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CHUNITHMバトル漫画(仮)

Special Thanks : BMSバトル漫画(仮)

 

 

第1話:RevolutionGame

 

「これが京都駅か…。でけぇ…でっけえなぁ…。」

 

18歳3月僕は京都に来た。地元を離れ、京都での大学生活が始まる。

受験勉強で趣味の音ゲーを我慢していたが、これでやっと音ゲーに専念できる!

それに実家では親がうるさくてゲーセンには行けなかったからようやくAC音ゲーもプレイできるぞ!

僕はさっそくお目当てのゲームセンターに向かった。

 

「閉まってる…」

 

一番気になっていたゲーセンは去年の12月から臨時休業してしまっていたらしい…
悲しいが気を取り直してここら辺では一番大きいゲーセンに足を運んだ。

 

「これがラウンドワンか…。でけぇ…でっけえなぁ…。」

 

ド田舎出身の自分からしたらゲーセンがこんなにデカいことが衝撃だった。

 

「これがmaimai…って台多すぎだろ!」

「これがボルテ…キャッチコピーをつけるとしたら爽快感1600%と言ったところか、」

 

色々な音ゲーをプレイしてみたが中でもCHUNITHMという音ゲーに惹かれた。

前々から気になっていた機種だし、これならCS音ゲーで培った実力を上手く還元出来そうだ。
僕はCS音ゲーの実力に関してはかなり自信があった。公式大会にだって出たことがある。

 

何よりもCHUNITHM自体が本当に面白かった。

 

「チュウニズムならトップランカーになることも夢じゃないかも…(ニヤニヤ)」

 

そんなことを妄想しながらFREEDOM DiVE をプレイし終わると怖そうな2人組が待ち椅子に並んでいるのが見えた。

ソソクサとプレイを終了し待ち椅子に座った。

 

その2人がプレイをはじめた。すると、、、

 

バチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!!(指押し)

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド(腕押し)

 

「なんだ…これ…」

 

状況が理解できなかった。表示されるスコアはほとんどが1010000点ばかり。つまり理論値と呼ばれるものだった。

 

「お前理論値か!やるな!」
「タプスラ指で取ると安定すんのよ」

 

プレイしてた楽曲は怒槌(MASTER)だ。あの16分割タプスラを指で!?ありえない。

二人のプレイは勢いを増し、気づいたら他のプレイヤーは全員帰って並んでいるのは僕だけになっていた。

 

シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ(フリック)

 

ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ(エアー)

 

「ヤバイヤバイヤバイヤバイ。ここにいたら殺されるッ!」

 

僕は不動産屋に鍵を受け取りに行った後逃げるように下宿先に駆け込んだ。

 

「あー怖かった。なんだったんだアレ。」

 

布団にくるまりながら高鳴る心臓を落ち着かせる。

 

「いつかあんなプレーができるようになるのかな…」

 

異次元のプレーを見たことによる昂りも感じながら僕は眠りについた。

 

第2話:Invitation

 

今日からサークルの新歓が始まる。

サークル紹介の冊子を眺めていたら「CHUNITHM部」なるものがあったのでとりあえずそこを見学することにした。

 

大学に向かうと大勢の人で賑わっていた。

 

「共西02ってどこだ…」

 

大学は迷路みたいで教室にたどり着くのも一苦労だった。

 

「やっと着いた…失礼します!」ガチャ

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド(腕押し)

 

ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ(エアー)

 

「おいお前らァ!!!そんなんでエンドマ(跳)に立ち向かえると思ってるのかァ!!!気合いが足りんぞ!!!」

 

「ハイッ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

ガチャ

 

思わずドアを閉めてしまった。

 

「共西02…教室はあってるよな?」

 

もう一回ドアを開けてみる

 

ガチャ

 

シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ(タプスラ)

 

「もっと速く!もっと速く!そんな遅いお前らにはダナーンはデレないッ!!!!!」

 

「ハイッ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

困惑しかないが間違いない。ここが「CHUNITHM部」だ。

 

「あのー、すみません!」

 

誰かを呼ぼうとしたが、周囲のすさまじい打撃音にかき消され、誰にも届くことはなかった。

えー…どうすんだよこれ。どうにもならなさそうだし帰るかと思ったその時、

 

「あれ、君新入生かな?もしかして入部希望?」

 

声をかけられた。優しそうな人だ。

 

