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『ズートピア2』短評

FM COCOLO CIAO 765 毎週月曜、11時台半ばのCIAO CINEMA 2月16日放送分
映画『ズートピア2』短評のDJ'sカット版です。

動物たちが種を問わず高度な文明社会を築き、まるで人間のように暮らす世界ズートピア。前作で市長の汚職を暴いたウサギ初の警察官ジュディは、詐欺師から警察へと転身したニックと今度は晴れて公式なバディを組んでいます。爬虫類はいないとされるズートピアに紛れ込んだヘビの指名手配犯ゲイリーを見つけ出すため、ふたりが潜入捜査を開始すると、歴史の闇に葬られていた謎が浮かび上がってきます。

ズートピア (字幕版)

前作で共同監督と脚本を担当し、現在はディズニー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるジャレド・ブッシュと、こちらも前作より続投となる『ミラベルと魔法だらけの家』のバイロン・ハワードが共同監督というコンビです。ジュディの声を上戸彩、ニックは森川智之、ゲイリーを下野紘が担当した他、山田涼介、梅沢富美男柄本明江口のりこなども参加しています。世界中で記録的なヒットとなっていまして、アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートを果たしました。
 
僕は先週水曜夕方にMOVIX京都で吹替版を鑑賞してきました。それでは、今週の映画短評、いってみよう。

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ズートピアの面白さは、まず大きく2つあると考えています。ひとつは、人間社会の比喩としての動物たちの動き。もうひとつは、政治的なメッセージです。
 
ひとつめの動物たちの動きは、実写とは違うアニメならではの魅力を反映していますね。今回もウサギのジュディとキツネのニックという、アニメでしか成立しないコンビがしっかりスラップスティックなドタバタ喜劇で中心的な役割を担っています。今作では潜入捜査もやってのけますから、衣装替えもしつつ、「トムとジェリー」的なハチャメチャさも随所にあるので、年齢性別国籍といった属性を問わず楽しめます。動物たちの習性や僕たち人間から見たイメージを踏まえた描写も、いちいち芸が細かいです。主役のふたりみたいに前作から再登板しているキャラクターの「待ってました」という言動もあれば、動きが極端に遅いナマケモノが車に乗るとどうなるかというギャグも加速させていて続編の魅力を発揮しています。加えて、新登場のキャラクターでは、とりわけ半水生動物が暮らすマーシュ・マーケットがすばらしかった。ズートピアでも外れの位置するので、都会の動物たちにとっても未知の存在でリアクションが楽しいし、たとえば渡し船のセイウチなんて傑作でしたね。渡し船って言ってもその身体がそのまま船になるところとか、「今日は記念日なの?」とか言ってお腹に据え付けた櫓の電気をつける粋なはからいも笑えます。あとは、007ばりの華やかなパーティー潜入シーンからの逃走劇や大捕物も盛り込むなど、カーチェイスの演出なんて特にアイデア盛り盛りでしたね。

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続いて、政治的なメッセージについて。これは、より強化された印象です。物語は前作からたった1週間後に設定されているんですが、映画としては9年越しの公開なわけで、その間に現実の世界は大きく変化しました。続編だからということもあるでしょうが、それ以上に、ズートピアという設定がそもそも人間社会の比喩なわけですから、現実の特に問題や課題の変化に対応したとみるべきでしょう。大手メディアでは語られないネタを語るポッドキャスター。そして、前回以上に大きくクローズアップされることになったズートピアを取り囲む壁。さらには、社会から阻害・迫害されてしまった爬虫類。このあたりは、ガザの問題も念頭にあったでしょう。壁も含めて、この10年弱のトランプ大統領の政策をどうしたって想起させます。ルーツや容姿が異なっていても、誰もがその違いを認め合って暮らす理想郷としてのユートピア。犯罪だって汚職だってあるけれど、誰もが夢を叶えられる可能性を秘めた場所って、本来のアメリカそのものなわけです。そこで今回登場したのが爬虫類。これは見事なアイデアでした。確かに、前作でどこまで想定していたかは知りませんが、まったく登場していなかった。新たなキャラクターとして出すにあたり、現実の課題を踏まえて、彼らは排斥されていたのだという設定にしたのはお見事です。では、なぜ追いやられてしまったのか。一応、ネタバレ回避でここでは言いませんが、まさにアメリカの歴史をトレースするような筋立てには唸りました。

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ヘビのゲイリーとともにジュディとニックはその歴史を暴こうとするわけですが、バディもののセオリーをそれぞれのキャラクター特性を活かしながら踏襲していて泣かせるし、両者の絆を演出しつつも、それを男女の恋愛沙汰になりそうなギリギリのところにとどめているのも絶妙でした。『スター・ウォーズ』の酒場カンティーナを彷彿とさせる爬虫類たちの飲み屋や、『シャイニング』を意識した雪原の館など、映画史を踏まえたくすぐりもあるし、ディズニーアニメの歴史を踏まえたところもあって、大人が深読みするような鑑賞にも耐えるどころか余りあるだけでなく、当然ちびっ子が素直にワクワクしっぱなしのスピーディーで濃密な108分。大きな欠点が見当たらないどころか、美点ばかりが思い起こされる、1に続いてまたしても傑作です。大きなことは良いことだと大国が野心をむき出しにし、お前らなんて邪魔だから目障りだからここから出ていけなんて心ない発言がまかり通り、それによって失う豊かさに気づけない視野狭窄に陥りつつある現実の世界において、ズートピアシリーズはピカピカの道標になるはずです。
 
この主題歌は、ガゼルのポップスターとして劇中に出演もしているShakiraとエド・シーラン、そしてエド・シーランの仲間ブレイク・スラットキンの共作です。

さ〜て、次回なんですが、2月23日が天皇誕生日にあたり、CIAO 765はホリデースペシャル放送のため、お休みです。なので、2週間後の3月2日に評する作品を決めるべく、おみくじを引いて僕が引き当てたのは、『幻愛 夢の向こうに』です。香港の恋愛映画ですね。予告を見る限り、夢と現(うつつ)する詩的な印象を受けましたが、実際のところどうなのか。恋模様に身を委ねてみようと思うおじさんです。さぁ、あなたも鑑賞したら、あるいは既にご覧になっているようなら、いつでも結構ですので、Xで #まちゃお765 を付けてのポスト、お願いしますね。待ってま〜す!



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