師走の別れ際の言葉、「今年もありがとうございました。来年もまたよろしくお願いします」に対して「こちらこそありがとうございました。来年もよろしくお願いします」と返し、数日したらまた「今年もよろしくお願いします」と言い合っていた。年が明けないうちに来年のことを「よろしくお願い」し、新年になったらなったで「よろしくお願い」する。
「今日は寒いですね」「そうですね」と同じ種の、特に意味もあまりないやりとりであるとわかっていながら、いつも何とも言えない気分だった。
まだ来年になってもいないのに来年のことを話すというのはいささか先走りすぎというか、今年の方に軸足を置きたいようなそんなところである。「来年のことを言えば鬼が笑う」という諺もあるけれど、単に今年が過ぎていくことが寂しいだけなのかもしれなかった。
実のところ、この「来年もよろしくお願いします」はそういう環境にいないと交わされないらしく、ふと考えると聞くことがめっきりなくなった。それらは望もうと望まなかろうと、いろいろ「よろしくお願い」する間柄の証のようだった。
違和感はぬぐえないけれど、「よろしくお願い」することのあたりまえさ、今年も共同し変わらず来年も共同することの秩序のようなものがそこにはあった。