
(↑第27話の感想はこちら)
コ゚・バダー・バ(演:小川信行)の強襲を受けたクウガだったが、間一髪のところで難を逃れる。バイクスキルにおいても一枚上手だったバダーはここでとどめを刺さず、何かを言い残して去ってしまう。
今回のベミウによる殺戮に隠されている法則は一条(演:葛山信吾)が雄介(演:オダギリジョー)との会話でヒントを得て解明するのだが、今までのグロンギよりも更に複雑化している事がよく分かる。今回べミウが自らに課したルールはショパンの「革命のエチュード」に記された音符の頭文字から順に都内のプール施設を訪れ、その音符の拍数の数だけ人間を殺害するというもの。
自分は東京の土地勘に詳しくはないので糸口となったブウロのルールを地図上で追ってみると、確かに不可解な動き方をしている。しかしこれが都内の区を五十音順に回っていたということなら説明がつくのである。26話の感想でブウロの行動を警察が読めたのは何故なのかと記したが、あの時点でこれは解明できておらず、たまたまブウロが発見できたというわけだ。一条がこの法則を見つけるまでの一連の流れは非常に刑事ドラマ的だなと思わされるし、このシーンだけを見ていると、思わずこれが「仮面ライダー」であることを忘れてしまう。

未確認生命体の犯行にいつ自分が目標にされるのか分からない不安感は、常に普段の生活と隣合わせに存在している。この状況はそのままコロナ禍に当てはまると思っていて、どれだけ対策をしても感染する時は感染するし、昨日訪れた場所が翌日にはクラスター感染を引き起こしていた……なんて事も実際にあったのだ。みのり(演:葵若菜)達が命拾いしたのも運が良かっただけで、あの一瞬もしも出るのが遅れていたら、プールサイドに並ぶ死体は自分達自身だったかもしれない。そんな恐怖が胸を掠めるのである。
混沌とした世相に未来を見いだせなかったコロナ禍の真っ只中を思い出すと、どうしたって気持ちを前向きにもっていくのが難しかった。さらにもし自分に妻子がいたら、これから先どうなるのか不安にしかならなかっただろう。お腹に赤ちゃんを身ごもった恵子(演:岡田理江)が浮かべた憂いの表情に、私達にも重なるところがあるだろう。
それでもみのりが励ましたように、前を向いて生きて、いつか振り返った時に昔話として話せるように頑張っていかなきゃいけない、というのは絵に書いたような綺麗事の言葉なのかもしれない。でもそんな綺麗事を本当にするために、クウガや警察が必死に戦っている。ここに制作陣が込めた思いを感じ取れるのではないだろうか。
#クウガ20周年配信 奈々ちゃんも、一条さんも(煉獄さんも)強くて優しいお母さんの子って感じですよね。#kuuga#nitiasa#超配信#クウガ20周年
— 高寺成紀☺ (@taka_69s) 2020年12月12日
べミウのゲゲルを阻止するため、警察は次の目標となる都内のプール施設を閉鎖。何としてでもゲゲルを遂行すると考えた一条と雄介は、「ソ」から始まる外浦海水浴場へ向かう。クウガへと変身した雄介はドラゴンフォームでべミウと対峙する。凍傷能力を持つムチを振るう相手に、動きが素早い青のクウガで反応しながらロッドで距離を保って攻撃を繰り出すとても理にかなった戦法である。しかし少しでもムチに触れると瞬間的に冷却が始まるため、掠めたドラゴンロッドの一部が凍結により粉砕されてしまう。

フォーム形態において時折耳にする「不遇」という言葉には、どんな意味が込められているのだろうか。倒した敵の数が少なく戦績が振るわなかったり、その形態の上位互換が現れたため役目を果たすことが出来なかったり、などの意味合いでよく使われるが、自分はこれにまるで賛同することが出来ないし断固として異を唱えたい。
今回登場する金の青の力=ライジングドラゴンはドラゴンフォームに金の力を宿した強化形態であり、スペック上は全てドラゴンフォームを上回っている。しかし登場回数は劇中では2回のみのため、いわゆる「他フォームに比べて登場回数が少なすぎる」が故に「不遇」だと揶揄される。
しかしライジングドラゴンの登場回数が少なくなるのは必然的でもあって、ドラゴンフォーム以上の素早さと跳躍力が必要になる場合に、クウガならどうするかと考えると、おそらくペガサスフォームに超変身するからだ。相手が超高速で動いたり自身以上の跳躍で翻弄してくるのであれば、スペックは高くても時間制限のあるライジングドラゴンで物理的に追いかけるよりもペガサスの索敵能力で狙い撃つ方が確実性が高いだろう。また強さと耐久力が格段に上がっているゴ集団との戦闘において、決め手として使うならやはり他フォームを採用するだろう。
だったら尚のこと「不遇」ではないかと思われるのだが、自分にとって新フォームのお披露目に一番大切だと感じているのが、その新フォームの登場がいかに劇的で意味を持つのかという点である。正直強さや撃破数なんていうのは数字の話とストーリーの都合なだけであり、そのフォームがいかに印象的な立ち回りを魅せてくれたかどうかが肝要なのである。
浜辺で追い込まれたクウガの足元に流木が流れついた瞬間、即座に蹴り上げて飛沫が撒き上がりそれを手にする最高に決まったあのカット。決して長くはないアクションシーンだが、あの一連の流れを見た時のことはよく覚えている。そしてその勢いでムチを交わし、前転しながらライジングドラゴンへと超変身する。黒色のアーマーまで青色に変化し、全身が青色となったその姿は真の意味で「青龍」と呼べるのではないだろうか。
徐々に金の力を身につけるクウガに残されたのは、赤の金の力のみ。
そして新たに立ちはだかるゴ集団の怪人。
それでは次の更新で。
(↑第29話の感想はこちら。)
