一対一のボードゲームはことごとく小学生にかなわない自分だが、どういうわけか将棋を始めた。
きっかけは、たまたま居間に転がっていた子ども向けの入門書を少し読んでみたことだった。将棋は難しい気がしていたけれど何のその、駒の動きだけなら"かんたん"に感じたのだ。飛車と角の動きからだったこともよかった。まだ数回家族と遊んだだけだが、飛車はほんとうによく働くものだとしみじみしているくらいだ。
将棋は時間がかかるといえばそうで、しかし勝負をした相手に、これまでのボードゲームの倍以上の感謝の念が降りてくる。共に時間を費やして勝負したことが喜ばしくて、つい子に握手をお願いしてしまう。家事と夕食などで中断を挟みつつ、駒がそのままにされた将棋盤にも趣がある。
日曜の朝の将棋番組を観たりもしてしまい、これまで文字の並びにしか見えなかった将棋盤の駒たちが、生きものみたいに思えた。何言っているかわからなかった解説も、基本ルールを覚えたためにようやく日本語に聞こえてきた。
将棋が好きと話していた友人や、ある棋士を追いかけている知人にも、そうなんだ以外返したことがなかったけれど、もしかしたらその人たちがいなかったら私は将棋をやってみることはなかったかもしれない。
せっかくなので、ちまちまやっていけたら楽しいことである。