「え!?あ、はい!そうです!」

「うわぁ~、嬉しいなぁ!私は3回生で副部長の水野。キミのお名前は?」

「山口です!山口奏太です!」

「山口…?どこかで聞いたことあるような…まあいいや。とりあえず、ここ座ってよ!お茶とかジュース持ってくるね!あ、アンケート渡すから書きながら待っててね!」

「あ、ありがとうございます。アンケート?」

 

副部長がアンケートを持ってくるらしい。

アンケートの内容はプレイしていた音ゲー音ゲー歴を聞く単純なものだった。

 

「最後にプロジェクトダイスター公式大会出場っと。あ、すみません!アンケート書き終わりました!」

「ありがとー…って公式大会出場!?すごいね!」

「ありがとうございます(照)」

 

対面で実力を褒められたのは久しぶりだったので小っ恥ずかしかった。

 

「あ、部長呼んでくるね。ぶちょー、上手そうな子が来ましたよー。」

 

どうやらさっきまで部員の指導をしていた人が部長みたいだ。デカい。

 

「初めまして、部長の穴山だ。よろしく!」

「山口です!よ、よろしくお願いします!」

 

部長がアンケート用紙に目を通した。

 

「公式大会出場か、期待の新人だな。…というか君ちょうど一週間前ラウンドワンでチュウニズムをプレイしていなかったか?」

「はい、京都に来てから初めて触りました…って、アッ!!!」

 

よく見たら部長と副部長はあの日異様な雰囲気を醸し出していた怖い二人組だった。

 

「やっぱりそうだよな!プレイヤーレベル1にしては上手いなと思ってたんだ。副部長とスカウトしないかと話してたんだが気づいたらいなくなってて、また会えて嬉しいよ!」

「はは…ありがとうございます…」

 

ヤバイヤバイ。軽い気持ちで来たけど、この部あんなにレベルが高いのか?マジで殺されるんじゃ…

 

「君この後一緒にマッチングしないか?」

「はは…いやーこの後は予定g…」

「ん?なんかあるのか?」

「いや何もないです。行きます…」

 

部長のオーラに圧倒されてYesと言わざるを得なかった。

 

「よし、そうと決まればさっそくゲーセンに行こうか。お前ら持ってけ!!!」

「ハイッ!!!!!!!!!!!!!!!」

「…?持ってくって、、、は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?」

 

僕は部員達に担がれた。

 

「あああぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁ」

 

そのまま川端通を南下し、ラウンドワンに到着した。

 

「ハァハァ…何…するんですか…」

「すまんな。上手いやつを逃さないのが俺の主義なんでね。さっそくだがマッチングしようか!選曲は全部君に任せる!」

 

副部長がやれやれという様子でこちらを見ている。何か言ってくれよ…

 

「わかりました…やりましょう。」

 

選曲はFREEDOM DiVE、HAELEQUIN、Love&Justiceだった。全部鍵盤譜面で僕の得意領域。これなら勝てるか?と思ったが、、、

 

AJC

AJC

AJC

 

全部理論値で返されてしまった。こっちも全部鳥プラだったが完全に思い上がっていた。

 

「うん、やはり始めたてにしては本当に良くできている。表示切替を押してみろ。」

「これ、ですか?」ポチ

「やっぱりな。基礎精度は素晴らしいがフリックやエアーで赤JUSTICEが多く出ている。これさえ克服すればより高いスコアを狙えるはずだ。」

 

その後も部長からのアドバイスは続いた。第一印象に反して指導をしている時の部長はとても丁寧で優しかった。

 

「こんなところかな。色々語ってしまったが、君のポテンシャルは俺を越すものがあるかもしれない。どうだ、一緒にCHUNITHM部で上を目指さないか?」

 

僕は少し悩んだあと、

 

「僕でもいつか部長や副部長のようなプレイができるようになりますか?」

「ああ、勿論だ。俺が保証する。」

「僕でもいつかデケェプレイヤーになれますか?」

「ああ、我々に限界はない。努力は必ず報われる。」

「部長…」

 

部長は思い上がっていた僕を優しく受け入れてくれた。

 

「部長!!!僕CHUNITHM部に入部したいです!!!もっと上手くなりたいです!!!」

「勿論だ!我々は君を歓迎する!」

「おっ、入ってくれるの!やったぁ!これからよろしくね!!!入部届もってくる!」

 

入部届を速攻で書き上げ、提出した。

 

「皆さん!よろしくお願いしますッ!!」

 

部長が手を差し出してきた。

 

「よく言ってくれた。これからよろしく頼む。辛いこともあるだろうが、共に乗り越えていこう。」

 

