子育て予算、人口減にらみ「倍増」。中国ゼロコロナ、移動制限4億人。韓国、通貨防衛か景気か。