これから2015年から2025年までに日本で公開されたイタリア映画のリストを、1年ごとにこちらのブログに掲載していきます。11年分あるので、11回の連載になります。
そもそものきっかけは、2025年8月終わりに京都ドーナッツクラブが企画したパオロ・ソレンティーノ『パルテノペ ナポリの宝石』トークショーのネタとして用意した2015年から2025年までに日本で劇場公開された新作イタリア映画リストでした。トークショー時に、せっかくなのでこのリストをドーナッツクラブのブログに載せようという話になり、そこで私は、劇場公開された旧作や回顧上映や映画祭などで上映された作品も加えた完全版をつくりたいという欲望に駆られました。調べはじめたら細かい映画祭がめちゃくちゃあって、膨大な時間をかけてしまったのですが、今ようやくここで発表できるにいたったわけです。
なぜ、2015年からなのか? これには明確な理由があります。毎年5月ごろに開催されるイタリア映画祭のカタログに、おそらく5年おきくらいに「イタリア映画公開上映リスト」というものが掲載されていました。ところが、2015年を最後に、カタログからリストが消えてしまった。それなら私が補完しましょうということで、勝手に企画を受け継いで2015年から2025年までのリストをつくったのでした。ゆえに、監督名→邦題→配給会社名→監督名と原題のアルファベット表記+製作年というリストの各作品にみる表記方法は、イタリア映画祭カタログのそれを勝手に踏襲しております。
リストで扱う「イタリア映画」の定義
①ネット配信ではなく、実際のスクリーンで上映されたもの。
②中編・長編映画。短編は除く。
③製作国が共同の場合は、明らかにイタリアが主導だろうという場合のみリスト入り。
以上の3点です。いろいろ調べていったら、何をもってしてイタリア映画というべきか……という疑問が立ちはだかり、大いに悩まされました。そんな悩みから生じるブレで、リスト漏れしている作品もあるかもしれないし、地方の小さな映画祭の情報など、取りこぼしもあるかもしれない。ただ、できるかぎり上記の3つの定義に従ってリストアップしたということでご容赦ください。
おりしも2015年はNetflixが日本に到来した年です。ネトフリ元年、日本の劇場ではどのようなイタリア映画が鑑賞できたのか? それでは見ていきましょう。
2015年
【劇場公開】
ウベルト・パゾリーニ監督
『おみおくりの作法』
配給:ビターズ・エンド
Uberto Pasolini, Still Life, 2013
マルコ・ピアニジャーニ監督
『ヴァチカン美術館4K3D 天国への入口』
配給:コムストック・グループ
Marco Pianigiani, The Vatican Museums 3D, 2013
『夏をゆく人々』
配給:ハーク
Alice Rohrwacher, Le meraviglie, 2015
フェルザン・オズペテク監督
『カプチーノはお熱いうちに』
配給:ザジフィルムズ
Ferzan Ozpetek, Allacciate le cinture, 2014
『暗殺の森』
配給:コピアポア・フィルム
Bernardo Bertolucci, Il conformista, 1970
※デジタル・リマスター版
『ローマに消えた男』
配給:レスペ、トランスフォーマー
Roberto Andò, Viva la libertà, 2013
【映画祭・特集上映】
〈映画で旅するイタリア ~日本未公開作品と巡る6ヶ月〉
マネッティ・ブラザーズ監督
『僕はナポリタン』
Manetti Bros., Song’e Napule, 2013
※2018年、イタリア映画祭2018にて上映

シルヴァーノ・アゴスティ監督
『カーネーションの卵』
Silvano Agosti, Uova di garofano, 1991
ジョルジョ・ディリッティ監督
『風はめぐる』
Giorgio Diritti, Il vento fa il suo giro, 2005
クラウディオ・ジョヴァンネージ監督
『青い眼のアリー』
Claudio Giovannesi, Alì ha gli occhi Azzurri, 2012

エウジェニオ・カプッチョ監督
『ただ彼女と眠りたかっただけなのに』
Eugenio Cappuccio, Volevo solo dormirle adosso, 2004

エウジェニオ・カプッチョ監督
『フィルムがない!』
Eugenio Cappuccio, Il caricature, 1996

〈第2回グリーンイメージ国際環境映像祭〉
エンリコ・チェラスオーロ監督
『Last Callー科学者たちの警告』
Enrico Cerasuolo, Ultima chiamata, 2013
〈第三回 新・午前十時の映画祭 デジタルで甦る永遠の名作〉
『ひまわり』
Vittorio De Sica, I girasoli, 1970
『ラストエンペラー』
Bernardo Bertolucci, L'ultimo imperatore, 1987
Giuseppe Tornatore, Nuovo Cinema Paradiso, 1988
〈イタリア映画祭2015〉
カルロ・マッツァクラーティ監督
『幸せの椅子』
Carlo Mazzacurati, La sedia della felicità, 2013

『人間の値打ち』
Paolo Virzì, Il capitale umano, 2013
※2016年劇場公開
『いつだってやめられる』
Sydney Sibilia, Smetto quando voglio, 2014
※2018年『いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』の邦題で劇場公開
エドアルド・ウィンスピア監督
『神の恩寵』
In grazia di Dio, Edoardo Winspeare, 2014