力強い握手を交わした。さっき素晴らしいプレイを見せてくれた部長の手を握っていると考えると、少し緊張した。

 

「これからよろしくね!しばらくは私が座学実技両方で面倒見るから覚悟しててね〜」

副部長がそう言った。

 

「はい!!!よろしくお願いします!!!」

「あと山口くん、最初に言うの忘れてたんだけど半年後に交流戦があるからそれまでに15全AJよろしくね!」

「………は?」

 

第3話:Rebellion

 

交流戦は毎年2回行われて、京都中のチームがうち含めて全6チーム出場するの。1位を獲ったチームはゲーセンでの待遇が良くなるし、ビリになったらその逆で待遇が悪くなる。」

「どう良くなったり悪くなったりするんですか…?」

「一番デカいのは1クレあたりの金額だね。1位を取れば1クレ50円、ビリを取れば1クレ200円になる。」

「結構デカいですね…。」

「あとは細かい待遇差が色々あるけど、とにかく勝てばいいんだよ!」

「それはそうですね。去年僕たちのチームは何位だったんですか?」

「2位だった!1位は伏見のチームだよ。まぁ正直伏見と私たち以外は有象無象だね。」

「ちなみにコレが今年のトーナメント表ね」ペラ

「あれ、4チームしか出てなくないですか?さっき6チームって言ってたような…」

「ああ、忘れてた。2チームは廃部になっちゃったんだよ。去年の5位と最下位のチームだったんだけど最下位の方が結果に不服だったみたいでね。決闘みたいな感じでゲーセン貸し切って勝負したみたいなんだけど結局暴力沙汰起こしちゃって条例違反で廃部。ゲーセンも壊されちゃって休業中。迷惑な話だよね。」

 

怖い…京都、修羅の国だ…

 

「昔は20チームくらい出場していたみたいなんだけどそんなことが頻発するもんだから今は4チームに減っちゃった。その度にゲーセン壊されちゃうから京都は本当にゲーセン少ないんだよね〜」

「本当に迷惑ですね…」

もしかして最初行こうとしてたゲーセンもそれのせいで休業してたのかな、、

「まぁ所詮底辺の争いだし私たちが気にすることはないよ!座学に戻ろうか!」

 

話してて分かったが副部長は優しそうに見えて冷酷な一面もある。

 

副部長の座学はとても分かりやすく初心者の僕でもすんなり理解できた。判定の仕様から非交差などの様々な運指パターンを網羅的に指導してくれた。

 

「…ってわけで端フリックは結構有用なの。下位から上位まで様々な譜面で応用が効くから覚えておくように!」

「はいッ!」

「まああんまり座学ばっかりやっててもしょうがないしそろそろゲーセン行って実践しようか!」

「わかりました。あと、今更なんですけどそんな大事そうな交流戦に僕なんかが出てもいいんでしょうか?」

「…ぶちょー相当山口くんに期待してるんだよ。彼の期待に応えると思って出てあげて!私からのお願い!」

「わかりました!頑張ります!」

 

ゲーセンに着いた。

「まぁ、最初から15全AJなんて無理な話だし13+と14の理論値埋めで判定を掴んでから14+のAJにシフトしていって最終的に15AJを目指すルートでいこうか!」

「わかりました!」

「じゃあ、010、時の冒険者、Seagullの理論値チャレンジしてみて!私ごはん食べてくるからそれまでに終わらせておいて〜」

「あっ!?ハイっ!」

 

行ってしまった。

「とりあえずやってみるか…」

 

010、時の冒険者はすんなり理論値が出た。時の冒険者はフリックの後のスライドの持ち替えが難しかったが譜面を確認したら何とかなった。

問題はSeagullだった。ズレとフリックが多く登場し結局理論値を出すまで5クレほどかけてしまった。

 

「副部長まだ帰ってこないし14+と15の鍵盤譜面のAJ頑張るか。」

 

とりあえずElemental Creation、Air、Angel dustのAJを出すことができた。

 

「ふぅ…まぁこんなところか。鍵盤力で苦労することはなさそうだ。」

 

プレイが終わりコンティニューしようとしたその時背後から肩を叩かれた。

 

「なぁ、お前オレとマッチングしないか?」

 

誰だ?部長と同じくらい背がデカくて頭は丸刈りだ。怖い…。しかも「お前」?

