先日、レッツゴーデベロッパー仙台2026で「Claude Code for NOT Programming」というLTをしました。Claude Codeをコーディング以外の作業に使ってみたら便利だった、という話です。そのLTの準備を通じて「SaaS is Dead」について考えたことを書いてみたいと思います。
LTスライド → https://speakerdeck.com/kawaguti/claude-code-for-not-programming
イベント → https://lets-go-developer.connpass.com/event/380700/
「SaaS is Dead」の誤読
「SaaS is Dead」という言葉が飛び交っています。AIエージェントでアプリを粗製濫造できるようになるから、という読み方をしている人も多いようです。私も最初はそういう想像をしなくもなかったのですが、たぶんそうじゃないんじゃないかと思っています。
ソフトウェア自体が「痒いところに手が届く」ようになる
これから起きるのは、AIのチャットインタフェースを通じて、ソフトウェア自体がもっと柔軟に人に寄り添うようになる、ということだと思います。
多少入力を間違えても対応してくれる。そもそもこれからやろうとしていることを、先にプランしてくれる。たとえば経費精算したいとき、会社の経費精算アプリのマニュアルを読むのではなく、レシートを見せてAIに聞く。やり方から仕組みまで教えてくれます。聞かなくてもオートで進む。しかも間違えない。
「間違えない」がなぜ可能になったのか
この「間違えない」が大事です。AIといえばハルシネーション、とバカの一つ覚えのように言う人が多い気がしますが、LLM(AIエージェント)を複数使って相互にチェックすることで、ミス率が大きく減ってきました。人間が複数人でチェックするのと同じ仕組みです。これによって、人間に情報が届く頃には、操作している人間以下のミス率で仕事が遂行されるようになってきています。
SaaSが担ってきた「定型業務」の価値が揺らぐ
もちろん万能ではありません。でも、そもそもSaaSって、経費精算とか人事とか営業支援とか、それほど考える必要がない定型業務をミスなく進めてもらう仕組みでした。Coworkのようなツールを使えばミスがなくなる(かもしれない)。少なくとも、これまでのようなコストメリットは得られなくなります。しかも用途ごとにさまざまなSaaSを別々に契約する必要もない。昔ながらの古いUIのままでも構わないかもしれません。
つまり、多くの人が想像してきたDXのビジネスチャンスが萎む可能性があります。
SaaSは「土管」になるのかもしれない
これまでは「検索エンジンが代替される!」とGoogleが騒いだのが最初でした。Googleは見事に対応して強者であり続けています。次に起きるのは、「使いやすいUIとサブスクリプションを売りにしてきたSaaS業務アプリが、単なる土管(API)でよくなる」という話ではないでしょうか。UIを頑張らなくても、REST APIをかっちり提供してくれれば、UIはCoworkがやってくれます。
そうなると、社員全員に配られる、思ったより高額な一席いくらの定額サブスク費は、もう取りにくくなるんじゃないかと。そういう想像が働いての「SaaS is Dead」なのかなと思っています。
「RPAの悪夢再来」か、それとも
日経クロステックの木村岳史さんが「『SaaS is Dead』かどうか知らんが、AIエージェントはRPAの悪夢再来だぞ」というコラムを書いていました。業務プロセスがブラックボックスのままAIエージェントを走らせたら、RPAのときの悪夢が再来する、という警鐘です。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00148/020900421/
これはもっともだと思います。ただ、私はもう少し楽観的に見ています。RPAは「画面のここをクリックして、ここに入力して」という手順の記録再生でした。だから業務が変わると壊れるし、ブラックボックスになりやすかった。一方、AIエージェントは「何を達成したいか」を理解して、手順を自分で組み立てます。手順ではなく目的に基づいて動く。これはRPAとは本質的に異なります。悪夢の再来というよりは、RPAが目指していたものの正しい実装に近いんじゃないかと思っています。
想像と期待の世界
まあ、そんなにみんなが使うだけのAI用のCPU資源があるのかはわかりません。でも日々高性能なGPUがデスクトップに配られているわけで、市場はそこは楽観的なのかもしれません。
株価の話なので、想像と期待の世界です。そうなるかどうかはわからないけど、株価は反応しました。という理解です。