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第1506回 約束の地をめぐる煩悩の醜い争い。

これまで何度も惨たらしい争いが繰り広げられてきた中近東で、もっとも深刻かもしれない事態がはじまって1年が経つ。
 ポケベル爆弾といった最新テクノロジーを使いながら、3000年前のユダ王国を引き合いに出して自らを正当化するという傲慢。
 その傲慢さは、自分たちの神が、自分たちの行為を許してくれるものだと迷信しているところからきている。自分たちの神は、自分たちを導いてくれる良き神で、イスラムの神は、人々に服従を強いる悪しき神であるという善悪二元論。常に、自分が善なる側にいるという開き直り。
 ガザやレバノン南部での破壊行為も酷いものだが、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地域における入植ユダヤ人の横暴は、ふつうに考えれば、一神教の神様でも悪魔の仕業としかみなさないだろうが、こうなってくると、神は、もはや都合のよい大義名分のために利用される存在でしかなく、本当に神が存在するのならば、そうした人間を目覚めさせるために天罰を下すしかないだろう。
 映画で何度もリメイクされている十戒の物語は、エジプト国内において奴隷的扱いにあったユダヤ人をモーゼが率いて、エクソダス(国外脱出)をはかって、神がアブラハムに対し、彼の子孫に所有を約束したことになっているカナン(パレスチナ)への大移動を行うもので、パレスチナの地が、ユダヤ人にとっての故郷であるという正当化にもつながっている。
 しかし、アブラハムには、イシュマエルとイサクという二人の息子がいて、ユダヤ人の祖はイサクの息子のヤコブだが、アラブ人の祖はイシュマエルで、マホメットの血も、アブラハムにつながっているとされている。
 すなわちアブラハムは、ユダヤ人とアラブ人の共通の祖だから、ともにカナンの地を神から約束されているということになる。そして、ユダヤ教イスラム経も、この旧約聖書聖典としている。
 それゆえ、イスラエルとアラブのあいだで起きていることは、肉親のあいだの相続争いのようなものだ。
 一般的にも、肉親どうしが争うようになると、憎しみがより強くなるのだが、これはいったい何故なのだろう。
 肉親同士の争いは、その大半が煩悩の争いだ。限られた相続財産を、自分こそが得たいと欲することで争いが泥沼化する。第三者は関係なく、身内のなかで相手が得るものが増えると自分が得るものが減るという損得の線引きが明確になっているから、両者の争いが激しくなるのだろう。
 どんな争いの局面でもそうだが、争っているあいだ、いろいろと正当な理由をつけて相手を攻撃しているが、それらの理屈は、煩悩を隠すカムフラージュでしかない。そもそも煩悩がなければ、争いは起きない。
 煩悩と自己正当化と、憎しみは、ひとつながり。
 ユダヤ教イスラム経の聖典である旧約聖書のなかでも、「欲がはらむと罪を生み、罪が熟すると死を生みます」(ヤコブ1:15)と述べられている。
 欲が罪だと言っているのではなく、欲がはらむ、つまり欲がつのり、欲に囚われると罪なのであり、その状態が煩悩だ。
 仏教では、人間が持つ煩悩で最も根本的なものを三毒とし、貪瞋痴(とんじんち)と説明している。
 「貪」は貪りの心。人よりも多く欲しい。人の物でも欲しいという気持ち。それが昂じると、人を傷つけても、そのことに気が付かない。
 「瞋」は、怒りの心。絶対に許せない、仕返しをしてやるという気持ちが昂じて、その気持ちに心が支配されて、相手への攻撃を激化させる。
 そして「痴」は無智。何が大切なことなのか、何が本当なのかを真摯に知ろうとせず、デマに振り回されたり、判断が面倒なので、自分にとって都合の良い情報だけを鵜呑みにする状態のこと。
 仏教においては、「煩悩」は、人が生きる時に感じる苦しみの原因になるものであるから、幸福になるためには、煩悩を捨てることが必要になる。 身内の遺産争いでも、「おまえがやっていることは罪だよ」と言われると、「おまえこそ罪だ」と言い合って、怒りと憎しみはつのるばかり。
 「あなたと私の煩悩が、お互いの苦しみの原因よ」と、どちらか一方でも悟ることができれば、怒りと憎しみと、さらに苦しみが鎮まる可能性が、まだ残されている。
 政治家に限らないが、いろいろと飾られた言葉の裏に、人間の煩悩を見通せるようにならないと、自分の煩悩を巧みに手懐けられ操られる体制のなかに組み込まれて、その体制の僕となっていく。
 消費社会の様々な虚栄のイメージ操作や、各種の情報を右から左へ流すだけのメディア情報も、人間の煩悩を増幅させる装置になっている。
 煩悩が渦巻いているのは、中近東だけではない。

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10月26日(土)、27日(日)、東京の高幡不動で、フィールドワークとワークショップセミナーを開催します。
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