 

「おい、聞いてるか。オレとマッチングしろって言ってんの!」

「え!?あっ、わ、わかりました!」

 

わけも分からないままマッチングを組むと相手から曲が飛んできた。

 

「私の中の幻想的世界観及びその顕現を想起させたある現実での出来事に関する一考察」

13+だ。AJはいけそう。それにしても曲名長いな…

曲が始まる。終盤まではただの鍵盤譜面だった。しかし終盤になると、、、

 

「は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?」

 

譜面傾向が一気に変わり大量のタップスライドが降ってきて大量の赤JUSTICEとATTACKを出してしまった。

曲が終わる。僕は鳥ギリギリ、向こうは理論値だった。

 

「いやー上手いですね!理論値は出せる気g…」

「…お前チュウニズム舐めてんの?」

「え?」

「さっきお前のプレー見てたけどチュウニズムを上手くなろうという意志が一切見えない。他機種の地力で鍵盤譜面殴るのは結構!!!メチャクチャ楽しいだろうな!!!でもな、そんなんじゃお前のクソプレイ一生マシにならねぇんだよ!!!お前みたいなチュウニズム舐めてるヤツ見てるとイライラしてくるんだよ。一考察初見でAJも出せないようなヤツが15とか触る資格ないから。はやくどっか行ってくれないか?気が散るから。」

「え、、、、、」

 

何で初対面のヤツにここまで言われなきゃいけないんだ???僕は唖然とした。だがすぐに怒りが湧いてきて何か言い返そうとした。その時、、

 

「ちょっと甲斐くん!なにちょっかいかけてんの!」

 

副部長が帰ってきた。知り合いなのか?

「副部長、コイツ知り合いすか?」

「うん。で、何があったの?」

 

僕らは事の顛末を説明した。

 

「いやお前が舐めたプレイしてるから悪いんだろ?いいから謝れよ!」

「いやそもそも初対面の人間にあんな口の利き方したあなたの方が悪いじゃないですか!そっちこそ謝ってください!」

「嫌だ。絶対に謝らねぇ。オレは何も間違ってないからな!」

「ちょっと、ストップ!」

 

副部長が仲裁に入る。

 

「確かに甲斐くんの言ってることも一理ある。でもね、これはそもそもゲームだよ?その人がやりたい譜面やって悪いことなんて一つもないよね?」

「…はは、、、そんなんだから部の連中部長副部長以外クソばっかなんすよ!!!」

 

うお、コイツ言うなぁ

 

「ずっとコレじゃ勝てる試合も勝てない!去年みたいに!」

 

副部長の目つきが変わる。怖い。

 

「…話してても埒明かなさそうだし、甲斐くん、一旦マッチングしようか。曲はそっちが決めていいよ。」

「いいですよ!やりましょう。」

 

選ばれた曲はロボットプラネットユートピアだった。

 

曲が始まる。平場は至って普通の13+の譜面といった感じだが、ところどころにタップスライドが降ってくる。これを光らせるのはかなり難しそうだ…

そして同じ譜面が降ってきているのもかかわらず、二人の捌き方は対照的だった。

丸刈りはスライド処理でタップスライドを捌いていたが、副部長はタップを全部指で押して綺麗に光らせていた。ありえない…

曲が終わる。副部長が理論値、丸刈りが1落ちAJだった。分かってはいたが、副部長上手いんだな…

 

「甲斐くん、部員をバカにするのはやめてくれないかな?私は今の雰囲気気に入ってるんだ。ストイックなのはいいことだけど、それを人に押し付けるのは私より上手くなってからで良いんじゃないかな?」

 

副部長もなかなか言うな…

 

「分かったら今日はもう帰って。山口くんも怖がってるから。」

「チッ、」

 

丸刈りは帰って行った。

 

「ごめんね!怖がらせるようなことしちゃって。甲斐くんはウチの部の2回生の子なんだ。すごく上手いんだけどトゲがあって…。いつもはもう少しマイルドなんだけど、今日はたまたま虫の居所が悪かったのかなぁ。あとでこっぴどく叱っておくから許してあげて!」

「まぁ…分かりました。」

「ありがと。今日は帰ろうか。」

 

家に着いた。

 

「はぁ…なんだか疲れたな。」

 

ドサッ

 

布団に横になる。

 

「他機種の地力で鍵盤譜面殴るのは結構!!!メチャクチャ楽しいだろうな!!!でもな、そんなんじゃお前のクソプレイ一生マシにならねぇんだよ!!!」

 

甲斐さんに言われたことが頭のなかでグルグル回りはじめる。

正直図星だったからだ。このままじゃダメなんだ。このままじゃ、一生上手くなれない…

 

