物には物語がある。そしておそらく手間がかかったり、まわり道をしたりするとその物語はより色味を持つ。
たとえば地域のCDショップに輸入盤の取り寄せができない。電話して聞くと取り寄せできるものとできないものがあるらしく、本業は書店であるし、CDも隅にひっそり陳列されているだけなので何ともいえない。できるだけ店舗で買いたいのだけれど、地方にはほんとうにCDショップがない。かろうじてあったレンタル店も生活圏にあったものの一つはたたまれ、もう一つはCDの扱いがなくなった。
仕方がないので大手CDショップのオンラインで探す。この大手CDショップも中心部にあるファッションビルから撤退、郊外ショッピングモールにオープンしたが十年たたずに閉まった。自分の体で場所を動いて、あっちからこっちから異なる音楽が聞こえてくるあの空間の中で音楽に出会う体験がほんとうになくなった。かといってCDの実物はほしいからますます店舗に行かない(そもそもないから行けない)。
せめて受け取るくらいは自分の体でと、コンビニエンスストアを指定した。むしろそうすると送料がかからない。
これら、あっちに行ったりこっちに来たりの一連のやりとりを、迎えるCDのための物語にしたくて、私はあえてあがいている。