トランプ関税をこなして、景気は上向いていたのに、イランへのトランプ開戦で、またブレーキと、振り回されっぱなしだ。原油高と円安でインフレ圧力がかかると、ますます消費減税は危険なものになる。それなのに、政府予算案を国民党の賛成を取らずに衆院を通過させたのは、給付つき税額控除の早期導入はせず、消費減税を見送らないことにつながる。高市首相は、やっぱり直観で走っちゃう人なのかね。
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10-12月期GDP2次速報は、実質前期比+0.3%、年率1.3%への上方修正だった。消費は、7-9月期の前期比+0.5%に続き、10-12月期が+0.3%となり、設備投資は、7-9月期の-0.0%から+1.3%に伸長しているので、十分な成果と言えるだろう。鉱工業生産も、7-9月期の停滞から10-12月期の+0.8へと抜けており、トランプ関税に揺さぶられはしたものの、何とかこなした形になっている。
既に1,2月の指標も出ていて、1月の鉱工業生産は前月比+1.1だったし、消費では、1月の商業動態小売業が前月比+4.6と高く、CTIマクロが実質で+0.4となっている。また、2月の消費者態度は前月比が+2.1で、景気ウォッチャーは+1.3だった。こうした動きからは、足元の景気は、上向いているように見える。ところが、3月にイラン戦争が勃発し、ホルムズ海峡の封鎖で、令和の石油危機が始まった。
(図)

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戦争が短期で終わっても、海峡の安全回復に時間がかかると、インフレ圧力をどうしのぐかになる。そんなときに消費減税をやったら、便乗値上げで負担減効果が消えるどころか、インフレを助長しかねない。国民会議で揉みにもんだのに、実施できない体たらくとなる。それどころか、消費減税をやると決めた段階で、金利高と円安を呼んで、早々とインフレに苦しむなんてことになる。政策の筋の悪さが露呈するわけである。
結局、物価高対応で負担減をするなら、低所得者に絞って早急にやるしかなく、必然的に、壁撤去型の社会保険料還付方式の給付つき税額控除になる。しかし、国民会議・実務者会合の説明資料では、税調で入っていたオランダの社会保険料還付方式がオミットされており、国民党の提案を無視し、新規の給付制度を創りたい様子だ。社会保険料と税が交錯する還付方式は、役所は嫌だろうけど、縦割をやっている場合ではなかろう。
国民党が採決を1日延ばしたら予算案に賛成すると言っているのに妥協しなかったのは、国民会議でも妥協せず与党案を押し通す伏線だと思われる。つまり、高市首相の直観のままに突っ走り、5兆円の消費減税をやった上で、新制度を創ろうというわけだ。経済政策は、戦略が重要である。総選挙で大勝した勢いだけで進めると、思わぬ副作用で頓挫する。状況をよく把握し、戦略を練らないといけない。
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国民会議の議論は、始まったばかりだが、利害関係者や役所の筋書きに合った人を呼ぶだけでなく、戦略的な制度設計のできる人からも話を聞くべきだろう。慶大の土居丈朗教授は、SBI研のレポートで『給付付き税額控除の制度設計』として、壁撤去型の社会保険料還付方式の給付つき税額控除を説明しているので、取り上げて欲しいものだ。直観でさばけるほど、経済政策は甘くないんだよ。
(今日までの日経)
予算案が衆院通過。余るコメ、特売広がる。中国経済、全盛30年の終わり。国民民主、税控除に独自案。日米欧で金利上昇、原油高でインフレ圧力意識。原油高、保険料軽減薄れる。3メガの法人預金4.5%減 企業、投資・株主還元に力。欧州委員長、脱原発は「戦略ミス」。