「チュウニズムを上手くなる。」

 

そのためにすべきことを考えながら僕は眠りについた。

 

第4話:After the rain

 

甲斐さんに会ってから3ヶ月間、僕は猛練習をしていた。14+は全AJ、15は半分AJした。始めたてのときは手も足もでなかった15+も全鳥を達成することができた。

一考察も必死になって理論値を叩き出した。

常に甲斐さんに言われたことを考えていた。

 

「で、その甲斐くんなんだけどね?」

「心を読まないでください!」

 

僕たちはゲーセンすぐそばのラーメン屋に来ていた。

 

「ふふ、ごめんね。で、甲斐くんなんだけどね?彼もここに誘おうとして呼んだんだけど来ないんだよ。困ったね〜。例会にも来ないし。」

 

確かにこの3ヶ月間甲斐さんの姿を見てないな…

 

「まぁ甲斐は放っておいても上手くなるし、実力面で心配することはないんだが、、」

 

部長は甲斐さんの実力には多大な信頼を寄せているみたいだ。

 

「とりあえず今日は解散!甲斐は俺が何とかしておく!」

 

僕たちはラーメン屋を出た。ここで栄養補給をした後ゲーセンに向かうのが僕のルーティンになっていた。

 

「俺たちは用事あるから大学に戻るぞ!練習頑張れよ!!!」

「はい!!!」

 

僕は足早にゲーセンに向かった。そしてCHUNITHMコーナーのあるフロアでエレベーターから降りようとした時、、

 

「あっ」「あっ」

 

甲斐さんと鉢合わせた。マズイ、逃げなきゃ。僕は目を伏せて早歩きでエレベーターから脱出しようとした。が、

 

「おい、お前今時間あるか?」

 

捕まってしまった。

 

僕らは近くの喫茶店に移動した。

 

アメリカン、冷たいので」

「お、同じのお願いします!」

 

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

人目があるからすぐに殺されることはなさそうだが…ってそういう問題じゃない!

ビクビクしながら向こうのアクションを待っていたが、発された言葉は意外なものだった。

 

「…その…この前の…少し悪かったと思ってる…オレ、チュウニズムのことになるとああいう感じになるんだ…。特にあの日はRebellionの理論値がなかなか揃わなくて、それでイライラしてて…」

「え…?」

「あの後、副部長とも話して…本当に、少し、申し訳ないと思ってる…」

 

意外と素直な人だった。

 

「あ、あの!僕もずっと甲斐さんに言われたこと考えてて!このままじゃダメなんだって!必死に練習しました!僕とマッチングしてくれませんかッ!」

 

向こうが素の部分を見せてきたから、こっちも爆発してしまった。

 

ゲーセンに戻った。

 

1曲目は僕の選曲で宛城、炎上!!だ。チュウニズムが上手くなったことを証明したかった。自己ベストは5落ちAJ。

 

曲が始まる。僕も向こうも終盤まで理論値ペースだったが16分割タプスラで差をつけられてしまった。僕は自己ベタイ、甲斐さんは1落ちだった。

 

そのまま向こう選曲の2曲目が始まる。曲はDengeki Tubeだ。鍵盤譜面。僕の得意領域。

 

これもまた終盤までお互い理論値ペースだった。前までの僕ならラストは固定で押して赤JUSTICEを大量に出していただろうが今の僕には擦りがある。

 

かなり上手くいった!5落ちだ!

 

向こうの点数を見る。

 

2落ちだ。

 

負けてしまった。

 

甲斐さんが口を開く。

 

「…ヘタクソ。」

 

「はい。」

 

「ヘタクソ!!!」

 

「はい!!!」

 

「でも…つまらなくはなかった。」

 

「…」

 

「…」

 

「…ふっ…そこは楽しかったって言ったらどうですか!!!」

 

「黙れ。」

 

 

 

「なんかいい感じですね〜。」

「ああ!そうだな、可愛いヤツらだ。」

「私たちがどうにかするまでもなかったみたいですね。」

 

 

 

その後、僕と甲斐さんは閉店までマッチングを繰り返した。結局、一勝もさせてくれなかった。悔しい。

 

ゲーセンから出ると雨が降っていた。

 

「オレの家すぐそこだし来るか?雨が止んだら帰ってもらうが。」

「いいんですか?行きます!」

 

甲斐さん、心を開いた相手にはグイグイくるな…さながらマイルドヤンキーだ。

 

「お邪魔しまーす。」

 

