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そのまま西へ

向こうから歩いてくる黒い学生服が見える。

あの学生服を来たことはなかったけれど、首が狭くて着にくそうな上に動きずらそうで、せっかく弟が持っていたのだし、一回くらい来てみてもよかったのかもしれない。

橋の歩道のちょうど真ん中あたりで私たちはすれ違ったわけだが、どちらからともなく立ち止まった。

髪を結んでいったら、その人に髪を結んでいることを茶化されたことがあったが、わざわざ茶化すくらいだからまんざらでもないわ、くらいに私はおめでたい人であった。別にどうこうしたかったわけでもなく、それで充分だった。

駅の方に行っていてこれから学校に自転車取りに行く、のような会話を二言三言してから別れた。家に帰るために私は西に、その人は東に向かった。高校も別だった。向かう先も違った。もうあのころの私ではない。

今も私は列島の西の方に住み、その人は東に住んでいる。




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