『われらの子供たち』
Ivano De Matteo, I nostril ragazzi, 2014
フランチェスコ・ムンズィ監督
『黒い魂』
Franesco Munzi, Anime nere, 2014
マリオ・マルトーネ監督
『レオパルディ』
Mario Martone, Il giovane favoloso, 2014
ジュリオ・マンフレドニア監督
『僕たちの大地』
Giulio Manfredonia, La nostra terra, 2014
『緑はよみがえる』
Ermanno Olmi, Torneranno i prati, 2014
※2016年劇場公開
リッカルド・ミラーニ監督
『生きていてすみません!』
Riccardo Milani, Scusate se esisto!, 2014
※2016年『これが私の人生設計』の邦題で劇場公開
ランベルト・サンフェリーチェ監督
『スイミング・プールの少女』
Lamberto Sanfelice, Cloro, 2015
カルロ・マッツァクラーティ監督
『ラ・パッショーネ』
Carlo Mazzacurait, La Passione, 2010
フェルザン・オズペテク監督
『カプチーノはお熱いうちに』
Ferzan Ozpetek, Allacciate le cinture, 2013
※2015年劇場公開
『ザ・ワンダーズ』
Alice Rohrwacher, Le meraviglie, 2014
※2015年『夏をゆく人々』の邦題で劇場公開
レオナルド・グエッラ・セラニョーリ監督
『ラスト・サマー』
Leonardo Guerra Seràgnoli, Last Summer, 2014
〈EUフィルムデーズ2015〉
アンドレア・セグレ監督
『ある海辺の詩人-小さなヴェニスで-』
Andrea Segre, Io sono Li, 2011
〈Viva!イタリアvol.2〉
エットレ・スコラ監督
『フェデリコという不思議な存在』
配給:パンドラ
Ettore Scola, Che strano chiamarsi Federico, 2013
ルカ・ルチーニ監督
『ただひとりの父親』
配給:パンドラ
Luca Lucini, Solo un padre, 2008
『夫婦の危機』
配給:パンドラ
Nanni Moretti, Il caimano, 2006
〈第5回宇野港芸術映画座〉
ジッロ・ポンテコルヴォ監督
『アルジェの戦い』
Gillo Pontecorvo, La battaglia di Algeri, 1966
※2016年劇場公開
〈第10回難民映画祭〉
フィリッポ・ビアジャンティ監督、ルーベン・ラガットッラ監督
『ヤング・シリアン・レンズ』
Filippo Biagianti/Ruben Lagattolla, Young Syrian Lenses, 2015
〈第14回とよはしまちなかスロータウン映画祭〉
ウベルト・パゾリーニ監督
『おみおくりの作法』
Uberto Pasolini, Still Life, 2013
2015年劇場公開
〈第28回東京国際映画祭〉
エドアルド・ファルコーネ監督
『神様の思し召し』
Edoardo Falcone, Se Dio vuole, 2015
※2016年劇場公開
『私の血に流れる血』
Marco Bellocchio, Sangue del mio sangue, 2015

【解説】
劇場公開作品としては、アリーチェ・ロルヴァケル、フェルザン・オズペテク、ロベルト・アンドーらが名を連ねている。どれも2014年から2015年にかけてイタリア国内外で評価の高かった作品だ。だがここではウベルト・パゾリーニ監督『おみおくりの作法』に注目したい。舞台はロンドン、俳優陣もイギリス人だが、監督はローマ生まれのイタリア人。貴族の家系で、母方の大叔父には、あの巨匠ルキノ・ヴィスコンティがいる。孤独死した人の埋葬を仕事とする中年男の物語で、日本では2022年に阿部サダヲ主演で『アイ・アム・まきもと』としてリメークされた。プロデューサーとしても著名なパゾリーニは、世界をフィールドに活躍する数少ないイタリア映画人だ。
東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門ではマルコ・ベロッキオ監督『私の血に流れる血』が上映された。大作の多いベロッキオにしてはやや地味で見逃されがちな作品だ。17世紀、修道院で双子の兄が自殺する。双子の弟は修道院を訪れ、兄を正式に埋葬するために、その死が修道女の教唆によるものだったと証明しようとする。実際にベロッキオは、双子の弟を自殺によって失うというつらい経験をしている。そのため本作は、監督の内面をさぐる意味で重要な作品なのだが、日本での劇場公開にはいたっていない。
同映画祭のコンペではエドアルド・ファルコーネ監督『神様の思し召し』が観客賞を獲得するという快挙を成し遂げた。マルコ・ジャッリーニ演じる天才外科医と、アレッサンドロ・ガスマン演じる人たらしの神父が繰り広げるコメディーで、こちらは翌年に劇場公開されている。
もう一つどうしても紹介したいのが、第5回宇野港芸術映画座で上映されたジッロ・ポンテコルヴォ『アルジェの戦い』だ。アルジェリアの独立戦争を描いた本作は、1966年にヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を獲得し、翌年には日本でも公開された。それから何十年も日本では鑑賞できない状態にあった本作を、宇野港芸術映画座が新字幕をつけて上映された。こちらも翌2016年に全国で公開されている。

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