部屋に入って真っ先に目に入ってきたのはドラムパッドとスティック、それに高そうなPCとキーボードだった。

 

「チュウニズムを上手くなるためだったら出来ることは何でもするのがオレの主義だからな。泥臭いと思ったか?」

「いえ…カッコいいです…。本当に…」

「…茶淹れる。座って待ってろ。」

「はい!あ、トイレ借りてもいいですか?」

「玄関の右手前だ。」

「ありがとうございます。」

 

トイレに向かう途中、物置のような部屋に巨大な白い塊が見えた。

 

よく近づいて見るとそれらは全部破れた手袋だった…

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

 

「甲斐さん!一緒にチュウニズム上手くなりましょう!絶対に!」

「うおっ!どうしたいきなり…」

「上手くなりましょう!!!チュウニズム!!!」

「まぁ…そうだな。」

 

結局その日はそのまま甲斐さんの家で寝てしまった。

 

第5話:Destination

 

交流戦まで2週間を切ったし、合宿をするぞ!」

「次のの土日にスーパー銭湯に併設されてるゲーセンでやろうと思ってま〜す!来るよね?二人とも。」

「ぜひ行きたいです!!!」「行きます。」

「じゃあ決定だな!それと今回の合宿では各々目標を決めてもらう。甲斐はどうする?」

「15の全1桁落ちAJを目指します。」

「分かった。山口はどうだ?」

「15全AJの仕上げをしたいと思います。残り10曲、頑張ります!」

「よし、その意気だ!じゃあ各自荷造りなど準備しておくように!」

 

合宿当日になった。部長の運転するワゴンで目的地に向かう。

 

「オエ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

甲斐さんがダウンしていた。部長の運転は荒かった。

 

「ちょっ、甲斐さんガチでヤバそうなので次のSAで副部長に運転手交代してください!」

「ああ、わかった。すまない。」

 

SAで休憩したらなんとか回復したみたいだった。

 

運転手は副部長に交代だ。

 

「みんな準備OK?じゃ、飛ばすよーーー!!!」

 

ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

 

「え?」

 

副部長の運転はもっと荒かった。

 

「オエ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

何とか目的地に到着した。早速全員で練習を始める。

 

「どうですか?進捗は。」

「あとはRebverberateだけだ。まぁすぐ終わるだろ。お前は?」

「半分終わりました!僕もいけそうです。」

 

一方部長と副部長は2人でひたすらマッチングを繰り返して一発力を鍛えていた。並の15では理論値当たり前、15+でもAJは当たり前といった感じだった。

 

「そろそろ切り上げて風呂行くぞ!」

「「「はーい」」」

 

フゥ〜。長時間の練習後の風呂は体に沁みた。

 

風呂から出ると先に上がっていた先輩たちが出来上がっていた。マジで酒くさい…。

 

「甲斐さんそんな所で寝たら体おかしくしますよ!布団行きましょ。」

「…うぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。やまぐち〜〜〜。」

 

特にこの人は酷かった。でも、僕もお酒はやく飲めるようになりたいな。

 

「…こういうの久しぶりだね。」

「確かにな、俺たちが1回生の時ぶりか。」

「え、そうなんですか?」

「流行病とか実力差の関係でなかなか開催できなかったんだ。こうしてまた合宿ができて嬉しいよ!」

「そうですか…!」

「ねぇねぇ、ちょっと今から1クレだけやりに行かない?」

「いいぞ!行こう。」

「え、今からですか?」

 

ゲーセンに戻ってきた。副部長が選曲する。

 

「うわぁ!お前分かってんなぁ!本当に懐かしい!」

「でしょ。1回の最初の例会で会ったときもこれやったよね〜。お互い曲も譜面も好きでさ。」

「はは、お前がタプスラを指で取ってるって知った時は本当にビビったよ。」

 

2人のプレイを見る。ピアノの旋律が心地よくて、いい曲だ。それに難易度にしては精度を取るのが難しそうだ。

 

「よし、戻ろうか。付き合わせてごめんね。」

 

2人が楽しそうにしているのを見ると何だかとても嬉しかった。

 

合宿は一瞬で終わった。全員当初の目標を達成することができた。そして、万全の状態で交流戦を迎えた。

 

第6話:My First Phone

 

交流戦は一試合2ゲームの形式で行われる。1ゲーム目は15から1曲、2ゲーム目は15+から1曲それぞれ課題曲が選ばれ、合計点の高いチームの勝利となる。


そして何よりも大事なのが2対2のタッグバトルで行われるという点だ。


つまり一方だけが上手くても勝てない。2人とも高い点数を叩き出す必要がある。

 

