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第1557回 桜と日本人の心

江戸時代、古事記の研究を通して、日本人の心を捉え直そうとして本居宣長が、30歳の時、桜の木を植える際に詠んだ歌。
「わするなよ  わがおいらくの  春迄も  わかぎの桜  うへし契を」
 西行は、桜の下で死にたいと詠んだが、本居宣長は、桜を、人生の拠り所にした。
 宣長にとって、日本人の心は、「朝日ににほふ山桜花」のようなものだった。そして、これが「もののあはれ」だった。
 「もののあはれ」とは、儚さや切なさを美へと昇華する心の働きだが、この心は、人生の道のりのなかで、世の様々なことを体験し、無常を知っていくうちに、物事の表層に囚われず、その本質に感応するように整えられていく。
 本居宣長の30歳の時の契りとは、世間の表層の流行に惑わされることなく、はるか古代に日本人の心の源泉を見出すということであり、ともすれば見失いがちな志だが、「わするなよ わがおいらくの 春迄も」と、桜の花を植えながら心に念じている。
 日本人の心に宿る美意識は、朝日ににほふ山桜花。
 桜を通して連想するものは人それぞれかもしれないが、時間の移り変わりを、しみじみと感じながら、その変化を受容することにおいて、多くの人は一致しているのではないだろうか。
 2月に行った写真展、「かんながらの道」において、初日に、風の旅人の頃からの読者が桜の木を持ってきてくださった。展示会場の雰囲気に合うかどうかわからないけれど、とりあえず様子を見て、合わなければ持って帰るつもりで。
 もちろん、会場の雰囲気を、より引き立ててくれる桜であり、有り難かった。そして、二週間の会期中、蕾は花となり、やがて散っていった。
 桜が散る姿を見ながら、展示が終わることを自然に受け止める気持ちになっていた。桜には、確かに、そのような心理的働きがある。
 そして、桜を持ってきてくれた方は、写真展の最終日に持ち帰ってくれた。
 まさに、桜のような心遣い。押し付けがましくなく、余韻の力で、人の心に歓びを与えてくれる。
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京都と、東京でワークショップを行います。
<京都>2025年5月31日(土)、6月1日(日)
<東京>2025年4月19日(土)、4月20日(日)
*いずれの日も、1日で終了。
 詳細、お申し込みは、ホームページから。
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