僕のチームでは15を僕と甲斐さん、15+を部長と副部長が担当することになっていた。

 

「うわ〜緊張してきた…。昔出た公式大会とは別の緊張感があるな…。甲斐さんって緊張とかします?」

「いや、別に。昔から店舗大会とかで慣れてるから。」

 

「よし!準備はいいか?1試合目いくぞ!」

「「「はいっ!」」」

 

1試合目は圧勝だった。2ゲーム目では部長と副部長がどちらもUltimate ForceをAJして会場を沸かせていた。

 

そして2試合目、相手は去年の1位の伏見だ。これに勝てば優勝。

 

1ゲーム目の課題曲はエンドマークに希望と涙を添えて。僕はこの曲が得意でも苦手でもない。
一方甲斐さんは超得意で自己ベストは理論値。つまり僕がしくじらなければ恐らく勝てる。

 

曲が始まる。ラスサビまではプレイヤー4人全員理論値だった。


ヒリつく。


この8分の後に16分が降ってくる。個人的にはここが最難所だったが、、、


光った!


あとの難所といえばタプスラのみだった。


行ける!


…そう思ったがタプスラの持ち替えを忘れてしまった。運指ミスだ。


赤JUSTICEで済めばよかったが運指を間違えたことによる動揺でミスが一つ出た。


そのまま曲が終わる。


相手は合計6落ちAJ、甲斐さんは1落ちだった。
僕がAJさえしていれば、、、勝てていたかもしれない、、、

 

震える手を抑えながら2人でベンチに戻った。

 

「…気にすんな。オレだって昔はそんなんばっかだった。そんなんばっかで、このままじゃダメだって思って、必死に場数踏んでここまで出来るようになったんだ。だから…気にすんな。」

 

肩を落とす僕を見て甲斐さんは声をかけてくれた。声がいつもより優しくて、自然と涙が溢れてきた。

 

「…ズビ…はい…絶対もっと上手くなります…!!!」

「次やったら承知しないからな!」

「はいっ…!」

 

その後2ゲーム目は部長と副部長が当然のように勝利したが、結局合計点で負けて2位になってしまった。僕が足を引っ張る結果となってしまったものの、他の3人は本当に優しかった。

 

「山口、お前は上手くなっている。それに今回の悔しさをバネに、より高みへ行けるはずだと俺は信じている。だから決して今回のことを引きずるな!過去の自分の結果を塗り替えられるのはこれからの自分の鍛錬のみだ!」

「それに今年度はあと1回交流戦が残ってる。そこで見返してやればいいんだよ!」

「…はいっ!!!!!!!」

 

次の交流戦、絶対勝つ。今までにないくらい燃えていた。

 

第7話:overcome

 

交流戦が終わってから、僕はほぼ毎日練習していた。部長と副部長を真似て甲斐さんとのマッチングをひたすらに繰り返して、たまに勝つことも出来ていた。

 

また、ネットでコンタクトを取って同じ実力帯のプレイヤーに勝ち切る練習もした。これのおかげでかなり一発力に自信がついた。

 

そしてあっという間に2月になり、今年度最後の交流戦が始まる。

 

前回と同じで1回戦は圧勝だった。それにやはり自分の一発力の向上を感じた。緊張はしていたが程よい緊張だった。

 

案の定決勝に上がってきたのは伏見。一回戦の様子を見ていたが向こうも向こうで仕上がっている。俄然燃えてきた!

 

一ゲーム目の課題曲はTrrricksters!!。超が付くほどのCHUNITHM譜面で全体難だ。しかし、数多のマッチングでこういう全体難の譜面に磨きをかけていたので逆に自信があった。

 

「今度はキャリー頼むぞ。」

「はい!そのつもりでいきます!」

「…!」

 

曲が始まる。


序盤のタプスラ、フリックをくぐり抜けラスサビまで全員理論値で通した。そしてラスサビから怒涛の難所ラッシュが始まる。

 

ところどころで赤JUSTICEを出し、3落ちでラスト4小節を迎えた。前回と同じ失敗をしないように、丁寧に、ミスを出さないプレイをした。

 

「絶対勝つんだ!!!!!」

 

曲が終わる。

 

僕と甲斐さんはお互い3落ちAJ。気づいたら僕はラスト4小節を理論値通過していたみたいだ。

 

向こうのスコアは、、、、、1人がラストで崩れて大きな点差がついていた………

 

「やったあああぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

甲斐さんに飛びついた。

 

「勝ちましたよ!!!勝ちましたよ!!!僕たち!!!」

「ああ…!」

 

2人駆け足でベンチに戻った。

 

「お前らよくやった!!!感動した!!!」

「あとは私たちに任せておいて!ケチョンケチョンにしてくるから!」

 

試合に向かう2人の背中はデカかった。

 

「………お前上手いな、チュウニズム。」

「え?なんか言いました?」

「なんでもない。ほらプレイが始まるぞ。」

 

2ゲーム目が始まる。課題曲はWorld Vanquisher だ。結果からいうと部長副部長の圧勝だった。2人は壊れすぎている。でも2人は今までで一番楽しそうにプレイをしていた。

 

 

 

 

 

「優勝だ!!!!!!!!!」

 

「「「よっしゃあああぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁ!!!!!!!!!」」」

 

「じゃあさっそく乾杯!!!」

 

「「「乾杯!!!」」」

 

僕たちは祝勝会に来ていた。

 

「にしても山口、本当によくやった!正直一年でここまでやれるようになるとは思ってなかったよ!」

「そうだね!本当に頑張ってたし、こうして報われて私まで嬉しい!」

「そうだぞ〜やまぐちぃー。お前がずっと頑張ってたの見てたぞ。本当にお前は上手くなった!本当に、本当に、嫉妬するくらい!」

「皆さんありがとうございます!」

 

甲斐さん酔うとメッチャ褒めてくれるな…

 

「にしても私たちはこれでもう終わりかぁ。寂しくなるね。」

「そうだな…でもこの感じなら来年の部も安泰そうで安心したよ!甲斐と山口が居てくれて本当によかった!」

「…そうですね!」

 

それからこの一年あったことをたくさん話した。本当に色々なことがあったんだな。

 

「よし!みんな疲れているだろうし、ここらでお開きにしようか!」

 

僕は帰路についた。

 

「…」

 

「……」

 

「部長、副部長…」

 

第8話:Warcry

 

今日は部長と副部長の追いコンだ。

下回生は事前準備がある。

 

ガチャ

 

2人のいない教室は静かだった。

素早く準備を終わらせて2人を待つ。

 

しばらくすると2人がやってきた。

 

「それでは部長と副部長の登場で〜す!拍手〜。」

 

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

 

追いコンではCHUNITHMクイズやピザパーティーが催されたがあまり気が乗らなかった。そして、

 

「最後は各学年の代表からの言葉です!ではまず山口くんからどうぞ!」

「はい。」

 

一回生の代表は僕だった。

 

「…部長、副部長この度はお疲れ様でした。最初ゲーセンで見かけた時は本当に怖かったんですけど、話したら全然優しくて、それで2人ともメチャクチャ上手くて…2人みたいになりたくて…ズビ…2人ともっとチュウニズムがやりたくて…ズビ…ズビ…それで…それで…」

 

「ちょっと何泣いてんの〜?」

 

ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

 

僕はみんなに笑われてしまった。

 

「ズビ…今後もチュウニズム一緒にやってくれますよね?」

「「勿論!」」

「まだ一緒に上を目指してくれますよね?」

「「勿論!」」

「ありがとうございますっ…!」

「それに来年から頼むよ?部長!」

「…え?」

「あれ、言ってなかったか。甲斐が部長だと色々と心配だからな!ほら、今日も来てないし。俺たちの希望なんだ、頼めるか?」

「…はい、あまり自信はないけど、頑張ります!」

「ありがとう!負けたら容赦しないからね〜」

「はい!」

「では、山口くん、ありがとうございました!続いて2回生代表の…

 

こうして部長と副部長は引退していった。

 

正直まだ2人の穴を埋められるほどの実力は僕たちにはない。でも僕は部長としてやるべきことをやるだけだ。いつか2人みたいなデケェプレイヤーになるために。

 

第9話:stella=steLLa

 

ピロン

 

甲斐さんからメッセージが届く。

 

「お前今日どうすんの。」

「今日は授業ないので今からゲーセン篭ります!」

「わかった。オレは3限終わったら行くわ。」

「了解です!」

 

チャリでゲーセンに向かう。春風が心地いい。今日は下埋め日和だな。

 

ゲーセンについた。そうだ、部長と副部長が合宿の時にやってた曲の理論値狙ってみるか。

 

うわ、1落ちか。タプスラは光るけど、やっぱりラストむずいなぁ。よし、もう一回!

 

 

 

 

〈終〉

 

 




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